【Asia's 50 Best Restaurants】アジアのベストレストランイベントへ・Day 1

公開日 : 2017年02月24日
最終更新 :

2月21日にバンコクで行われたアジアのベスト50レストランを決めるイベント、Asia's 50 Best Restaurants 2017、その表彰式の取材に行って来ました!

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表彰式の前日に行われたオフィシャルイベントは、一つのテーマを決めてそれに沿って複数のシェフが語る講演会、50 Best talks。

タイで行われる2度目のAsia's 50 Best Restaurantsということもあってか、今回は、Spice of Life、とスパイスをテーマにした内容。

William Drew グループエディターの司会で、まず登場したのは、

地元タイのモダンタイ料理レストランの、Issaya Siamese ClubのIan Kittichaiシェフ。

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日本、中国、台湾、韓国、インドネシア、ラオス、カンボジア、タイ、インド、など、アジアを中心とした様々な地域のハーブやスパイスの多様性について、写真を織り込みながら行われました。

中でも興味深かったのが、タイの食文化の多様性について。タイは中央、北東部、北部、南部によって食文化が分けられ、それぞれに使われるハーブが違うということ。

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まず、北部はベトナムミントや、青唐辛子、発酵した豆や発酵麺(カノムチーン)などを使うのが特徴。ヤシの木があまりないため、ココナッツを使わず、唐辛子の味を生かした料理が多いのだとか。

イーサーンに代表される北東部はソムタムや牛肉のタルタルに代表されるような、北部よりも濃い味が特徴。パパイヤやグリーンマンゴーなどを使い、もち米が主食、発酵させた豚肉ともち米のソーセージを食べることが多いそう。

南部は、ターメリックを多く使い、海に近いため発酵させた魚を使うことも多く、様々な文化が流れ込む首都、バンコクのある中央部は、甘味、酸味、辛味、塩味のバランスがよく、グリーンカレーなどが代表的な料理なのだそう。

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実際にスパイスが配られ、手に取りながらお話を聞くことができるのも、とても印象的でした。

ちなみに、元々マレーシアの一部だったシンガポール、その伝統料理、プラナカン料理はマレーシアでも見られます。

中でも、北部のマレーシアでは、プラナカン料理にもタイ料理の影響があるのが特徴ですが、例えば、伝統的なターメリックを使ったカレーで、プラナカン料理とタイ料理とを比べてみると、タイ料理の方が乾燥したスパイスを使っているのでもっと辛い、というお話が印象的でした。

また、海外のタイ料理についてどう思うか、という質問に関しては、やはりタイではフレッシュなココナッツが手に入るので、毎朝お店でココナッツミルクを絞ることができる。ココナッツミルクは1日で腐ってしまうので、他の地域では、パックになっているものを買うことになってしまい、どうしてもフレッシュなものよりも重たい味になってしまうそう。

海外で料理のデモンストレーションをすることも多いIanシェフは、本物の味を伝えることにこだわっているそう。例えば、NYでグリーンカレーを作ることになり、オリジナルのレシピでは、NYの人にとって馴染みのない苦味のある、小型のナスが入っていて、現地に合わせるのなら外した方が良いけれども、あえて本物の食文化を伝えるために入れているのだとか。

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そのあとは、地元タイを代表して、NahmからDavid Thompsonシェフ、インド料理 Indian Accentの Manish Mehrotraシェフ、インドネシアのLocavoreから Ray Adriansyah Eelke Plasmeijerシェフが登場。それぞれのシェフが用意して、席に配られた様々なチリなどを実食しました。

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中にはとっても辛い唐辛子もあり、「誰かチャレンジする人は?」というDavidシェフの質問に、Bo Lanのタイ人シェフ、Bo こと、Duangporn Songivsavaシェフが進み出て、試食用のプレートは、発泡スチロールとプラスティック。タイは一番発泡スチロールを使っている国で、そのことをもっと考える必要がある、バナナの葉など、他にも環境に良いものはたくさんあるはず、と訴えるなど、スパイスだけにとどまらない、熱い会になりました。

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そのあとは、Boシェフ、今年Best female chef of the year を受賞した、香港のMay Chowシェフ、Manishシェフと、それぞれに分かれて料理のデモンストレーションを見学しました。私はBoシェフのところにお邪魔。

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タイ料理は、お店によってはカレーのベースは同じで具材を変えているお店があるけれども、本来はそういうものではなく、もし具材が牛や羊などの赤身の肉の場合は、臭みを消すためにクミンをたっぷり入れ、逆に魚の場合は、クミンをほとんど無くして、ブラチャン(海老の発酵調味料)をたっぷり入れるのだとか。家でグリーンカレーを作ることも多い私には、とっても参考になりました。

その後は、タイ料理レストランでもある会場、Sala Rim Naamでのランチ。

何人かのシェフにお話を伺うことができました。

まずは、2017年のLifetime Achievement Awardを受賞した、香港のイタリアンレストラン、8½ Otto e Mezzo BombanaのUmberto Bombanaシェフ。(写真左)

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1993年にレストランをオープン、24年間にわたり、本場のイタリア料理を伝え続けたことが評価されました。

料理を作る上で大切にしているのは、純粋な味わいの美しさ。

日本の魚介類は、繊細かつ豊かな味わいがあって素晴らしいと言います。

特に、Umbertoシェフのお気に入りは、日本の福岡から取り寄せるアサリ。8½ Otto e Mezzo Bombanaのために特別に、獲る前にしばらく海の中ほどの深さの場所に置いておき、砂抜きをするのと同時に、塩分濃度が濃くなりすぎないように調節しているのだとか。

「この24年で食のシーンは大きく変わった、特に、最近は食がエンターテイメントになりつつある。だけれども、一番大切なことは、食材を理解しようと思うこと。そして、自分の心にある情熱と、愛に素直になること」と語るUmbertoシェフ。

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そして、同じく特別賞であるAsia's Best Pastry Chef 2017 を受賞した、 Esquisse cinqの、成田一世シェフにもインタビュー。今の自分のテーマは、「幽玄」だと語ります。「健康志向から、砂糖がたくさん含まれたデザートは好まれない上、そもそも日本人は、古来「水菓子」として、果物をデザートとして食べてきたので、自然界にある果物の甘さ、糖度18度を超えたものの味わいは過剰になってしまう。自分が提供するのは、料理からほんの少しトーンを変えて、ぎりぎりデザートと感じられるような、繊細な味わい」。Joel Robuchon氏とともに、NYや台湾など、世界各地で新店のオープンに携わってきたという成田シェフは、「Joel Robuchon氏から学んだのは、できたての味を提供すること。甘さで酸化した味をマスキングするのではなく、素材の味を生かし、日本料理の繊細な出汁のように、口に入れるとすっと消える幽かな味を提供していきたい」と語ります。自身のお店、Esquisse cinqでも、客の目の前で仕上げるデザート、アシェット・デセールのスタイルを大切にしているそうです。自然の味を表現すると言っても、美味しいフルーツをただ切って並べる、というのは好きではなく、いくつもの構成要素のレイヤーを重ねて、仕上げていくのがポリシーなのだとか。

そして、この後の夜は、昨年もランクインしたレストラン、Eat Me で行われたアフターパーティへ。

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MediacorpのラジオでインタビューさせていただいたTa Vieの佐藤シェフと奥様、Takazawaの高澤シェフ、香港の知人と共に。こうしてまたお会いできて、本当に良かった!

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いよいよ翌日は表彰式、次回は2日目の様子をご紹介します!

■Asia's 50 Best Restaurants 2017(アジアのベストレストラン50)

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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