ミシュラン香港・マカオガラディナー2019
2016年にスタート、今年で3回目を迎える、ミシュラン香港・マカオのガラディナーにお邪魔してきました。
ちなみに、シンガポールでは、ガラディナー=星の数の発表ですが、香港・マカオでは、プレス向けに、午後から記者会見があり、どのレストランがいくつ星を獲得したかは、ガラディナーの前に判明します。
さて、そのガラディナー。マカオと言えば、カジノの街というイメージが強いものの、近年「美食の街」として、官民一体となって非常に力を入れています。
通常、レストランにおける、料理の金額に対する食材費の割合は、20〜30%と言われていますが、マカオのレストランは、カジノにやってくるお客様へのサービス、という位置付けが強いため、食材費には制限がない、という店も少なくありません。
以前お邪魔した和食店に質問したところ、「食材費は78%」と、通常のレストランの倍以上の金額が飛び出したことも。美食の街・香港に住んでいても、「食事のためだけにマカオに行く」というフードジャーナリストの友人たちも多いもの。
今年のガラディナーの会場は、シティ・オブ・ドリームス内の、Grand Hyatt Hotelです。
毎年世界から著名なシェフを招いて行われるガラディナーですが、今年は、「Metamorpheus(メタモーフォシス、変容)」をテーマに、以下のシェフが7コースのメニューを担当しました。
Poached Gillardeau Oyster No. 3.
ザ・テイスティング・ルーム、ファブリス・ヴリンシェフ(香港・マカオ2019年2ツ星)
Fabrice Vulin, The Tasting Room
「牡蠣のロールスロイス」とも呼ばれる、ジラルドーの牡蠣に優しく火を入れて、牡蠣の殻を開けた時に出るジュースで作ったゼリー、そしてハマグリやまて貝などの貝の甘みと合わせて。海の香りで合わせたクリスタルキャビア、生姜のクリームとフランス・マントン産のレモンのコンフィ、シャキシャキした細切りにしたりんご、フェンネルの葉で、さっぱりと仕上げてあります。
Masa Toro Caviar
Masa 高山雅シェフ(ニューヨーク、2019年3ツ星)
Masa Takayama, Masa
シグネチャーの、トロとキャビアの一皿。もともと、ビバリーヒルズに出店していた頃、キャビアを美味しく食べられないか、と考案した一皿。癖のないマグロの中トロをキャビアの塩気と合わせていただきます。キャビアは、先ほどのものよりエイジングしてあるのか、ねっちりとして油分を多めに感じる、肉に合いそうなキャビア。皮は薄めで、柔らかな食感でした。サイドに添えたトーストにつけていただきます。
Fish Maw in Rabbitfish Soup with Crab Meat Roll
ジェード・ドラゴン、ケルヴィン・オー・ユンシェフ (香港・マカオ、2019年 新3ツ星)
Kelvin Au Yeung, Jade Dragon
コラーゲンたっぷりの、とろりとした魚の浮き袋のスープは、干し貝柱の旨味が強く、フカヒレのようなプリプリの浮き袋と、蟹とキクラゲを湯葉で包んでから揚げて、蟹の殻のパウダーをかけてある、海の旨味たっぷりの一品。
Cookpot of Blue Lobster, Black Truffle and Potato
アランデュカス・オー・プラザ・アテネ、 アラン・デュカスシェフ (フランス、2018年 3ツ星)
Alain Ducasse, Alain Ducasse au Plaza Athénée
アラン・デュカスシェフがプラザ・アテネから約10人のチームを連れてきて作ったのが、こちらの一皿。
オーセンティックな香りながら、軽めに仕上げたビスク、ブルーロブスターはとても柔らか。胡椒はやや強めの印象です。ジャガイモはねっちりするタイプではなく、サクッとした食感で、火の入りも軽め。もう少し粘りのある品種を使って、じっくりと火を入れた方が個人的には好みでした。上からたっぷりと、刻んだ黒トリュフをかけて。
Steamed Sea Bass Fillet in Fermented Bean Sauce
龍景軒 チャン・ヤン・タクシェフ (香港・マカオ2019年 3ツ星)
Chan Yan Tak, Lung King Heen
スズキの仲間のシーバスに、発行した黒豆ソースをかけて。
伝統的な家庭料理だという、蒸し魚の黒豆ソース。下には春雨が敷いてあり、魚の脂の旨味を絡めていただきます。
Charcoal Grilled Kagoshima Beef Ribeye and Charred Cabbage, Black Truffle with "Jus Corsé'
マンレサ デビッド・キンチシェフ(サンフランシスコ2019年 三ツ星)
David Kinch, Manresa
脂のたっぷり乗った鹿児島和牛のリブアイを炭火で焼き、クリスピーになるまで焦がしたキャベツ、そしてジュ・コルス、黒トリュフをたっぷりスライスして。
まるで野菜チップのようにカリッとした食感のキャベツが香ばしく、甘さも引き出されていて面白い一皿。
Truffle
ピエール・エルメ、 ピエール・エルメシェフ
Pierre Hermé
一番、「変容」というテーマをうまく表現しているのではないかと感じたのはこの一皿。ピエール・エルメ氏が、テーマにしたのは、残り香、というような意味の『シアージュ(sillage)』。最高級のペリゴール産の黒トリュフとヘーゼルナッツを2つのメイン食材に据え、その二つの食材の味わいの間を行ったり来たりしながら楽しむというもの。味わいが一口ごとに変容するのを楽しむデザートだ。ダークチョコレートのシェルの中に、甘さを抑えた軽やかな黒トリュフの生クリーム、さらにヘーゼルナッツクリームとペースト、ヘーゼルナッツシロップに漬けたスポンジケーキが入っていました。
また、こちらでも改めて、星を獲得したシェフたちの名前が読み上げられ、壇上で会場の拍手を浴びました。
ちなみに、今年の星受賞レストラン全リストはこちら↓
一ツ星(継続)
Ah Yat harbour view
Arcane
Beefbar
Celebrity Cuisine
Duddell's
Fu Ho (Tsim Sha Tsui)
Ho Hong Kee
I M Tepwpanyaki & Wine
Imperial Treasure
Jardin de Jade (Wan Chai)
Kaiseki Den by Saotome
Kam's Roast Goose
King
Lai Heen
Lei Garden (Kwun Tong)
Lei Garden (Mon Kok)
Loaf On
Man Wah
Mandarin Grill + Bar
Ming Court
Pang's Kitchen
Pearl Dragon
Qi (Wan Chai)
Rech
Shang Palace
Shinji by Kanesaka
Spring Moon
Summer Palace
Sushi Tokami
Sushi Wadatsumi
Takumi by Daisuke Mori
Tate
The Golden Peacock
The Kitchen
The Ocean
Tim Ho Wan (Sham Shui Po)
Tim's Kitchen
Tosca
Wing Lei
Yat Lok
Yat Tung Heen (Jordan)
Ye Shanghai (Tsim Sha Tsui)
Yee Tung Heen
Ying
Zhejiang Heen
Zi Yat Heen
一ツ星(新規)
Arbor
Guo Fu Lou
New Punjab Club
Octavium
Xin Rong Ji
二ツ星(継続)
Feng Wei Ju
Forum
Golden Flower
Kashiwaya
Pierre
Sun Tung Lok
Tenku RyuGin
Tin Lung Heen
Yan Toh Heen
二ツ星(新規)
Alain Ducasse at Morpheus
Ecriture
Sushi Saito
Ying Jee Club
三ツ星(継続)
Bo Innovaition
L' Atelier de Joel Robuchon
Sushi Shikon
T'ang Court
三ツ星(新規)
Jade Dragon
筆者
シンガポール特派員
仲山今日子
趣味は海外秘境旅行、現在約50カ国更新中。
【記載内容について】
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