イスラエルで発見!柱状節理に囲まれた絶景プール

公開日 : 2017年09月27日
最終更新 :

9月に入り、テルアビブでは朝晩にほんのり涼しさを感じるようになってきました。それでもまだ日中は気温30度の暑さが続いています。そんなことから先日、涼しさを求めてゴラン高原の麓に位置する天然のプール、「ブレハット・メシュシン」に遊びに行ってみました(ヘブライ語で「ブレハ」はプール、「メシュシン」六角形の意味)。そこには、自然が作り出したとは思えない奇妙な形の岩「柱状節理」(ちゅうじょうせつり)に囲まれた天然プールが! 有名スポットではありませんが、その絶景さが侮れない穴場スポット「ブレハット・メシュシン」についてご紹介します。

イスラエルの柱状節理

<かつては火山だったゴラン高原の山々>

ブレハット・メシュシンはテルアビブから車で北に二時間半近く、シリアとの国境の手前、ゴラン高原の麓にある「ェフディア森林保護区」の中に位置しています。このエリアに向けてテルアビブから北上してくると、それまでの褐色の大地が広がる風景から、大地に灰色の石が点在する風景へと変化していくことに気づきます。それもそのはず、ゴラン高原の多くの山は10万年〜70万年前に活動していた火山だったのです。火山石にはいろいろな種類・色がありますが、このエリアの火山石は黒っぽい色素が強い「玄武石」が中心です。そのため、このエリアでは多くの灰色の石が見られるというわけです。ちなみにこれは日本の富士山の溶岩と同じ種類で、ゴラン高原と富士山に共通点があったとは意外ですね。なお、富士山と同様、これらの山々は現在休火山となっています。

<イェフディア森林保護区をハイキング>

ブレハット・メシュシンにたどり着くには、まずイェフディア森林保護区の入り口から20分から30分ほど、下り坂のハイキングコースを歩いていきます。9月は長い乾期の終わりの時期なので、あたりは緑が豊富とは言えません。気温も32度くらい、直射日光を受けながらのハイキングは体に堪えるのですが、、、水辺の涼しさを求めてとにかくハイキングコースを歩きます。 

ゴラン高原の麓イェフディア森林保護区

降りていくにつれ、だんだんと水の流れる音が聞こえてくると同時に、周りの風景に緑がどんどん増えていくのを実感します。そして川の流れを目視できるポイントに到着するとなにやら縦状に線が入りギザギザとした表面を持つ不思議な形の岩が視界に飛び込みます。どのようにしてこのような形の岩が出来上がったのか色々と想像力を働かせているうちに、ついに目的地「ブレハットメシュシン」に到着です。

イスラエルゴラン高原の柱状節理2

<六角形のチューブ状の岩が垂れ下がる奇妙な造形>

そこには、川が開けて水が溜まった天然のプールを囲むようにして、無数の六角形のチューブ状の岩が垂れ下がって壁を作っている、なんとも不思議な光景が。天然プールではイスラエル人の家族づれが気持ちよさそうに泳いでいます。

イスラエル・ゴラン高原の麓の柱状節理3

岩の形状がなんとも奇妙で、何度もカメラのシャッターを押してしまいます。撮っても撮っても撮りたいないとはまさにこのこと。下の写真では少し近くの岩を撮ってみました。規則正しく並んだ細くて長い柱状の岩から、ゴシック建築を連想してしまうのは私だけでしょうか。

イスラエル・ゴラン高原の柱状節理3

下の写真は更にクローズアップです。人工的に作られたような岩の形状が印象的です。

イスラエル・ゴラン高原の麓の柱状節理4

余談ですが、水の中には、大きな魚がたくさん泳いでいます。川の水がきれいな証拠ですね。水の表面に岩の筋が写り、太陽の光の反射と相まって幻想的な写真となりました。

ゴラン高原麓の森林公園の天然プール

<形状の秘密は火山の噴火だった!>

どのようにして、このような奇妙な形の岩が出来上がったのでしょうか。どう考えても水の流れで削られた形ではなさそうです。その答えは、ゴラン高原の山々がかつて活火山であったことと関係していました。ブレハットメシュシンを訪れるまでその定義を知らなかったのですが、こうした岩の形状は「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」と呼ばれており、火山の噴火時に流れ出したマグマが急激に冷却されるとできあがる形状だということです。確かによく見ると、上から下に垂れ下がるような形状をしています。ちなみに火山石が玄武石の場合、六角形の形状になりやすいということで、なるほど、ブレハット・メシュシン(ヘブライ語で「ブレハ」はプール、「メシュシン」六角形の意味)の名前の由来がそこにありました。柱状節理について更に調べてみると、なんと日本国内には18箇所もあり、 その多くが国の天然記念物に指定されています。海外では北アイルランド、スコットランド、アメリカ・アイオワ州にも柱状節理のスポットがあり、中でも北アイルランドの柱状節理は規模が壮大でユネスコ世界遺産にも登録されています。

イスラエル・ゴラン高原の麓にある柱状節理

その絶景を満喫したあとは、天然プールへ飛び込みます。暑いイスラエルの夏、直射日光の中をハイキングしてきたあとに入るプールのリフレッシュ感は本当に癖になります。

いかがでしたでしょうか。ゴラン高原の山々が火山であったこと、世界的に天然記念物や世界遺産に指定されるほどの、柱状節理と言う自然が作り出した「建築」をイスラエルでも手軽に見に行くことができることなど、意外続きの日帰り旅行となりました。イスラエルは日本の四国ほどの大きさの小さな国ですが、とてもユニークなスポットが凝縮されている面白い国だと改めて実感させられます。

テルアビブから二時間半のドライブの場所にあるので、手軽に行ける場所ではありませんが、ガリラヤ湖まで観光にくる機会があれば、立ち寄って絶対損はないスポットです。

<スポット情報>

イェフディア森林保護区ウェブサイト:http://bit.ly/2wRvaD1

オンラインパンフレット:http://bit.ly/2wRtnOx

開園時間: 夏 8:00−17:00   冬 8:00−16:00

料金:大人 22シェケル (600円ほど)

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。