ジョージア語を学んでみて②~エーテルの中で

公開日 : 2021年01月28日
最終更新 :
筆者 : fujinee

トビリシに来てからもう2年半以上が経ちました。

本来であれば、もう現地の言葉が喋れるようになっている時期だと思います。

しかし現実的にはジョージア語で毎日会話をする機会がなかなか作れず、喋れるまでには至っていません。

しかし私はもう言語学習のスピードは無視して、少しずつジョージア語を理解していきたいと思っています。

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(トビリシ)

いままで学習してみて、ジョージア語が世界的にも習得がむずかしい言語に属するのではないかと感じています。

私は英語を学習した経験がありますが、英語と比較してジョージア語は数倍むずかしい言語と言えるのではないでしょうか。

その理由として挙げられるのは、まずは動詞の複雑さ。

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(トビリシ)

ジョージア語の動詞は、それぞれの人称によってすべて活用形が変わるため、ひとつの動詞でも無数の活用形が存在します。

そしてその活用形は辞書にまったく掲載されていません。

辞書に載っているのは動名詞という原型のみ。

ジョージア語で動詞が出てくると、まずはその動名詞を探すことから始めます。

そのためには何度も辞書を引くこともざらで、結局わからずに諦めることもあります。

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(マルネウリ)

私のジョージア語辞書は4万4000語収録の英訳版ですが、むずかしい単語は載っていない場合もしばしば。

また意味も簡潔に書かれているので、知りたい意味がわからない場合や、そもそも意味が間違っていると推測されることもあります。

ネット上の別の辞書と比べて意味が食い違うことも日常茶飯事。

ジョージア語は辞書を引く手間がかかります。

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(ステパンツミンダ)

ボキャブラリーを増やすとともに現地の発音にも慣れようと、現地のテレビ番組は頻繁に観ています。

アニメーション番組「ケリス・ウバニ」や、子供の才能発掘番組の「ディディ・ショウ」などお気に入りの番組は毎回チェックします。

これは語学学習のうえでは間違いなくいいことだと思います。

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(ウダブノ)

しかしこれだけでは言語が習得できないことも確か。

ボキャブラリーが増えない限りは、わからないことはわからずじまいです。

そこで最近始めたのが、現地のニュース番組を観るという習慣。

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(グダウリ)

どの言語でもニュースというのはむずかしい専門用語が出てきやすいので、初心者用の語学教材としては不向きであるといままで思っていました。

しかしジョージア語については例外だと感じます。

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(チアトゥラ)

その理由としては、まずはテキストの存在。

日本のテレビ番組だと、喋った内容がそのまま字幕で表示されたりします。

こちらではそのようなサービスは乏しいので、訳はもちろん、字幕のない番組がほとんど。

これだと調べたい単語も綴りがわかりません。

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(アハルツィヘ)

一方、ニュースであれば、必ず現地語のウェブサイトが存在します。

一言一句同じことを言っているわけではありませんが、同じ内容や似たテーマのニュースは存在します。

ウェブサイトで予習をしたうえで番組を観ていれば、必要なボキャブラリーはついてきます。

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(ジョコロ)

また、現在であればコロナウイルス問題のように、ニュースには時事ネタというものがあります。

時事ネタは一定期間連続して取り上げられるので、学習テーマを絞りやすくなります。

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(ツァルカ)

また英単語の存在も大きな理由。

ジョージア語において、むずかしい専門用語は英語由来の外来語となるケースが多いようです。

英単語であれば、多少むずかしい単語でも聞き覚えがあるものは出てきます。

また英語は辞書が充実しているので、その単語は必ず適確な意味にたどり着きます。

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(ヴァルジア)

あとひとつ、忘れてはいけない理由は聞き取りやすさ。

ニュースキャスターは滑舌のトレーニングを受けている人が多いので、テレビ出演者の中でも特にヒアリングがしやすく感じます。

外国語を学ぶうえでこれは重要な点。

そのようなわけでニュース学習は最近少しずつ成果が出ているような気がします。

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(ムツヘタ)

テレビ番組では、必要な決まり文句を覚えられることも大きなメリット。

ニュース番組では最近、「ピルダピル・エテルシ」という言い回しを覚えました。

これは、「生放送、生中継」という意味で、ほぼ毎日登場する言い回しです。

単に「エテルシ」であれば「オンエア中」という意味になるようです。

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(オマロ)

「ピルダピル」というのは「まっすぐ、直接に」をあらわす副詞で、日常的によく出てきます。

「エテルシ」は「エテリ」という名詞に、「~の中に」をあらわす「~シ」という語尾がついたもの。

この「エテリ」とは「エーテル」のことだそうです。

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(メスティア)

ジョージア語では「オンエア」の「大気」をあらわすのに「エーテル」という名詞を用いるようです。

なんと文学的なのでしょう!

この言い回しが私のジョージア語の興味を少し高めました。

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(トビリシ)

※画像はジョージア各地で撮影した空です。

高村光太郎の妻智恵子は「東京には空がない」という名言を残しました。

ジョージアの空は日本の空と色が違い、またそれぞれの土地で別々の表情を見せる気がします。

【ジョージア(カルトリ)語表記と発音】

・ケリス・ウバニ(ქერის უბანი/keris ubani)

・ディディ・ショウ(დიდი შოუ/didi shou)

・生放送、生中継(პირდაპირ ეთერში/p'irdap'ir etershi)

・オンエア中(ეთერში/etershi)

・エーテル(ეთერი/eteri)

筆者

ジョージア特派員

fujinee

ジョージアのトビリシに住んでいます。音楽や芸術が好きなので、そのような記事が多くなります。

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