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ウズベキスタン/タシケント特派員ブログ 伊藤 卓巳 さん

ウズベキスタン・タシケント特派員が現地からアジア地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2022年6月16日

51. 「ほぼ無観客試合」で潰えたU-21日本代表アジア制覇の夢。U-23アジアカップ観戦記後編


51. 「ほぼ無観客試合」で潰えたU-21日本代表アジア制覇の夢。U-23アジアカップ観戦記後編

サローム(こんにちは)!


ウズベキスタンで開催中の23歳以下のアジア王者を決めるサッカー大会、AFC U-23アジアカップが佳境に入っています。以前の記事ですでに開会式と地元ウズベキスタンの初戦、日本の初戦UAEとの試合の観戦の模様をレポートしましたが(48. サッカーU-23アジアカップ開幕!開会式&日本代表初戦レポート )、幸いなことに以後も日本の試合を全て観戦することができました。
2024年のパリ五輪を見据えて全員21歳以下のメンバーで臨んでいるU-21日本代表ですが、チームを率いる大岩監督は開幕前のインタビューで「この大会を貴重な経験の場と思って参加していない。優勝を目指してしっかり準備をしている」と話したとのことです(引用記事:https://web.gekisaka.jp/news/detail/?360414-360414-fl )。私をはじめ在タシケント邦人も、この地にやって来た若き日本代表をできる限り応援しようと心に決めていました。



グループリーグ2戦目の相手はサウジアラビア。年齢制限のないA代表は日本などとともに今年のカタールワールドカップの出場を決めており、そのA代表に入っている選手が今回の大会にも召集されているというかなり手ごわい相手です。
なかなか厳しい試合でしたが、守護神の鈴木彩艶選手のスーパーセーブもあって0-0のスコアレスドロー。


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決勝トーナメント進出を懸けたグループリーグ最終戦はタジキスタンとの対戦。今まで2戦とも会場がパフタコールスタジアムでしたが、この試合はブニョドコルスタジアムで行われました。私はこれまで2回このスタジアムに行ったことがありますが、ここは10年前に開場した全席屋根つきの最先端スタジアム。サッカー専用競技場のため陸上トラックなどがなく、スタンドからピッチが近いので見やすさは抜群です。


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この試合はサウジ戦に続いて2戦連続で日本に退場者が出てしまいましたが、松木選手、佐藤選手、中島選手とこの2戦でほぼ出番がなかったフレッシュなメンバーが決めて3-0できっちり勝利。在留邦人のほか知人のウズベク人学生も試合に駆けつけてくれ、さらに試合中も日本サポーターの応援に感銘を受けたのか日本応援エリアに現地観戦客が続々入ってきましたが、彼らもニッポンコールを叫んでくれて嬉しい限りでした。


なおこの試合では先述の通りピッチと応援席が近いということもあり、試合中継(この大会は全試合DAZN(ダゾーン)が担当)にたびたび日本サポーターの姿が映りました。1、2戦目は前半メインスタンド、後半サポーター席という流れで応援していた私ですがこの試合はずっとサポーター席で応援しており、日本から駆けつけてくれたウルトラス(日本代表の熱烈サポーター)の方々とともに叫びまくっている様子が何度も大写しにされたようです。試合中は知人からの発見報告の連絡が絶えませんでした(笑)



そして負ければ即敗退となるノックアウト方式の決勝トーナメントへ。グループリーグを2位通過した日本は、別グループで1位になった韓国と対戦することになりました。そう、ウズベキスタンの地でまさかまさかの日韓戦実現です。私自身日韓戦を生観戦するのは初めてで、この日は朝からずっと心の震えが止まりませんでした。


日曜の現地時間18時キックオフと観戦しやすい時間帯で、アクセスのいいパフタコールスタジアムでの開催だったこともあり、在留邦人に観戦のお誘いのご連絡をしたところかなりの方から反応がありました。グループステージ3試合の日本人観客数はいずれも30人ほどでしたが、この試合は4、50人いたのではないでしょうか。
しかし日本人よりはるかに在ウズベキスタン人口が多い韓国人、大応援団を結成して臨んできたのでした。その数おそらく200人ほど。さらに謎の大音量楽器やスティックバルーンまで完備で圧倒されます。


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が、私たちも負けじと声を枯らして応援。さらにウルトラスの方がこの試合から「大岩JAPAN優勝へ突き進め」という巨大な横断幕を持参してきました。選手入場時に皆で掲げましたが、選手たちと大岩監督の目に届いたでしょうか。


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序盤は押され気味だったものの、前半のうちに鈴木唯人選手のフリーキックが直接決まり先制。その後も韓国に決定機を与えず、逆に後半細谷選手のエースらしい気迫のこもったゴールで追加点、さらにこの日2点目となる鈴木唯人選手のダメ押しゴールで3-0。攻守全てが素晴らしかった完璧な試合でした。


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選手たちが挨拶に来たときに先ほどの横断幕を掲げながらオオイワ!ニッポン!コールをすると、大岩監督がこちらに一礼して手を振ってきた姿が忘れられません。なんてかっこいい指揮官なんだ......。


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▲この試合も知人の学生たちが応援に加勢。ラフマット(ありがとう)!



次の準決勝は地元ウズベキスタンと当たることになりましたが、ここで信じられない大問題が発生。日韓戦前日に行われたウズベキスタンvsイラク戦で、審判の判定に怒ったウズベキスタンサポーターがピッチに石などを投げ込み、カメラマンなどが負傷。PK戦の末勝ったものの、日本vsウズベキスタン戦は無観客試合で開催という裁定が下されたのです。
私はこの試合を途中から見ていたものの、確かに時折物が投げ込まれ、ほぼ1分に1回「ピッチに物を投げないでください」「ウズベキスタン文化を尊重してください」とアナウンスが流れる異様な雰囲気でした。しかしこんな惨事になっていたとは!


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▲32000人のウズベク人ファンが押し寄せたパフタコールスタジアム


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▲スタジアムからの帰り道もこの通り......


このようなことを犯したのはほんの一部のファンだと願いたいのですが、到底許されることではありません。今大会の試合のチケットが極端に安く(日本円換算で最安チケットが約100円)誰でもチケットを買えた上、名目上全席指定席のはずなのにチケットさえあればほぼどこのスタンドにも立ち入り自由だった、という状況がこの事件の一因ではないかと思われます。


日本人もこの試合を観戦できないのか......と落胆していると、試合前日夜になって「日本人のみ入場可能になった」とまさかの発表。ホーム側のみ無観客でアウェー客は観戦OK、こんな措置はサッカー史においてほぼ前代未聞ではないでしょうか。私たちは歴史の目撃者になれたのかもしれません。
しかし本来なら3万人のウズベク人に囲まれてプレーできたはずの試合、選手も私たち観客もアドレナリン全開になっただろうにこの措置になって残念でなりません。さらに残念なのは、一緒に行く約束をしていたウズベク人の知人が行けなくなってしまったこと。あなたの力で入れるよう何とかしてよ......と何人ものウズベク人に言われましたが、どうすることもできません。結局ウズベク人観戦客への対応として、スタジアムの隣でパブリックビューイング会場が設けられたようです。


さて、私たち日本人はスタジアムで選手たちを応援するのみ。会場はブニョドコルスタジアムです。


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日本人サポーターの数は30人ほど。ウズベキスタンでの試合のはずなのに、日本人の応援のみがスタジアムに響く不思議な空間です。
......と思いきや私たちの応援に焦ったのか、何と目の前のウズベク人カメラマンたちが声を揃えてウズベキスタン! と何度もコールしてくるではありませんか。これがアウェーでの戦いなのか......。しかしそんなことは許されるはずもなく、しばらくしてお偉いさんらしき人が注意しに来ると、その後はずっと黙っていました(笑)


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相手のウズベキスタンも日本同様21歳以下のチームで、年齢のハンデはありません。さぞかしホームの大観衆の後押しがなく気落ちしているだろう......と予想していましたが、彼らが待っている決勝に何としてでも行ってやる! という気持ちの方が強かったようです。想像以上の強さと気迫で日本を押し込んでいきました。
そして後半、このチーム一番の注目選手の10番ジャロリディノフが見事なミドルシュート、これがゴールに突き刺さり日本失点。すぐさま反撃にでますがなかなか攻撃を組み立てられず、逆に終了間際にも失点して万事休す。U-21日本代表のアジア制覇の夢がこの瞬間終わりました。


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相手のウズベキスタンより試合間隔が短く疲労がたまっていた、灼熱の慣れない気候に苦しんだ、チーム内にコロナウイルス陽性者が出てしまい選手層が薄くなってしまった、など敗因はいくつも考えられますが、この世界では結果が全て。きっとこの敗戦を糧にして、さらなる高みへ歩んでいくことでしょう。
まずはオーストラリアと戦う3位決定戦も全力で応援したいと思います。そして私にとって思い入れのあるチームになったこのチームを、パリ五輪まで見届けるつもりです。


そして逆境の中で見事な勝利を得たU-21ウズベキスタン代表、おめでとうございます。地元ファンの大声援の中で有終の美を飾られるよう期待しています!



なお私の個人ブログでは、今回観戦したU-23アジアカップの試合を一戦ごとレポート記事としてまとめています。ご興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
ユーザータグ「U-23アジアカップ2022観戦」が設定された記事 - 1ページ目 - takumiの世界ふらふら街歩き(副題:タシケントで駐夫してます。)


それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

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    伊藤 卓巳 さん
    学生時代にバックパッカーとして中央アジア諸国を制覇した、根っからのスタン系大好き人間です。JICA青年海外協力隊観光隊員としてサマルカンドに住んでいましたが、コロナ禍により帰国。その後妻の現地赴任にともない、主夫としてウズベキスタンに帰ってきました。まだまだ知られていないこの国の魅力や情報を、首都タシケントより愛をこめてお伝えします! ブログ「takumiの世界ふらふら街歩き」、ツイッター(@jv_samarkand19)でもウズベキスタン情報発信中。 DISQUS ID @disqus_I6DP1RIHwR

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