そうだ、クジラを見に行こう!

公開日 : 2001年07月22日
最終更新 :

シドニーは今が一番寒い真冬にあたる。朝晩ぐーんと冷え込むこの季節、実はクジラが見られる絶好のシーズンでもある。夏の間はエサの豊富な南極方面で過ごすクジラが、水温が下がる冬になると北上してくるからだ。暖かい海で子どもを産むため、冬の終わりには小さな子クジラと一緒の姿が見られることも多い。オーストラリアの東海岸沿いを移動するザトウクジラの数は、今では3,000~4,000頭と言われているが、捕鯨が禁止された1962年当時の生息数は200~500頭で、その後10年ほど沖合いで目撃されることはほとんどなかったらしい。シドニー沖は、5月下旬から7月にかけて北上し、9月から11月にかけて南下するクジラたちの通り道だ。今年は、わずか2時間の間に20頭以上のクジラが確認されたこともあり、例年以上に数が増えているようだ。つい先日も、ひどい傷を負って、シドニー湾に迷い込んだクジラがいて、数日後に仲間が迎えに来たという心温まるニュースが流れていた。シドニーから一番近いところでウォッチング用の船が出ているのは、車で北に約2時間半のところにあるポートスティーブンス。通年イルカが見られることから観光客にもよく知られている街だ。専用のクルーズ船では双眼鏡を手にしたクルーが上空を飛ぶ小型飛行機と連絡を取ったり、ほかの船と情報を交換したりしながらクジラを探し出し、見つけたら一路そこへ向かう。自然保護の立場から100メートル以内には近づいてはいけない、という決まりがある。船に乗らなくても、運がよければ陸からクジラが見られるスポットがシドニー近郊にはいくつかある。2年前には北部のビーチ近くをいつまでもウロウロして、「アレックス」という名前までつけられた人気者(?)のクジラがいたくらいだ。青空の広がる週末には「そうだ、クジラを見に行こう!」というノリで、双眼鏡とコーヒーを持って出かけることが、我が家でも年中行事として定着している。高層ビルのある中心部から車でたった15~30分ほど走っただけでビーチがいくつもある街に住む、ささやかな冬の楽しみのひとつである。

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(C)Middy Nakajima

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