70. タシケントから1泊で行けるタジキスタン!国内第2の都市フジャンド(ホジェンド)へ

公開日 : 2022年09月21日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

以前、タシケント中心部から30分で行ける国境を越え、カザフスタンの都市シムケントまで行く日帰りコースをご紹介しましたが(57. タシケントから日帰りでもう1スタン!カザフスタンのシムケントへ)、地図を見れば分かるようにタシケントの南にはタジキスタン国境も迫っています。タシケントは2か国の国境に挟まれているという、日本人にとってはなかなか想像がつかない立地にある首都なのです。

というわけで、今回はタジキスタンへのモデルプランをご紹介しましょう。タシケントを起点にこの両国を往復すれば、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタンとたった数日間で3スタンも制覇できます!

向かうのはタジキスタン第2の都市で北部最大の都市フジャンド。この町はホジャンドやホジャント、フジャントなど表記がいくつかある街ですが、現地言語のタジク語ではフジャンドと発音されるので以下その表記で統一します。なおこの記事掲載の所要時間や料金などは2022年7月現在の情報で、今後変わる可能性があることをご了承ください。

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いかにもソビエト風情があるバスも時折走っており、バスマニアの方にもおすすめの町

まずはタジキスタンのビザ要件について。めでたいことに今年からタジキスタンビザが不要となりましたが、その代わり10日以上滞在する場合はウズベキスタンと同じく滞在登録(レギストラーツィア)が必要となります。フジャンドに数日滞在するのみであれば滞在登録は原則不要ですが、措置が急に変更となる場合もあるので必ず事前にご確認ください。

アクセスはタシケント―フジャンド間直行のAsian Express社運行国際バスを利用する方法と、国境で乗り継ぐ方法の2つ。
国際バスは地下鉄オルマゾール駅近くのバスターミナルから毎日18時に出発、10万スム(2022年9月現在のレートで約1300円)。国際バスだからさぞかし立派なバスだろうと思うでしょうが、実際はまさかの小型マイクロバスなので、

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売り切れる前に早めにチケットを手配したほうがいいでしょう。フジャンドまでの所要時間は約4時間半、途中国境ではバスを降りて自分で越境手続きを行うことになります。フジャンド側の発着地は市内中心部から少し離れたAsian Express社ターミナル、通称タクソパルクですが、タシケントから到着した時間だと市バスやマルシュルートカ(乗り合いバン)といった公共交通機関は走っておらず、タクシー(相場は10~15ソモニ)を捕まえて中心部へ向かうことになりますが、流しのタクシーも少なく拾うのに苦労するかもしれません。

帰りのフジャンド発のバスは朝8時発、100ソモニ。発着時間を見るとわかる通り、フジャンド市民の需要に全振りしておりタシケントからの往復には不便なダイヤです。このバスを往復利用してフジャンドへ向かうには、国境を越えるのだけが目的という方でなければフジャンドで2泊以上の滞在時間が必要になるでしょう。

国境で乗り継いで行く方法だと、まずはタシケント南部のクイリクバザール前の駐車場でベカバード行きのオレンジ色のバスに乗車、運転手にタジキスタン・タモージニャ(タジキスタン国境の意味)や国境の地名オイベックなどと告げて国境手前で途中下車するか(16000スム・所要約2時間)、同じくクイリクバザール前でオイベック直行の乗り合いタクシーを見つけて乗車(相場3万スム・所要約1時間半)。国境を越えてフジャンド行き乗り合いタクシーを探し、再び乗車(相場30ソモニ・所要1時間)することになります。フジャンドではアブカシム・ターミナルという乗り場に着き、11番、19番マルシュルートカなどで市内中心部へ向かうことができます。この方法でスムーズに行けば片道4時間ほどで、1泊2日の日程で行くことも可能ですが、各乗り場が分かりづらく上級者向けの移動方法といえるでしょう。

なお国境では両替所や路上両替商がおり、ウズベキスタンスムからタジキスタンソモニへ両替可能。その他この都市間の移動や国境越えに関する詳しい情報はページ最下部のブログリンクをご参照ください。


それではフジャンドの観光スポットについてご紹介しましょう。フジャンドは中央アジアを横断する大河シルダリヤの南北に広がっている町で、かつてはかのアレクサンドロス(アレキサンダー大王)も到来し、最果てのアレクサンドリアを意味するアレクサンドリア・エスハテと名付けられたという歴史を持つ古都。

中心部や歴史地区はシルダリヤ南岸にあり、その中でもまず行くべきところが木曜日市場を意味するパンシャンベバザール。現在は毎日開かれている活気あふれる市場で、中央アジア最大規模のバザールといわれています。そのアーケード状の建物はソ連時代の1964年に建てられ、これ自体が見どころといっても過言ではないほど美しいのです。時間が許す限りじっくり鑑賞してみましょう。

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公共施設にはラフモン大統領の写真が飾られることが多い
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バザール2階からはアーケードの下の屋内売り場を一望できる
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アーケード入口の細密画のような装飾はまるで絵画作品のよう
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完成当時から全く変わってなさそうな場所も

市民でにぎわうバザール前の広場の名は、あのサマルカンドの名所と同じ名前のレギスタン広場。その向かいには12世紀のフジャンドの支配者を祀っているシェイフ・ムスリヒディン廟と併設のシェイフ・ムスリヒディン・モスクがあります。いずれもドームの模様が独特でレトロな建物。バザールも然りですが、あらゆる建物がどんどん新しくなっていたり、観光地になっている建築物が見栄えよく修復されているウズベキスタンから来ると新鮮に感じます。

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ウズベクとはまた違った青のドームのシェイフ・ムスリヒディン・モスク
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霊廟の後ろには明るい色の屋根の新モスクがあるがまだ建築中のよう

そこから北へ歩いて20分ほどのシルダリヤ河畔近くにあるソグド歴史博物館周辺がこの町の歴史地区で、紀元前5~6世紀に建てられたという城塞もあります。その近くの乗り場から出ているのが、2019年に開業したばかりというシルダリヤをまたぐロープウェイ。料金15ソモニ、所要20分ほどで、夕方に乗ると夕焼けが川面に映えて絶景そのもの。

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シルダリヤ北岸の最大の見どころは、高さ22mを誇る巨大レーニン像でしょうか。ウズベキスタンでは全く見られないレーニン像ですが、実はタジキスタンやキルギスといった国ではまだゴロゴロしているのです。

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夏にぜひ行ってみたいのが、フジャンドの町から東へ20km、パンシャンベバザール近くのバス停から40番マルシュルートカで30分ほど行くと出現するカイラクム湖のビーチ。ウズベキスタンと同じく内陸国のタジキスタンにとって、この湖(といっても人口貯水池ですが...)が海ポジションで、6年ほど前に本当に正式名称が「タジキスタンの海」になったというから驚きです。やはり内陸国の民は海にあこがれるものなのでしょうか......。

この公共ビーチでは誰でも湖に入ることができるほか、お安く生ビールが飲める海の家、もとい湖の家のようなお店もあります。パンシャンベバザール内でも生ビールを出してくれる酒場が見つかりましたし、お酒が飲める場所が意外と少ないタシケントに比べるとアルコールに寛容な町という印象でした。

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さらに時間に余裕がある方、せっかくタジキスタンに行くのに1都市滞在だけではもったいない!という方は、首都ドゥシャンベへも行ってみましょう。乗り合いタクシーで5時間ほどの距離ですが、首都と第2の都市を結ぶいわば東名高速のような幹線道路のはずなのに、3000m級の峠を2つも越える見事なまでの山道。まさに山の国タジキスタンの真髄ともいうべき車窓が楽しめます。

またはタジキスタン最西端の町で世界遺産の遺跡があるパンジャケント(ペンジケント)へ行き、そこから再び国境を越えてサマルカンドへ...という周遊ルートもたどることができます。同じ中央アジアの国ながらウズベキスタンとは似て非なる魅力を持つ国タジキスタン、スケジュールが許せばぜひ満喫してくださいね。ただビザを取得せず入国した場合は、上述の通り滞在登録が必要になる場合があるのでご注意を。


なお私の個人ブログでは、さらに詳しい観光・移動情報や、この記事では載せられなかったホテル・レストラン情報などを載せています。旅行計画を立てられている方はこちらもぜひご覧くださいませ!
タジキスタン情報!2022年版【フジャンド/ウズベキスタン国境】 - takumiの世界ふらふら街歩き

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

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