57. タシケントから日帰りでもう1スタン!カザフスタンのシムケントへ

公開日 : 2022年07月09日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

私はバックパッカーの方などと話すとき、よく何スタン行った?と聞きます。ウズベキスタンのみなら1スタン。キルギス(英語表記だとキルギスタン)とカザフスタンだけ行ったことある方は2スタン。その他トルクメニスタン、タジキスタン、パキスタン、アフガニスタンと独立国で「スタン」がつく国は7スタンあり、この7スタンをコンプリートしたのが私の数少ない取り柄です。私以外使っている人を見たことがないレアな単位ですが、今後流行らせていきたいものです。

さて、ウズベキスタンにいらっしゃった方はその時点で1スタンとなるわけですが、簡単にもう1スタン増やせる方法があります。タシケントから隣国カザフスタン国境まではわずか2~30km、たった30分で国境にたどり着くことができるのです。カザフスタンビザも不要(2022年7月現在)で、この国境を越えると一瞬で2スタンの称号が得られます。この記事ではタシケントから行くカザフスタン国境越え情報、さらに近くの大都市シムケントの観光情報をお伝えしましょう。
なおこの記事掲載の所要時間や料金などは2022年5月現在の情報で、今後変動する可能性があることをご了承ください。

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いかにもカザフスタンらしい光景の、シムケント中心部にある金色ドームのオルダバスモスクと巨大国旗

先述のとおりタシケントからカザフスタン国境は近く、タクシーでも公共交通機関でも行くことができます。タシケント近くで通過可能な国境は2ヵ所ありますが、メインの国境は通称チェルニャエフカ(チェルニャイェフカ)と呼ばれる地点で、ウズベキスタン側の地名がギシュトクプリク村、カザフスタン側がジベック・ジョリ村。ヤンデックスなどのタクシーアプリでタクシーを呼べば3万スム(2022年7月現在のレートで約300円)・所要30分ほどで国境のイミグレーション前まで行けます。または地下鉄ユヌサバッド駅近く、ショッピングモールUniversam Yunusabad前から国境方面に行く589番バスやマルシュルートカ(乗り合いバン)が出ており、これを使えばわずか3000スム(2022年7月現在のレートで約30円)でイミグレーション近くまで行くことができます。

また1日3便ある国際バスや、週3便走っている国際列車だと、タシケントから直接シムケントへ向かうことができます(詳しい情報はページ最下部のブログリンク参照)。私が実際利用したのは、タシケントからタクシーで国境に移動し、カザフ側で乗り合いタクシーに乗り換えてシムケントへ向かうというアクセス方法です。

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ユヌサバッド駅近くに停まっているチェルニャエフカ行きマルシュルートカ

私が行ったときはイミグレーション近くにいくつかPCR検査所があり、タクシーで到着した瞬間にここの客引きがやってきました。検査を受けるとすぐ結果を渡してくれるようでしたが、本当に正確な結果が出るのか疑わしく、確実に国境通過できるよう即席陰性証明書を発行しているだけの怪しい検査所だったのかもしれません......。いずれにしろ当時は陰性証明書がなくてもワクチン3回接種証明書があればカザフスタンに入国でき、私は接種証明書を持参していたので客引きをスルー。2022年7月現在はカザフスタン入国、ウズベキスタン入国ともCOVID-19関連書類不要となっています(実際に国境越えを計画されている方は必ず最新情報をご確認ください)。

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いかにもスタン同士の国境らしい、雑然とした雰囲気のチェルニャエフカ国境

国境越えプロセス自体はいたって簡単で、案内や係員の指示に従ってウズベキスタン側のイミグレーションで出国手続き、隣接するカザフスタン側のイミグレーションで入国手続きを行います。島国日本では絶対経験できない、ロマンあふれる(?)陸路国境越えにテンションが上がること間違いありません。私は今回妻を同伴して行きましたが、徒歩で国境を越えたのがこのとき初めてだった妻が感極まってカザフスタンに入った瞬間「ウラー!(万歳!)」と絶叫。しかしカザフスタンのイミグレーション係員は一緒に喜んでくれることもなく、ただ白けて見ているだけでした......。

無事国境を越えたあとは、シムケントの町へ向かいましょう。カザフスタン入国後、今度はタクシーや路上両替営業などが多数待ち構えていますが、彼らをやり過ごすと簡素な両替店や乗り合いタクシーが並んでいるエリアがあります。両替、タクシー探しともここで行ったほうがよいでしょう。

私が行った2022年5月末では、両替レートは1000ウズベキスタンスム=25.5カザフスタンテンゲ(交渉すると26テンゲになった)、シムケントまでの乗り合いタクシーは4人集まって一人2000テンゲ(2022年7月現在のレートで約600円)でした。運がよければ、タクシーより少し安いと思われるマルシュルートカも見つかるそうです。

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シムケントまでは、見事な大草原の中を突っ走ります。国境を跨いだだけなのに車窓がウズベキスタン側と大違いで、草原の国カザフスタンに入った!ということを実感させてくれる道のりです。この眺めを楽しんでいると、1時間30分ほどでシムケントに到着。

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このシムケントはウズベク系やロシア系住民も多い多民族都市で、カザフスタン第3の規模を誇る活気ある町です。しかしながら目立った観光地はないので、世界遺産のヤサウィ廟があるトルキスタン、またはアルマティやヌルスルタンなどへと旅を続けたい方はシムケントに滞在せずそのまま乗り換えて行ってしまった方がいいかもしれません。ただタシケントから日帰り観光に来られた方にぜひ行っていただきたいスポットもあるので紹介しましょう。

まずは中央バザール(カザフ語でQyrgy Bazar)。ロシア語では中央マーケットを意味するЦентральный рынокのほか、上バザールという意味のВерхний рынокとも呼ばれているそうですが、その名のとおり小高い丘の上にあり、城塞がそのまま市場になったかのような格好いいロケーションです。月曜はお休みなのでご注意。

冒頭の写真のオルダバスモスクと巨大国旗、またすぐ近くにある独立記念碑はこの中央バザールのすぐ南西にあるので、あわせて行かれることをおすすめします。

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丘に例えると麓から頂上まで服屋さんがびっしり並ぶ状態。カザフTシャツも売っているのでおみやげにぜひ

食料品売り場はだいたいウズベキスタンのバザールと同じような品揃えですが、いかにもカザフスタンらしさが感じられるのがバザール南側のトレ・ビ通り(Tole Bi Street)に面した肉売り場。カザフ人はウズベク人より肉の食べる量が多いと言われていますが、中でも馬肉料理をよく食べるのが特徴。肉肉しいにおいでいっぱいの肉売り場には、馬肉の腸詰め「カズ」が大量に売られています。

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そのすぐ近くには、ローカル感満点のシャシリク食堂もあります。この町が本場の名物ビールで、タシケントのバーでもよくおすすめされる「シムケントスコエ」も飲むことができます。

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ビールといえば、中央バザール東側のトレ・ビ通りとサルバズダル通り(Googleマップ上の名称はウーリツァ・サルバスダル)の三叉路で偶然発見したソビエト風ビール専門店「ピブ・ソユーズ」もビール好きにおすすめできるお店でした。外観も内装もレトロで、持ち帰りでも店内飲みでも新鮮な生ビールが楽しめます。

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シムケントスコエと並ぶ名物ビール、シグマを注文。手榴弾のようなボトルに入れてくれた(笑)

中央バザールの西側に広がっているのが、19世紀後半のロシア軍侵攻以前からあった旧市街。まっすぐ延びる道路ばかりのほかのエリアとは違い、迷路のような路地が続いています。

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そことは対照的なスポットが、アル・ファラビ広場に面した新しいショッピングセンター、シムケントプラザ。ここに入っているのが、ウズベキスタンにはまだひとつもないスターバックス。日本からいらっしゃった旅行者の方にとっては、カザフスタンでスタバなどわざわざ行く意味が見出せないかもしれませんが、ウズベキスタンから見るとこれはザ・文明の味。在タシケント邦人からすれば、これを飲むだけでもシムケントに行く価値がある......かも。

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ピカピカのショッピングモール、シムケントプラザ
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スターバックスに飢えているウズベキスタン在留邦人の方はぜひ!

タシケントへの帰路はまた乗り合いタクシーやマルシュルートカに乗って国境を目指すことになります。国境行きの車が出ているのが、共和国大通り(Respublika Avenue)とガガーリン通り(Googleマップ上の名称はウーリツァ・ガガーリナ)の交差点付近にある、何とも物騒な名前のコロス・バスターミナル(Kolos Bus Terminal)。バスターミナルといっても、道路脇にずらりと乗り合いタクシーが並び、ドライバーがひたすら呼び込みをしている殺伐とした場所です。ここで国境行きの車とドライバーを見つけ、出発することになります。どの車に乗ればいいかわからなければ、タシケント・タモージニャ(タシケント・イミグレーション)などと周りに伝えるとよいでしょう。

国境到着後は、行きとは逆の流れで出入国手続きを行い、ウズベキスタンに帰還となります。先述のユヌサバッド駅方面行き589番バス・マルシュルートカや各方面へのマルシュルートカ、タクシーがここで待っています。


というわけで、タシケントから簡単にもう1スタン増やせるカザフスタン・シムケントへのショートトリップをご案内しました。タシケントから最短2時間で行けるにもかかわらずカザフ色満載の町で、町歩きしているだけで違う国にやって来た!と感じるはず。ウズベキスタンとの違いをいろいろ見つけて楽しんでくださいね。

なお私の個人ブログでは、さらに詳しい観光・移動情報や、この記事では載せられなかった市バス情報などを載せています。旅行計画を立てられている方はこちらもぜひご覧くださいませ!
カザフスタン情報!2022年版【シムケント/ウズベキスタン国境】 - takumiの世界ふらふら街歩き

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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