Stellar at 1-Altitude、オーストラリアに焦点を当てた新メニュー

公開日 : 2016年11月25日
最終更新 :

モダンオーストラリア料理の店、Stellar @1-Altitudeで、新しく「Antipodes」というテーマのコースがスタートしました。Antipodesとは、地球の裏側、という意味。ヨーロッパから見ると、地球のちょうど裏側に位置するオーストラリアやニュージーランドのことを指す場合もあるとか。

Chris Millar エグゼクティブシェフがオーストラリア出身ということもあり、その原点でもあるオーストラリア料理という意味で、今回の新メニューにこの名をつけたのだそう。

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「オーストラリア料理は素材に焦点を当てた料理で、ヨーロッパの料理と比べると料理に対するアプローチが、ルールに縛られずもっと自由。オーストラリアの大自然のように、のびのびと自由な、そして遊び心溢れる料理、そして素材をそのまま生かした料理が特徴」と語ります。

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素材は、オーストラリアにこだわらず、日本やフランスなど、世界中からベストのものを選んでいるそうですが、料理のアプローチは、あくまでもこのオーストラリアのスタイルを貫いているのだとか。

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そんなお話の後に最初に出てきたのが、「Vegemite(ベジマイト)」。オーストラリア版納豆にも例えられることがある、個性的な味が特徴のVegemiteですが、元々は100年ほど前に、ビール醸造の際の副産物を有効活用しようと生まれたものだとか。真ん中が空洞になった、軽いパンと共にいただきます。ちなみに、パンの黒は炭の色だそう。

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開けてみると、本来のVegemiteよりも少し黒い色合い。食べてみると、日本の海苔の佃煮のような味わいです。実は、海苔のペーストで、Vegemite自体やその原料は使われていないそうですが、Vegemiteと同じような旨味のある現代風スプレッドを作ったのだそう。

続いて、小さな一口大の丸いものは、グリーンティーモッツァレラ。

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上に乗った紫蘇の芽とあいまって、甘くない抹茶チーズケーキのような味わい。抹茶の旨味とコクもしっかり感じられる一品です。

ここからが、コースメニューのスタート。本来ディナーの8コース(S$180)のものですが、その中からいくつかを抜き出した特別コースにしていただきました。

まずは、Snow Crab。

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今月初めに漁期が始まったばかりの、日本のズワイガニです。クリームたっぷりのパルフェ仕立てにしてありますが、滑らかさの中にカニの身の粒が感じられ、ズワイガニ本来の甘みが感じられるのが嬉しいです。粒状にした卵黄のコク、焦がしたネギの香ばしさ、マスタードの粒を葡萄果汁に漬け込んだ、グレープマスタードのソースが、まろやかさを引き立てます。

続いては、Foie Gras。

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大胆にフォワグラを牡蠣のソースと合わせるという組み合わせ。フォワグラの食感と、粒を残した牡蠣の食感が重なり、海の旨味と山の旨味の意外なマリアージュ。ホースラディッシュのソースがアクセントに、そしてやや塩味を強めにしたバニラのスポンジケーキが、フォワグラとの相性抜群。

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フォワグラと牡蠣、コクにコクを重ねていますが、重すぎないようにここで軽やかさを作っている印象です。また、どこか蕎麦のような香ばしさがあるホースラディッシュの葉が、コクのあるどこかアジアな組み合わせとよくマッチしていました。

そして、ここから、地上62階での農園ツアー!その名も、Trip to the Garden。

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Stellarはシンガポールで一番高い場所にあるレストランですが、多分シンガポールで一番高い場所にある農園ではないでしょうか?

とっても可愛い小さな植物が植わっています。内容は数週間ごとに変わるそうですが、この日は

右から、マイクロセロリ、ナスターチウム、ピーシュート(豆の芽)が植えられえていました。

Michael Di Placido ヘッドシェフが、この可愛い農園のハーブたちを摘んで作ってくれたのが、液体窒素で凍らせたメレンゲ。

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上に農園のハーブを石鉢ですりつぶしたものを乗せて。サクサク、ひんやりした食感で、ソルベやグラニテよりも軽くてふんわり溶けて、食事の合間のリフレッシュに最適。

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6皿以上のディナーコースを注文した人だけが食べられる一皿です。

他のメニューもAntipodesのテーマに影響されているものの、よりフォーカスしているのがこの、フランス産のガンギエイを使った一皿、French Wild Skate Wing。

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エイヒレを使った盛り付けも美しい一皿ですが、ガンギエイには、温かい水域で獲れるものと冷たい水域で獲れるものの二つの種類があり、冷たい水域で獲れるフランス産の、極上の釣りのエイを使っているのだそう。シンガポールで通常食べられている温かい水域のガンギエイよりも、さらに繊細な味わいが楽しめます。

このエイの身を表面はごく薄いカリッとした層があり、内側はふんわりと焼き上げています。更にその上から、今ちょうど旬だという、生のヘーゼルナッツをChrisシェフがすりおろしてふりかけています。

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ヘーゼルナッツの甘みがありながらも、生なのでフレッシュな印象。繊細なエイの身との相性も抜群です。その下には、コールラビで作ったパスタ状のものを、マスタードとオーストラリアのハーブ、レモンマートルのソースで和え、レモンの香りと酸味の効いたコンフィポテトを添えて。全体的に軽やかな柑橘の香りですっきりとまとめた一皿。繊細さにコクを与える、フレッシュヘーゼルナッツの組み合わせがとても好みでした。

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ピュアな印象の魚の料理から良いコントラストの流れを生み出しているのが、2重になったお皿の上段を外すとジュニパーベリーの香ばしいスモークが溢れ出して食欲をそそる鹿肉の一皿、Poached Venison。

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湯がいてから焼いたという、鹿のモモ肉は、とっても滑らかな肉質、生かと思うようなみずみずしさなのにしっかり火が通っている感じが絶妙。カカオニブをまぶしたチュイルが鹿肉に甘さと香ばしさ、奥行きを与え、ジュニパーベリーと焦がしたセロリのピュレが野生的な香りを際立たせます。シャロットのピクルスとフレッシュグリーンマンゴーが軽やかさを与えています。特にこのカカオとの組み合わせは絶妙で、鹿肉の鉄分を感じる味わいと合わさると、酒粕のような、香ばしい味わいに変化するのが感じられて、ずっと噛み締めていたくなる美味しさでした。鹿が暮らす森の中を思わせるジュニパーベリーの香りも、景色が浮かんで素敵でした。

そして、Jasmin Chew ペストリーシェフによるデザート。コースには本来、Bacon & Eggというデザートが付いてくるのですが、今回は大勢いるので、様々なメニューを試すことに。このAntipodesメニューを始め、ディナーの6コースからのものには、最後にDessert Artという、目の前でデザートを作ってくれる演出が付いてくるのですが、ソースを綺麗に散らしてその場で仕上げていくデザートの数々は、何度見ても、その美しさにため息。

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Jasminの、クリエイティビティにあふれているだけでなく、味もとっても美味しいデザートは、食事の締めくくりに絶対に欠かせない一品。記念日などにもオススメです。

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Bacon & Egg(右中段)は、羊のミルクで作ったヨーグルトの卵白に、エルダーフラワーの蜂蜜で卵黄を作って。アクセントにベーコンチップをひとつまみ。ヨーグルトは酸味が強くなく、穏やかな味わい。繊細なエルダーフラワーの蜂蜜の味を引き立てています。

White Peach(左中段、右手前)は、日本の岡山産の白桃を使った軽やかなソルベ。氷で作った涼しげな器の中に、白桃とライチのソルベ、シロップに漬け込んだ白桃、そしてソーテルヌワインとベリー類を詰め込んで。白桃の香り高さライチやソーテルヌの香りが強調する、すっきりとしたデザート、見た目もとっても可愛らしくて歓声が上がりそう。

Lichu Chocolate Parfait(奥2点)は、チョコレートの冷たいムースに蜂蜜とグランマニエで香りをつけ、ビーポレン(花粉の粒)をまぶしたもの。ビーポレンのカリカリした食感と自然な甘みが、ややダークなチョコレートの味わいにマッチします。

Crab Apple(左手前)は、野生のリンゴのタルトに、青リンゴのソルベ、そしてその上からメレンゲを乗せて焦がしたところに、カルヴァドスに漬けたリンゴを散らします。様々なリンゴの味わいとともに、ふんわり、ひんやり、サクサク。様々な食感が楽しめる、すっきりしたベイクド・アラスカのようなデザートです。

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美味しいのはもちろん、いつも新しくて心に残る「体験」を心がけているというChrisシェフの言葉にも納得。様々な方法でゲストを楽しませてくれます。シンガポールで一番高い場所にあるレストランだけに、もちろん夜景もとってもロマンティックです。

このAntipodesのメニューは、素材がなくなれば終了とのこと。気になる方はお早めに!

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ちなみに、クリスマスと大晦日の予約も受け付けているそうです。特に大晦日は、花火を思う存分楽しめるロケーション。

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詳しくは、公式ウェブサイトhttp://www.1-altitude.com/stellar/whats-on/をチェックしてみてくださいね!

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■Stellar at 1-Altitude(ステラ・アット・ワン・アルティチュード)

営業時間:ランチ 11:30~13:45(平日のみ)、ディナー 17:30~21:30、(いずれもL.O.)無休

住所:1 Raffles Place, Level 62, Singapore, 048616

電話:+65 6438 0410

アクセス:MRTラッフルズプレイス駅徒歩1分

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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