ブルガリアの子供たちの夏の過ごし方:Manastir村訪問

公開日 : 2020年08月29日
最終更新 :
筆者 : チカ

バカンスをしっかりとる欧米諸国は夏休みが2ヵ月近くある学校がほとんど。

そんななかでもブルガリアの公立校はさらに長く、小学校だと5月下旬から9月15日まで、約4ヵ月間も夏休みがあります!

「そんなに長期間休んでどうするんだろう?」という疑問もわいてくるし、両親が働いている場合、夏休み中の保育は家庭内の大きな問題になりますよね。

そこで活躍してくれるのが祖父母!

幼稚園〜小学生くらいの小さな子供が田舎に住む祖父母のもとで夏を過ごすというのはブルガリアではよくある過ごし方のようです。

ブルガリアは自然に恵まれ、山も多い地形をもつ国。

現在は首都ソフィアや人口第二の都市プロブディフに住む人が多くなっていますが、祖父母は山間の村に住んでいるとか昔使っていた家がまだ山にあるという人も。

そのため、夏の間は祖父母と子供(孫)だけで村の生活を楽しむパターンをよく耳にします。

村での生活について話しには聞いたことがあり、興味津々だった私。

この夏、知人の紹介でとある村を訪れ、村での暮らしを体験することができました!

今回はそのとき訪れた場所の紹介です♪

ロドピー山脈に位置するManastir村(マナスティール村)

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今回私が訪れたマナスティール村は、ギリシャとの国境近く、首都ソフィアから約3時間半ほど離れた場所にある山間の小さな村。

この村自体は有名な観光地ではないのですが、その分よりリアルなブルガリアの村の様子を見ることができました。

マナスティール村の中ではほとんどの人が知り合いで、「この家はAさんのいとこで、叔母さんの家があっちで〜」という感じで親戚同士が多く住んでいて、助け合って生活している様子でした。

ブルガリアは山が多いので、このような親戚同士で成り立つ山間の小さな村がたくさん存在するそうです。

学生や若者、子育て世帯は、学校や仕事のため町(この場合、多くは約1時間半離れたプロブディフという都市)に住み、普段村で生活しているのは高齢者が中心。

ただし家族同士のつながりが強いブルガリアでは、夏休みだけでなく、週末には村を訪れ必要な物資を届けたり家族で過ごしたりしています。

村には小さな商店やコーヒー屋さんがある程度。

決して便利とは言えませんが、野菜や果物を庭で育て、それを近隣の人と分け合ったり、そこかしこに人が集まり、談笑したりする様子はとても温かく感じられ、豊かな生活を送っているとさえ思いました。

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ちなみに余談ですが、ロドピー山脈のなかで最も有名な地域はスモーリャン地方。

スモーリャン地方はブルガリア国内でも村民が長寿であることでよく知られています。

そしてその理由を調べたところ、ヨーグルトの消費が多く、その因果関係に着目した教授がヨーグルトが健康にいい(=長寿の理由のひとつではないか)という説を唱えたそうです。

日本ではブルガリアといえばヨーグルトですが、ブルガリアヨーグルトのルーツはこのロドピー山脈にあったんですね!

自然や動物と親しむ昔ながらの生活

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もともとブルガリアが農作物を育てるのに適した気候、かつブルガリア人は(意外にも?)勤勉なので、庭で野菜や果物を作っている人もたくさん。

また少し山歩きをすれば、タイムやセントジョーンズワートといった有名で比較的高価なハーブティーになる植物も多く見かけます。

こういった豊かな自然の恵みを受け、ここでは多くのものを手作りしていて、カシスリキュールや自家製ラキアなどを近隣に配る人もいるようです(※ブルガリアでは個人でのアルコールづくりは禁止されていません)。

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また人によっては馬や牛を飼っていて、動物たちの健康と食事のために朝夕散歩をしたり、草原に連れていく際には道路を歩く牛や馬を見かけることもあります!

馬はソフィアでもロマ人という人種の方々が飼育しています。よく見かけますが、牛の散歩を見たときはかなり驚きました。

普段町での暮らしでは得られないような経験がいっぱい!

私たちが村に滞在したのは2泊3日と短かったですが、充実した時間を過ごすことができました。

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馬に乗ったり、

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伝統衣装を着せてもらったり,

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木苺農園に行き、木苺を摘んでみたり。

私はもともとあまりアウトドア派でも田舎暮らしに強い興味があったわけでもありません。

そのため、村を訪れる前は「町に住む子供が田舎で夏を過ごすのは退屈したりしないか」と疑問でした。

けれど、山を歩き回ったり野菜や果物を収穫したりと、想像以上に楽しめて大満足の3日間で、大人も子供も普段とはまったく違った時間を満喫しました。

今回はブルガリアの小さな村での生活を紹介しましたが、実際世界中の大都市がそうであるように、都市への人口流入が続き、徐々にこうした村の存続が難しくなっています。

仕事や生活の利便性から考えればやはり都市部での生活は魅力的ですが、田舎暮らしのよさを実感し、こういった場所が今後も残っていったらいいなと感じました。

今回紹介したマナスティール村、キャンプやハイキングでロドピー山脈を訪れた人が泊まることも多く、数件のホテル(ゲストハウス)がありました。

先ほども書いたとおり、もともとは都会育ちであまりアウトドアに親しみのない私でもこの村の滞在を楽しむことができたので、

コロナウイルスの影響が収まって自然と親しむような生活に興味がある方は、ぜひ一度ブルガリアの山間部にある村を訪れてみることをおすすめします!

筆者

東京特派員

チカ

2018年8月から2022年5月までブルガリアの首都・ソフィアに住んでいた主婦。4年ぶりに東京に戻ってきて改めて日本の良さを実感しています!

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