[パリ]海の味を生かした二ツ星の優雅なレストラン「Le Clarence」

公開日 : 2018年06月24日
最終更新 :

ボルドーの複数のシャトーを有する、Clarence Dillon Winesが昔の貴族の館を移築したという美しいレストラン、ミシュラン二ツ星のClarence(クラランス)に行ってきました。

th_1IMG_8099.jpg

Christophe Peléシェフは、Ledoyen、Lasserre、Pierre Gagnaire、Bristol, Royal Monceau、La Bigarradeをなどを経て、2015年、Clarenceのオープンとともに、エグゼクティブシェフに就任。

th_1IMG_8100.jpg

アラカルトなしのおまかせコースが特徴で、コースの数を選び、苦手な食材を伝えるだけ。「サプライズを楽しむ」というのがコンセプト。

"Gourgeres" with conte cheese, Barbajuan, clam with parsley's butter

th_1IMG_8105.jpg

ハマグリのパセリーバターパン粉焼き、コンテのグジェール、ほうれん草とリコッタチーズを入れた、南仏風の揚げラビオリ、Barbajuan。胡椒が効いていて、やや軽いフィリング。

th_1IMG_8108.jpg

ハウスワインの、すっきりとしたソービニョンブランをいただきました。

th_1IMG_8106.jpg
th_1IMG_8110.jpg

バターは生産量が少なく、希少なポンクレをたっぷりと。

th_1IMG_8118.jpg

自家製のブリオッシュ、縁は揚げワンタンの皮のように、しっかりと厚めのカリッとした層になっていたのが印象的。

th_1IMG_8115.jpg

Oyster, karashi

th_1IMG_8113.jpg

マスタードソースの上に、揚げたカダイフ、牡蠣、ピレネーの生ハム、タイム、オレガノのようなハーブをかけて。

Cuttlefish, ravioli, potatoe, buffalo cream

th_1IMG_8123.jpg

もっちりとしたイカスミのラビオリの中には、リコッタチーズとタラゴンのフィリィング、ケイパー、焦げた感じの香ばしく焼いてエスペレット唐辛子を散らしたコウイカ、シーバックトーンベリーのピュレ、イカスミ、酢漬けのアンチョビ。

サイドディッシュは、今が旬だという、ポムドテールのジャガイモ、バッファローのクリーム、なめらかな生のイカの薄造り、黒オリーブ、ローズマリーの花。

生のイカを加えてはありますが、サラダニソワーズの再構築を思わせるような一皿。

th_1IMG_8124.jpg

Turbot, cockles, XO sauce,

th_1IMG_8127.jpg

カレイの一種、ターボットに緑のソース、コックル貝に自家製XO醤、カラマンシーのピュレに、コリアンダーの花、フレッシュアーモンドを添えて。

Sweetbread, daikon radish, caviar

th_1IMG_8136.jpg

もう一つ、このターボットに合わせる皿はスイートブレッドと呼ばれる、子牛の胸腺の一皿。ねっとりとした後味に、すっきりとした大根のスライスとキャビアを合わせます。キャビアは、 Petrossianの Daurenki Imperial という種類。 ソースはブールブランとシェリービネガーのジェル。

Avocado and shrimps

th_1IMG_8134.jpg

ラングスティーヌに、小さな若いアボカド、乾燥したイチジクの葉を乗せたもの。

ソレルのソース、じゃがいものピュレを詰め込んだズッキーニの花、蒸した魚、パルメザンのスライス。

th_1IMG_8140.jpg

シャキシャキしたフレッシュなズッキーニの花に、ジャガイモのピュレの優しい食感が合います。パルメザンチーズのスライスで、旨味をプラスして。

Rabbit, fried artichoke, tomato sauce, rocket flower

th_1IMG_8143.jpg

うさぎのバロティーヌ。もも肉の所はとてもレバーのような鉄分のコクとなめらかな食感があり、胸肉は柔らか。少し酸味がある、乾燥したロケットの花を乗せて。

後ろには、アーティーチョークのグリルに、ツナを使ったトンナソース。

Gnocchis with parmesan cheese

th_1IMG_8150.jpg

もう一つは、パルメザンのソースのニョッキ、こちらも乾燥したイチジクの葉を乗せて。

お隣の席の方が食べていた鳩がとても美味しそうだったので、こちらを少なめのポーションで、追加でお願いしました。

Pigeon, whelk, asparagus

th_1IMG_8153.jpg

とても香ばしくて、オーブンの熱々の熱をまだ感じるような鳩は、ほんのりコーンのような甘い香り。ウェルクと呼ばれる貝を乗せて。レバーとアンチョビ混ぜたものが敷いてあります。サルミソースも見事。一番気に入った料理で、少なめとお願いしなければよかったと後悔しました。

果実の凝縮味を感じる、オーブリオンの赤ワインと。

th_1スクリーンショット 2018-06-24 17.16.36.jpg

チーズも色々と。

th_1IMG_8156.jpg

炭を使ったチーズの食感がとてもふんわりとしていて気に入りました。

th_1IMG_8158.jpg

デザートも、小皿で色々と出てきます。

Red fruit sorbet

th_1IMG_8161.jpg

赤いベリーのソルベに、ピスタチオのコクと味わいをしっかりと感じるクランブル、

Lemon cream

th_1IMG_8166.jpg

レモン、ミント、きゅうりのスープの乗ったパンナコッタ。

Strawberry tart, elderberry syrup

th_1IMG_8168.jpg

バニラの効いたショートブレッドの上に、オリーブのクリーム、野いちご、エルダーフラワー、渋いマスカットのような味のエルダーフラワーのゼリー、レモンの苦味あるピュレを添えたタルト。

Chocolate cake

th_1IMG_8171.jpg

粒の大きな海塩を散らしたチョコレートタルトは、下はヘーゼルナッツのプラリネ。どこか昆布のような旨味を感じるチョコレートを使っています。クリームの中にはチョコレートの球体が入っていて、割ると中からチョコレートキャラメルのリキッドが出てくるという、意外性ある演出。

旨味も酸味の強いコーヒーにフォームドミルクを入れたラテ。

th_1IMG_8176.jpg

小菓子はアーモンド入り焼きメレンゲ、と言いたくなるような軽いサクサクのマカロン、クリームとバニラ、中に板状の薄いプラリネが入っています。

th_1IMG_8174.jpg

Christophe Peléシェフにお話を伺いました。

(私は残念ながらフランス語が話せないので、サービスのMatthewさんが通訳してくれました。)

th_1IMG_8194.jpg

Q. Christophe シェフはパリ近郊のご出身ということですが、全体的に、南仏を思わせるような軽やかなお皿が多いように思いました。ヘルシーな料理というのは心がけていらっしゃいますか?

A. 私は、きちんと作られた「健康に育った」食材を使うことを一番に心がけています。フランス料理なので、どうしてもクリームやバターを使いますから、日本料理などと比べると、どうしてもカロリーは多くなってしまいますね。

Qほとんどの料理にシーフードを使っていますが、これは以前働いていた、ガニェールシェフの影響ですか?

Aもともとフランス西海岸の海辺が好きで、ブルターニュに家を買ったほどです。海、魚の味は塩気に旨味を加える上で大切なもので、ガニェールシェフというよりも、Hostellerie Jerome のBruno Cirinoシェフから学んだことが大きいと思います。

Q未来にフランスの食文化を伝えるために、大切だと思っていることはなんですか?

A今、フランスでも、生産者たちが減っています。未来の食のために、上質な食材を作る生産者や、ワインメーカーなどを含め、作り手を育てていくことが大切だと考えています。良質の食材を使うことは、彼らの仕事を支えることでもあります。例えば、パンは薪釜で焼いているパン屋から仕入れています。長時間発酵で手間のかかる手法を取っている店です。こういった伝統的な店を支えることも、私たちの仕事の一つです。

Q. 自家製XO醤など、アジアの要素も積極的に取り入れていますね。

A. そうですね、日本でいうと、日本の魚の処理の技術は素晴らしいですね。クラランスのオープンから、今はイケジメの魚を使っています。流行だから、とか、デュカスが使っているから、などの理由ではなく、それが新鮮な魚を使うために必要だからです。私たちは海岸沿いにある店ではなく、パリにある店なので、魚の新鮮さを保つ技術が必要です。魚の肉の部分に血がはいっていないから、新鮮さを保てるのです。値段は普通の魚の2倍しますが、そのクオリティに惚れ込みました。

フランス北西部のPort St. Guénoléで、日本に8年住んでいたカップルがやっている神経〆の鮮魚店から買っています。神経〆した魚の良さは熟成ができることですから、買った魚は、数日、冷蔵庫でドライエイジングさせて、味を凝縮させてから使っています。

Q. ご自身の料理のスタイルを、どう表現されますか?

A. 自分のスタイルは、「革新」だと思っています。昔の店、ビガラートにいた頃よりも、少し落ち着いた感じになりましたが、毎日の旬に応じた料理を作っていくことが大切だと思っています。ここは、30席だけのレストランですから、毎日メニューを変えていくことができて、そんな点も気に入っています。

th_1IMG_8200.jpg

クラッシックな店内には、様々なアート作品が並ぶ豪華な雰囲気。食材の魅力を、複数の調理法で多角的に引き出して小皿で表現するスタイル、南仏のような軽やかさと、様々な海の味をアクセントに使っているのがとても印象的でした。

<DATA>

■ Le Clarence (ル・クラランス)

営業時間:ランチ 12:30~14:00 (L.O.)、ディナー 19:30〜21:30(L.O.)、日曜、月曜休

住所:31 Avenue Franklin Delano Roosevelt, 75008 Paris, France

電話:+33 1 82 82 10 10

http://www.le-clarence.paris/

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。