【ジョージア】初夏のウダブノ村⑤~黄泉(よみ)の国のような集落
ウダブノで行動する最終日。
前夜の雷雨が嘘のように、この日も晴れました。
一日延泊となったので、この日の予定はフリー。
せっかくなので、この日は趣向を変えた予定を組んでみようかと思いました。
↑この廃墟の辺りからハイキングをスタート。
ウダブノ村から北西方面に延びる畦道があります。
地図アプリMaps.MEには表記がありますが、Google Mapには載っていない道です。
Maps.MEだとこの道沿いにふたつの修道院跡の情報がありますが、これもGoogle Mapにはいっさい載っていません。
これらの史跡が本当にあるのか不明ですが、それを調べながらこの畦道を散策してみようかと思いました。
↑畦道脇にあった農作業車。
ウダブノ村の外れからこの畦道は、草原に消え入るように続いています。
あらゆる道というものはしばしば、一生や人生にたとえられます。
大自然のなかに消え行く道というのは、どのような一生を表すものなのでしょう。
↑草原に消え入る道。
かたわらには、ポツンと一本だけ木が生えています。
これは孤独の象徴でしょうか。
↑路傍の木。
北海道にも以前、「哲学の木」という名木がありました。
「哲学の木」は、観光客のマナー違反が原因で、残念ながら伐採されてしまいましたが。
ウダブノの自然も、私に哲学を問いかけてきます。
↑道中で見かけた別の木。
この畦道は、村から3~4km進むと様子が変わります。
↑道中の風景(往路)。
草むらだった地形は、草原と荒野が入り混じった大地に。
地理用語で登場する「ステップ」と称されるような景色です。
↑道中の風景(往路)。
途中、道路を横断するリクガメに出合いました。
ドドルカ修道院の近くでも見かけていたので、これで2度目です。
↑リクガメ。
しばらく歩き続けると、今度はフンコロガシが、見事な円形となった糞を転がしていました。
この辺りでは、日本であまり見かけないような生き物に出合います。
↑フンコロガシ。
結局、ひとつ目の史跡はまったく見当たらず、地図のさらに奥にある史跡を求めて、ウダブノ村から約10km歩いてきました。
↑道中の風景(往路)。
そこまでほぼ直線だった道が南西に折れる辺りで、突如前方に集落が現れてきました。
↑その集落。
ウダブノ村から歩いてきた約10kmは、人間の生活臭がほぼ存在しない大自然のなか。
途中に牛舎は数軒ありましたが、まさかこの場所に集落があるとは想像だにしませんでした。
当然、地図にも記載がない集落。
↑その集落。
しかもその背後だけは突然視界が開けていて、ルスタヴィからトビリシにいたる大平野が一望できるパノラマとなっています。
まるで昔話に出てくる、タヌキやキツネに化かされたような風景です。
↑集落の背後の風景。
全部で4軒あるその家屋に近づこうとしますが、番犬が吠え立てて威嚇してくるので、どうにも近寄れません。
そのため、画像は遠巻きで不鮮明なものになってしまいました。
↑集落の背後の風景。
ちょうどそこの住人の姿が遠くに見えたので、手を振ると相手も振り返してくれました。
ぜひその人と話してみたかったのですが、番犬がいるので相手から出てこない限りは近寄れません。
しばらく待って、諦めて帰ることにしました。
↑その集落の家屋。
しかし、あそこで家に招き入れられたり、景色を見るために向こう側に行ったりしたら、もう自分は現世には戻ってこれないのではないか。
そのようなことまで考えてしまうほど、現実離れした風景でした。
↑その集落の家屋。
結局、ふたつ目の史跡を探すための時間も体力も尽きてしまい、ここで村へ戻ることに。
合計で、往復6時間強の道のりでした。
↑道中の風景(復路)。
しかし、この秘密の集落を見つけられただけでも、私は満ち足りた気持ちです。
最後に私だけの不思議な体験をして、ウダブノ村での滞在は幕を閉じました。
↑ウダブノ村にたどり着く頃に天気が崩れてきました。
【注釈】
この畦道は平地続きで、しかも車もほとんど通らないので、天気が不安定なときには行ってはいけません。
ウダブノ村周辺で最も怖いのは雷です。
↑最終日に見た虹。
↑私が今回行ってきたのは、この"Shamil Home In Udabno"がある道を北西に真っすぐ進むコース。
Maps.MEにはこの道が載っています。
10kmほどこの道を進み、道が南西に折れる辺りにその集落はありました。
その辺りまで行けば、肉眼で確認できるでしょう。
私がそこで見てきたものが幻でなければの話ですが。
筆者
ジョージア特派員
fujinee
ジョージアのトビリシに住んでいます。音楽や芸術が好きなので、そのような記事が多くなります。
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