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シンガポール/シンガポール特派員ブログ 仲山 今日子

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2017年8月25日

[Art at Curate] 韓国の一ツ星Mingles、東洋医学の考えを生かしたモダン韓国料理


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[Art at Curate] 韓国の一ツ星Mingles、東洋医学の考えを生かしたモダン韓国料理

今年のアジアのベストレストランで15位に輝いた韓国・ソウルのレストラン、Mingles。去年韓国に上陸したミシュランでも一ツ星も獲得した、今注目のモダン韓国料理のお店です。

そんなMinglesのKang Mingooシェフの料理が楽しめるイベントが、リゾートワールドセントーサにあるショーケースレストラン、Art at Curateで行われました。

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(Mingooシェフ(写真左)と、CurateのBenjamin Halatシェフ)

毎回、ロバート・パーカーの高得点ワインとのペアリングで提供されるメニュー、ルイナールのシャンパンからスタート。最初はブランドブランらしいすっきりとした印象ですが、ゆっくりと厚みが増してきます。

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Fluke Hoe, Dongchimi

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韓国風の刺身、Hoeに、ラディッシュのキムチ、Dongchimi
を合わせて。本来は昆布でマリネしたヒラメの刺身ですが、シンガポールでは甘エビでアレンジ。ゼリーに包まれたプチプチした食感のバジルシードに、少し焦がした砂糖のようなニュアンスのあるトマトのコンソメで作ったエスプーマ、上にはラディッシュのキムチを細かく刻んだものが乗っています。
パレットクレンザーとして、甘酸っぱい五味子茶が添えられています。

Egg Custard with Sancho pepper
卵の殻の中に入っているのは、チョリソーとキャベツ、温泉卵にカリフラワーと卵白のエスプーマ。定番の組み合わせですが、エスプーマに卵白を加え、クリームを少なく軽く仕上げているので、あっさりとした仕上がりになっています。

ここで、南アフリカのシャルドネ、Bouchard Finlayson Missionvale 2013を。

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樽の香りがしっかりあり、酸味も強くパワフルな印象。

Scallop carpaccio, 'Makgeolli' ceviche, Korean Bottarga

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Cho-hoeという、韓国風のスパイスの効いた刺身風にアレンジした帆立。もともと、アメリカ・マイアミとバハマのNobuで修業したというMingooシェフ。どこか、Nobuを思わせる甘酸味の柚子のソースが添えられていますが、ほのかに乳酸菌発酵の香りがして、よりまろやかに感じます。その理由は、マッコリを加えているから。加熱殺菌していないマッコリを韓国から持ち込んで使っています。Mingooシェフは、このマッコリを、日本の麹のように、旨みやまろやかさ、香りや甘みを加えるためなど、色々な目的で使っていて、それがとても興味深かったです。柚子のソース自体も、柚子のシロップにレモン汁を加えて100日間室温に置き、発酵させてから使っているとのことで、尖った感じのない味に仕上がっていました。ホタテの上には、人参、大根、パプリカなどを韓国風の発酵ピクルスにしたスライスしたズッキーニの上には韓国のボッタルガのパウダーが乗っていますが、パルメザンチーズのような旨味を加えていました。

Doenjang Cured Foie Gras Rolled with Baek Kimchi & Korean-style Beef Tartare

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使っている食材の95%ほどは韓国産というMingooシェフ。現在、日本と同じく韓国でも、鳥インフルエンザの影響でフランス産の鴨、鳩、鶏などの肉やフォワグラが輸入禁止になっていて、しばらく作っていなかったそうですが、シンガポールではフォワグラが使えるため、シグネチャーを復活させたという品。

フォワグラは韓国の味噌、テンジャンと完熟梅で作った梅酒に1日漬け込んでから伝統的なトーション仕立にし、さっぱりと黒酢を加えたキムチで巻き上げています。
シャキシャキしたキムチの食感、テンジャンの味はそれほど強くなく、まろやかさを加える隠し味程度。間にほんの少しエゴマの葉を加え、韓国らしさのあるアクセントにしてあります。上には、テンジャンのパウダーと共に、冷凍したフォワグラを削りかけてあります。

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フィロペストリーに乗った牛肉のタルタルは、コチュジャンの入ったピリ辛のソースで和えて、刻んだエゴマの葉をたっぷりかけて。エゴマの葉の独特の香りが、牛肉の旨味を引き立てます。

ここで、ワインはChapoutier Schieferkopf Riesling Lieu-dit Buehl 2011
白い花や蜂蜜、ペトロールの香りのリースリングに。

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温かい前菜は、アワビのお粥、Abalone Porridge with Gim Chips。

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お粥といっても、日本のように粒を残したお粥ではなく、とろとろの液体状のもので、上には米とミルクのフォームが乗り、べたつかずふんわりとした食感。

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日本のいりこ出汁のような感じで韓国でも出汁に使われる小さなイワシを、お湯で煮出すのではなく、24時間水に漬けて出したクリアな出汁で煮込んでいます。甘辛く煮たアワビと松茸で味わい深く仕上げています。

同じくイワシの出汁を加えて作った韓国海苔(Gim)のタピオカクラッカーは、アワビの肝のソースを乗せて、海の香りでトーンを合わせつつ、サクサクした食感の対比を楽しめます。クラッカー自体はどこか昆布のような、旨味を凝縮した味わいを感じます。アワビの内臓のソースはヨードの味が凝縮した、海藻の味。


Fried Conger Eel with Various Bugak and Sweet and Sour Yuzu Sauce

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お皿が運ばれてきた時に、こちらもまるで牡蠣のようなヨードの香りを感じた一皿。アナゴはマッコリと米粉で作った衣をまとわせてさっくりと揚げ、醤油と柚子の甘酸っぱいソースと共に。通常、揚げ物の衣にマッコリを入れることはないそうですが、フィッシュ&チップスにはビールを入れることから、さっくりあげるにはマッコリを入れたらいいのでは?と思いついたのだとか。サクサクした食感が実現しただけでなく、マッコリの乳酸発酵の香りがほのかに感じられる揚げ物に仕上がっていました。Bugakとは、韓国の伝統的な野菜などの調理法の一つで、餅米粉の衣をつけて揚げてから乾燥させたものをさすそう。通常は生でそのまま食べるという、カムテ、と呼ばれる青海苔のような海藻をこの方法で揚げて、さっくりとしたチップに仕上げていました。
コロッケの中には、甘いかぼちゃと海老。先日のGagganとOlaのコラボレーション の際に出てきた、海苔の代わりにディルで作ったチュイルにウニを合わせた料理を食べた際にも感じましたが、ヨードの香りとディルの相性は良いもの。青海苔のような海藻のパウダーとディルを合わせてありました。


Tilefish with Potato Roll and Donejang Bearnaise Sauce

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アマダイはフェンネルやウォーターパセリ、韓国の醤油、ganjangを加えた魚のストックで煮込み、ふわふわの柔らかい食感に仕上げてから切り分けています。テンジャンを加えたフォーム状のベアルネーズソースを添えて。フレンチの技法を使ったソースでも、フォームにして軽やかに、さらにソース自体も脂肪分を抑えてあっさりとした仕上がりになっていました。下には、青梅のピクルスが入り、シャキシャキした食感をプラス。周りをカリカリに焼き、中は甘みを引き出してしっとりと仕上げたジャガイモが入っています。焦がしたパプリカに、カニの出汁とゴマを効かせたテンジャンのソースが添えてありました。


ここで、肉のメインに合わせて赤ワイン、Casanofa di Neri Brunello di Montalcino Tenuta Nuova 2011。
羊などに合わせても良さそうな、しっかりとスパイスのニュアンスを感じるしっかりとしたボディーの赤ワインです。

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Korean BBQ-Short Rib Galbi

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オーストラリア産の牧草肥育牛のカルビを、コリアンダーと共に60度で24時間かけてゆっくりと低温調理し、最後に蜂蜜と韓国の醤油、生姜でできたたれをまとわせて、表面を炭火でさっと炙って仕上げたもの。柔らかい肉質と、韓国の焼肉のたれの味わい、そこに、イワシの出汁で煮込んでから、海老のペースとバターを塗ってミルフィーユのように仕上げたズッキーニが添えられています。

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そこに、白菜の中心の部分を使った白キムチにゴマをまぶしたものと、蒸しパンのような米粉のケーキを添えています。米粉のケーキの中には、キッチンで出た、ズッキーニや人参、かぼちゃなどの端野菜に少しだけシナモン砂糖を加えて煮込み、レモンシロップを加えてジャムにしたものを詰めてあります。ほのかに甘いのは、生地に加熱殺菌していないマッコリを加えて室温に8時間置き、発酵させているから。
韓国の精進料理を知るために、寺を訪れて伝統的な技法を学んだというMingooシェフ、食材を無駄にしない、という考えも、この精進料理によるものだとか。

Doraji- Doraji sorbet, Yakgwa, Roice Ice Cream and Ginger Compote

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食材の持つ陰陽の力の考え方など、メニュー構成の際に、東洋の漢方医学の考え方も取り入れているというMingooシェフ。日本でも漢方に使われる桔梗の根のエッセンスを使った、少し甘苦い味わいの韓国の梨のソルベにウィスキーのフォームを乗せて。シナモンと生姜のコンポートに、小豆とごま油の生地、米のアイスクリームを添えてあります。

マッコリもそうですが、アジアらしい旨味を生かしたデザートで、体に負担がかからず、すっと馴染む味わいです。

Jang trio- Doenjang crème brulee, Ganjang pecan and Gochujang powder, served with puffed grains and vanilla ice cream

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韓国の基本的な調味料、3種類の醤を使ったデザート。テンジャンを入れたクリームブリュレに、韓国醤油と砂糖でコーティングしたピーカンナッツ、バニラアイスクリームには、コチュジャンのパウダーと白米と赤米のライスパフを散らしてあります。アイスクリームとクリームブリュレという素直な味をベースに、発酵による旨味、そしてまろやかな塩気、辛味など、それぞれの醤にある味わいをいただくという趣向。


Nobuでは、世界の技術を、自国の料理として取り入れるやり方を学んだ、というMingooシェフ。イワシの出汁や醤など、伝統的に使われている食材、そして東洋医学の考えを持ち込んだ料理の数々。「韓国料理といえば、濃い甘み、唐辛子による辛味のイメージが強いが、それは、韓国が経済的に豊かでなかった近代のこと。昔の韓国料理は、素材を生かした自然な味付けが持ち味だった。その時代の、本物の韓国料理の味を、現代風に提供したい」とMingoo シェフ。肉や魚も柔らかく火が入っていて、食感が物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、そのぶん上品でエレガントな仕上がりと言えるかも。また、このように柔らかく仕上げる調理法に加え、様々な発酵食品を取り入れ、クリームやバターなど乳製品の旨味を極限まで抑えているためか、胃腸に負担がかからず、フルコースを食べて満足感があったにも関わらず、翌日体が重くなかったのは、特筆すべきところ。

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満足感があるのに、健康的で美味しく、毎日でも食べたくなる。東洋医学の考えを取り入れたモダン韓国料理を生み出す33歳。コラボレーションのみならず、「まだ学ぶことはたくさんある」と、海外に積極的に研修に訪れ、様々な技法を学んでいるのだとか。繊細に積み上げられた味のレイヤーも、時間をかけた発酵による味わいも、さらに磨きがかかりそう。これからますます楽しみなレストランです!

そして、数々の有名シェフを受け入れてコラボーレーションを重ねているCurate、普段はドイツ出身のBenjamin Halat シェフによるモダンヨーロピアン料理を提供していて、こちらも近々お邪魔しようと思っています。


<DATA>
■Art at Curate(アート・アット・キュレート) /Series 7 Chef Mingoo Kang
日時:2017年8月16日(水)〜23日(水)終了
営業時間:ランチ 12:00~、ディナー 18:30~、無休
住所:The Forum, Level1, Resort World Sentosa, 8 Sentosa Gateway, Sentosa Island Singapore 098269
電話:+65 6577 7288
アクセス:Sentosa Express Imbiah駅徒歩5分


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カテゴリー レストラン・料理・食材
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      仲山 今日子
      元テレビ山梨、テレビ神奈川アナウンサー。現在はフリーアナウンサー、ディレクター、ライターとしてお仕事を受けています。シンガポールのテレビ局J Food & Culture TV 勤務、All Aboutシンガポールガイドブログ。趣味は海外秘境旅行&食べ歩き、現在約40カ国更新中。

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