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シンガポール/シンガポール特派員ブログ 仲山 今日子

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2017年4月14日

絶景のアジアのベストレストラン、Jaan の春の新作メニュー


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絶景のアジアのベストレストラン、Jaan の春の新作メニュー

70階からの眺望が楽しめるモダンフレンチの店、Jaan。現在、三代目のKirk Westawayシェフが率いるイノベーティブフレンチのお店ですが、去年シンガポールでスタートしたMichelin Singapore で、一ツ星に輝いていて、初代のAndre Chiangシェフ、二代目のJulien Royerシェフともに、自らの店をオープン、どちらも二ツ星を獲得するなど、名シェフを輩出することでも知られているお店。

今年2月にタイ・バンコクで行われたAsia's 50 Best Restaurants、アジアのベストレストランでは42位に輝いています。今回は、6月末まで提供予定の、春の新作メニューをいただきに行って来ました。

また、Kirkシェフは、世界に数人しかいない、Krug Ambassador の一人。ということで、最初はKrugでスタート。生き生きとした力強い酸味と、後味に残るクリームやブリオッシュ、バタートーストのような香りとしっかりとしたボディ。酸のすっきりとした印象とコクのバランス感がスタートにぴったりでした。

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コースは、平日限定の、Weekday lunch, 6-course set menu(S$158)。
最初は、今流行の、スナッキング、と呼ばれる手でつまんで食べるアミューズからのスタート。

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最近はいかに料理に自分らしさ、アイデンティティを盛り込むか、というのも重要な要素として捉えられることも多いもの。イギリス南西部の海辺の町、Devon出身のKirkシェフ。子供の頃から食べていたフィッシュ&チップスは、カジュアルな食べ物だと思われがちだけれど、新鮮な魚で作ったらとても美味しい、そんな思いを込めて作った定番の一品は、カダイフのように細く仕立てたジャガイモの上に、鯵のペーストとアニスの花を載せたもの。(前回の記事はこちら


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日本人にはとても親しみやすい味の、フレッシュな鯵のペーストに、カリッとした食感のジャガイモと油の旨味が加わり、誰にでも親しめる味に。軽やかでさっくりとした心地よい歯触りと、ごくほのかなアニスの香りと共に、これから始まるコースの繊細さを予感させるスタート。

そして、新作のウサギの春巻き。

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米粉のチュイルに包まれた、ヨーロッパの春の味、ウサギの肉は滑らかなフィリングになり、ほのかにカレーリーフの香りをまとっています。揚げた後、コリアンダーのクリームチーズと、表面にはネギの青い部分を細く刻んだところを載せて。白身の肉のウサギの個性を程よく生かしたバランスで使われています。

こちらも新作、そば粉のパンケーキに、オシェトラキャビアを載せて。

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このために、14種類ものキャビアを試食したというKirkシェフ。塩気が強すぎず、キャビアそのもののコクを感じるふっくらとしたキャビア、クリームと合わせた北欧風の食べ方です。

そして、フォワグラクリームを挟んだ、定番のマカロン。

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飾られたハーブの葉のサイズまで、味のバランスを取るよう緻密に計算されている気がして、小さな一品一品にかけられた手間の多さを感じる、丁寧な作り。

コースの一皿目は、

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乳製品の産地でもあるDevon出身のため、トリュフとマッシュルームの出汁を加えた、温かいクリームのスープ。

この器も、Kirkシェフがデザインし、バリ島・ウブドで作ってもらったという特別なもの。そのまま手に持って、お茶を飲むようにいただきます。マグカップからコーヒーを飲むように、くつろいで料理を楽しんでもらいたい、というKirkシェフの思いもあっての提供方法。

上には細くしたマカデミアナッツが載っていて、パウダーまで細かくなく、噛んでマカデミアナッツの香ばしさと甘味が口の中で生み出せる細かさでありながらも、クリーミーな食感を邪魔しない程よい大きさ。直接器に口をつけていただく品だけに、この程よい細かさが心地よかったです。

パンは、以前お邪魔した時よりも小さくなり、サワードゥ、ミルクブリオッシュ、ライ麦とフルーツ、ベーコンエピの4種類全部が楽しめるように。

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有塩と海藻入りバターを添えて。木の器もしっかりと温められていて、細い所までの心配りを感じます。

そして、器も最近個性的なものを取り入れていて、

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一輪挿しのような見た目のカバーを取ると、

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花冠のようなこちらが

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Alaskan King Crab。ずっと見ていたくなる、エレガントで美しいプレゼンテーション。
羽衣のようなコールラビーのピクルスに包まれたアラスカ産キングクラブと、オシェトラキャビア、北海道産のウニをごく薄いグリーンピースのパンナコッタの層に乗せて。
グリーンピースの春らしさ、そしてウニにほのかにある、昆布由来の緑の旨味に重なり、キャビアがコクを後押し。そして、紫蘇の花はすっきりとした印象を、ほのかな塩気のあるボリジはキングクラブの甘味の奥にある、海の水のような味を強調します。レモンが香る、甘めのフロマージュブランのアイスクリームが、冷たいスープのような役割。

続いては、エレガントで優しいだけでなく、やや強いインパクトを与える一皿、Golden Beetroot。

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ビートルートの甘味に、マスタードとホースラディッシュを効かせて、酸味も甘味も強めに、マスタードのシャープな辛味がまずやってきて、ホースラディッシュのやや穏やかな辛味が追いかけてくるという印象。タラゴンのクリームが、甘い香りを添えます。
そして、Kirkシェフは、ポイントポイントに、粒感のある塩を効果的に使っている気がするのですが、ビートルートとマスタードのアイスクリームの下には、ヘーゼルナッツに塩を混ぜたものが。この塩のサイズも、大きすぎず、噛むとちょうどよく塩気が弾けるギリギリの所。これが、ビートルートの甘味との良いバランスになっていて、飽きさせないリズム感を作っていました。

続いては、旬のアスパラガス、ホワイトアスパラガスとグリーンアスパラガスに、シャンパンのオランデーズソース。

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まろやかなコクたっぷりのソースには、酸味のアクセントのオキザリス。
穂先はそのままの甘味を楽しみ、中ほどからはパルメザンのサクッと崩れる薄い衣をまとっていて、しっかりとした味わいを楽しめるようになっているホワイトアスパラはしっかりと焦げ目をつけて。フランス・マルセイユのそば、Pertuis(ペルテュイ)産のグリーンアスパラガスはシンプルにバターをかけただけで。イベリコ豚で作ったスペイン産の生ハム、Joselito(ホセリート)ハムとの定番の組み合わせに終わらず、生ハムの旨味やソースの卵黄のコクと相性のいい、ガーリックフラワーとガーリックの葉を載せて、力強さを加えています。

そして、ここでボリューム感ある味わいからすっとトーンを変えた、マスの一種、Artic char(ホッキョクイワナ)の一皿。

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低温調理でしっとりふわふわに火入れをしてあり、もう少しでムース、と言いたくなるような繊細な食感のインパクトが最初にやってきます。合わせているのはアーティーチョークのピュレ、そのままのまっすぐな味わいのカブ、バーネット、蒸した車海老、醤油とみりんでマリネしたイクラ。和を感じるピュアで繊細な味わいに、個人的に、この皿の主役、と感じたソースが。

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通常だと、魚の骨を野菜と共に茶色くなるまで焼いて、そこに水を加えて作る出汁を、骨を焼かず、二度出汁を取ることで、混じり気のない魚のエッセンスだけの出汁をとった、とKirkシェフ。まずは、水とシャロットや長ネギの白い部分、フランスの軽いニンニクと共に、軽い魚の出汁、フュメドポワソンをとり、冷やして清澄したものを再度別のArtic charを使って同じように出汁を取るというやり方。
「蒸したエビ、カブ、ターニップ。この一皿は、どれも焦がした味のものがない。二度出汁を取ることで、焦げた味のない皿全体にあう、ピュアなエッセンスだけを抽出した出汁を合わせたかった。焦がしバターなども使わず、極上の初摘みのオリーブオイルを使って軽く仕上げている」とKirkシェフ。湯がいて刻んだだけのカブの葉など、どこか日本的な印象を、このソースが程よくフレンチに引き戻していました。

そして、この次は、定番の、ウェールズ産の子羊を使った一皿。Cannon of Lamb 一度口の中をスッキリさせた後は、思い切りトーンを上げた、クラッシックな一皿に。ただ、ポーションは控えめなので、重たくは感じません。

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先ほどの魚のソースと比べると、しっかりとしたクラッシックなフォン。

子羊の骨は、1時間ローストしてからフライパンで焼いて、子羊の端肉と混ぜて、焦がしバターやローストした玉ねぎなどと共に、チキンストックを加えて煮詰め、仕上げに焦がしバターと、自家製のトマトピュレを加えたクラッシックなフォン。(Kirkシェフは、子羊の出汁に子牛や牛のストックを使うのは、ゼラチンが多すぎること、子羊の味よりも強い印象を与えてしまうため、チキンストックを使っているのだとか)

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そんなソースに合わせているのは、焦がしたレタス、アンチョビのソース。名前通り大砲のように丸く仕上げた背肉は柔らかく、赤みの旨みのある肩肉は蒸し煮にしてからごく薄い衣をつけてフライに。一口サイズの腹身は干したアンチョビやレモンの皮、揚げたケイパーやエスペレット唐辛子とともに一晩かけて煮込み、煮こごりのようなゼラチン質を生かして。周りに添えられたペコロスのピクルスがスッキリした印象を、小さな酢漬けのアンチョビの一切れが、海の旨みと酸味を加えています。

そしてここからがデザート。
アマルフィ産のオーガニックレモンを使ったエスプーマとグラニテに、カルダモンをほのかに香らせたソルベ。

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最後にKirkシェフがレモンの皮をその場ですりおろして仕上げてくれます。

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酸味よりも甘い香りが際立つレモンに、カルダモンの香りがぴったり。下には、レモンの甘い香り、熟した印象を強調する、オレンジの実が。凍らせてあるので、食感はもちろん、香りや甘みが立ちすぎず、レモンを引き立てるバランスになっていました。

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最後のデザートは、粉砂糖とシナモンを使ってこんがりと焼き上げたフィロ、白バルサミコ酢に漬け込んで焦がした洋梨という組み合わせのPear & Ginger Tart。

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少しアジアな雰囲気のある生姜のアイスクリームに、トンカ豆のパンナコッタ、サイドには小さく切ったフレンチトーストが添えてあり、生姜のコンフィと、同じくハーバルな香気成分のあるマリーゴールドの花が散らしてあります。

クリーンな味と焦がした味がリズムよく構成されています。

そして、最後には特別に出してもらったココナッツソルベ。

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ココナッツの実からキッチンで絞ったしぼりたてのフレッシュココナッツミルクのアイスクリームに、タピオカ、そして、カフィライムの実の皮のすりおろし、そして、なんとフレッシュココナッツミルクを6時間煮詰め、キャラメル状にしたものをすりおろしてかけてあります。ココナッツミルクの甘みがキャラメリゼされて強調され、口当たりも良い香り高いパウダーになっていました。

最後はカプチーノと共に、小菓子を。

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さっくりとしたバターたっぷりのクッキーに、クロテッドクリームを挟んだスコーン風、とろりとしたキャラメルフィリングの入ったチョコレート、更に、レモンタルトの代わりに、酸味のある小菓子として、新しくフィロの上にルバーブを乗せたタルトが加わっていました。

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Kirkシェフのメニューは、前回お邪魔した時よりも、更に洗練されたエレガントさが加わった印象。ぜひ、春を味わいに来てくださいね!

<DATA>
■ Jaan (ジャーン)
営業時間:ランチ 12:00~13:45(L.O)、ディナー 19:00~21:45(L.O)、無休
住所:Level 70, Equinox Complex Swissôtel The Stamford, 2 Stamford Road, Singapore 178882
電話: +65 6837 3322
アクセス:MRTシティーホール駅直結

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カテゴリー レストラン・料理・食材
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      仲山 今日子
      元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイドブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。

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