[台湾] アジアのシェフが集う、International Chefs Summit Asia 2018

公開日 : 2018年10月17日
最終更新 :

台湾に美食の文化をもたらしたいと、台湾メディア、Fimmediaが行なっているInternational Chefs Summit Asia。今年はMarriott Taipei Hotelを会場に行われています。コラボレーションディナーは、ホテルの20階、素晴らしい夜景が望めるInge's で行われました。

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オーナーのMark Liuさんこだわりの、大きなオープンカウンターの中心には、炭焼きのエリアが。「私が子供の頃は、まだ台湾では全部の料理を木と炭を合わせた火を使っていたんです。だから、炭の火というのは、台湾にとって、アイデンティティというべき、とても大切なものです」とMarkさんは語ります。

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(JaanのKirkシェフと話すMarkさん(右))

この日は、シンガポールからJaanのKirk Westawayシェフ、福岡から、La Maison de la Nature Gohの福山剛シェフ、東京からIl Ristrante Luca FantinのLuca Fantinシェフとデザート担当のFabrizio Fioraniシェフという、いずれも今年のアジアのベストレストラン50にランクインした8人のゲストシェフが料理を作り上げます。

まずは、Inge's のオリジナルカクテル、Chubby Day。

パイナップルラムに蜂蜜などをを使った南国らしいフルーティなカクテルで、紅茶に冬瓜を入れたソーダが、どこかパンダンリーフのような、独特の香りを醸し出しています。

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Majestic Oyster / Caviar Jaan

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アーティーチョークのカスタードの上に、Kristalキャビアをたっぷりと乗せたもの。玉ねぎのピクルスとタピオカがアクセントになっています。

English Garden Jaan

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そして、とても印象的だったのがこちら。つい5日前にも、Jaanで同じ皿をいただいたのですが、シンガポールではヨーロッパの野菜を使っているのに対して、今回は台湾の野菜を使っているため、味の印象がまったく違います。Kirkシェフも「台湾の野菜は、新鮮なのでとても歯ざわりが良く、甘い野菜というよりも、素朴な味わいが魅力」と語っていました。どちらの野菜もオーガニックのものを使っているそうですが、実際に同じビーツのピュレにしても、同じ甘さを出すのに、ヨーロッパの野菜よりも甘さが控えめなので、ビーツを多く使っているようで、テクスチャも濃厚、ビーツそのものの味も複雑な大地の味わいが感じられるものでした。

多くの野菜は、シンガポールとほぼ同じでしたが、こんな小さなな冬瓜も。酸味がしっかりあって、噛むとキャビアライムのような種の食感がはっきりあるのが印象的でした。

Saury Fish Goh

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ここで日本の秋の味覚、さんまが登場。通常は冷菜のテリーヌにするそうですが、今回はこの後のパスタも冷たいパスタ、ということで、コンフィにしたさんまを温かいコロッケ仕立てに。衣は製パン用のイーストを混ぜ込んで、軽く薄く仕上げて。「揚げ油が210度を越すと、ふわっと膨らんで、とっても軽くなるんです」と福山シェフ。よくコラボするGagganシェフのカレー入りの炭のコロッケも少し思い出す仕立て。黒七味と醤油のパウダーをたっぷりと乗せて。クリスピーに焼き上げた衣はサンマの皮、それに醤油と七味をつけて食べる、焼き魚の再構築のようなお皿。サイドには、「お口直しに」とイチジクを。

Hokkaido Sea Urchin Pasta Il Ristrante

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程よいアルデンテに仕上げた、冷製パスタにしては太めの、もっちりとしたスパゲッティに負けない、滑らかに乳化された北海道のウニと日本のトマトにあさりの出汁を加えた、様々な旨味が重なり合ったリッチなソース。さらにフレッシュなウニを乗せていただきます。ちなみにパスタは、Monograno Felicettiという、シングルオリジンのオーガニックの小麦粉を使ったこだわりのブランドのもの。

Abalone/ Truffle/ Shiitake Mushroom Goh

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大根の上に昆布を敷き、その上で3時間蒸し器で蒸しあげたというアワビを、肉厚の椎茸とともに優しく火を入れて、しっとりと優しい食感に仕上げます。上からは、焦がしバターと椎茸、玉ねぎのピュレを合わせたエスプーマをかけて。下には、本来はリゾットのところを、「炭水化物が多すぎないように」とマコモだけと肝を混ぜて表面をカリッと焼き上げたレンコン餅に。間には、濃厚さを和らげる水分、大根を、あおさのパウダーが磯の香りと旨味を後押しします。この辺りの全体の流れを見た調整具合も、福山シェフが様々なコラボレーションで人気の理由の一つかも。お隣の席のMark Liuさんも、「実は椎茸は大嫌いなんだけれど、これはアワビのように食べられる」と完食されていました。

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Kagoshima Wagyu / Truffle Il Ristrante

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こちらは、鹿児島和牛のサーロインの薄切りを、しゃぶしゃぶのイメージで、軽く火を通し、そのロゼ色になった半生の肉を、イタリアらしい、トリッパ入りのたっぷりの牛の出汁でいただくというもの。

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和牛の頰肉、トリッパ、アキレス腱と、ゼラチンたっぷりの部位を、ラグーのように煮込んであります。とても甘く、炒めタマネギやポルト酒をを使っているのかと思ったら、なんと水と肉だけでこの濃厚な味を出しているのだとか。皿の上に過剰にものを置かない、ミニマリストのLucaシェフらしい料理。

下には、牛肉と相性抜群の、皮も含めて丸ごと40分炒めた玉ねぎの芯の部分をほんの少しだけスモークして。玉ねぎの中で料理した玉ねぎ、というべき部位で、しっとりと甘く仕上がっています。サイドには玉ねぎのピクルスを添えて。

ホースラディッシュとグリーンマスタードは、イタリアで肉を食べる時の定番の薬味。

Pear Ricotta Salted Caramel Il Ristrante

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お皿に統一のイメージがあって、見たときに何が使っているかわかる料理を出して行きたい、というのが、Lucaシェフと、デザート担当のFabrizio Fioraniシェフの共通するポリシー。アートとデザイン、ファッションをこよなく愛するFabrizioシェフは、主役の食材をモチーフにしたユニークなプレゼンテーションで、「食材が何か」を表現して行きます。

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山形の洋梨を使ったデザートは、形そのものも洋梨型。

一番上の層、砂糖を使わないメレンゲは、洋梨のピュレ、チコリから取った水溶性の繊維、イヌリンを使っています。

その下にはごく薄いチョコレート、低カロリーのヴェネト産のリコッタチーズを使ったクリーム。洋梨のピュレ、クッキー生地で、洋梨とリコッタチーズのタルトのような構成。「ヨーロッパの果物よりも、日本の果物は糖度が高いので、砂糖を他の党に置き換えるようにしている」と言います。同じ糖分でも、よりヘルシーなデキストリンやトレハロースを使い、甘さ控えめの軽やかな味わいにしています。

サイドの塩キャラメルジェラートは、もちろんその場でクネルをして提供、気づいたのは、テクスチャがとても柔らかく、すぐとろけてしまうギリギリの温度で提供されていること。そのテクスチャから、とろけるリキッドキャラメルのイメージを表現しているよう。ほんの少しパームシュガーを使って、味わいにコクを出して。

最後は、台湾のグルメコーヒーと言えばここ、という人気のカフェ、Fika Fika Cafeのコーヒーで締めくくり。

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チャンピオンバリスタとして知られる、James Chenさんが、2013年にNordic Barista Cupでチャンピオンになった時と同じロースト、同じ種類の豆でのコーヒー。

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2種類の豆のブレンドで、柑橘のようなすっきりとした酸味とコク、甘みのバランスの取れた味わいでした。

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2年目を迎えたInternational Chefs Summit 2018、来年は台湾のシェフたちを連れて、アジアの他の場所で開催される可能性もあるとか。去年よりもさらに、台湾のシェフたちと世界のシェフたちの交流もさらに密になってきている気がして、これからますます楽しみです!

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■International Chefs Summit Asia 2018

イベント日時:2018年10月15日〜18日

■Inge's (Taipei Marriott Hotel)

営業時間:ブランチ 11:00〜15:00(土曜、日曜のみ)、ディナー 18:00〜22:00、バー 17:00〜25:00(日曜〜木曜)、〜26:00(金曜、土曜)、無休

住所:No. 199 Lequn 2nd Road, ZhongShan District, Taipei

TEL:+886 2 2175 7997

筆者

シンガポール特派員

仲山今日子

趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。

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