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フランス/トゥルコアン特派員ブログ 冠ゆき

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2014年9月12日

No.9【コラム】1914-1944-2014:その弐


No.9【コラム】1914-1944-2014:その弐

 1944年から70年を数える今年6月6日、フランスの西部ノルマンディーには多数の国の首脳が集まった。ノルマンディー上陸70周年記念式典のためである。報道で、その様子を目にした方も多かったのではなかろうか。

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第二次世界大戦は、1939年のドイツのポーランド侵攻によって始まった。

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 ヨーロッパにいるとひしひしと感じることで、また忘れてはならないことは、この戦争は、前回のコラム で書いた「Grande guerre(大戦争)」=第一次世界大戦と、密接に関連して始まったということだ。この文章の題を「1914-1944-2014」としたのは、そういう理由による。

 この第二次世界大戦では、フランスは1940年から四年間、国土の半分以上をドイツに占領されることとなる。そうして迎えた1944年6月6日、D-day。英米カナダの連合軍によるノルマンディー上陸作戦が決行され、これがパリ解放へとつながる大きな転機となったのだ。

 D-Dayについては、いくつかの映画が作られているが、中でも、『史上最大の作戦(原題: the longest day)』(1962)は、名作である。戦後20年も経たずして、英米独仏人それぞれの協力を得て作られたことを思うと、驚嘆せずにはいられない。

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 ノルマンディーの上陸ビーチは大きく五箇所に分けられ、西からユタビーチ、オマハビーチ、ゴールドビーチ、ジュノビーチ、スウォードビーチと呼ばれる。ユタとオマハがアメリカ軍、ゴールドとスウォードがイギリス軍、ジュノがカナダ軍の担当であった。

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このおよそ直線距離でも100kmに及ぶ海岸線に、まず夜半から、2万3千人の連合軍が空からパラシュートで、次いで13万人以上が、海から上陸したのである。

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 「ネプチューン」と命名されたこの作戦は、決して順調に進んだわけではなかった。この日は前日夜から悪天候で、視界も悪く、また不意打ちとはいえドイツ軍の待ち受ける海岸線への上陸は、多くの犠牲を払った。中にはわずかなタイミングの差で夜の海へと散ったパラシュート隊もいた。サントメールエグリーズという町では、運悪く武装ドイツ兵の立ち並ぶ町中へ下りてしまったパラシュート兵らが、ほぼ皆殺しの憂き目にあった。


 海からの上陸も難航した。これらのビーチは今見ても分かるように、身一つ隠す場所もない広々とした砂浜である。

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ここに上陸し、ドイツ兵の砲火を浴びながら、陸地へと進むのだ。犠牲なしで済むわけがない。
実際、6月6日だけで、連合軍の兵士約4000人が命を落としたという。


 最も酷い状況だったのは、D-dayだけで2500人のアメリカ兵が戦死したオマハビーチであった。6時半に艦隊を寄せてから、砂浜を突っ切って崖に到達するまで3時間半の死闘を繰り広げたという。今は戦いの影もない美しい海辺だが、その日は「そこはまるで悪夢のようであった」とオマール・ブラッドレー米司令官が1974年に回想している。

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 オマハビーチを見下ろす高台には、米兵墓地 があり、9387人のアメリカ兵の墓が並んでいる。この70ヘクタールの土地は、アメリカに永代使用権があり、美しく手入れされた芝生に規則正しく並ぶ白い十字架を見ていると、この静謐な空間にめまいを覚えずにはいられない。

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 ノルマンディーには、米兵、英兵、カナダ兵の墓地が二十ほどあり、合わせて四万人近くが眠っている。またドイツ兵、ポーランド人兵の墓地も7ヶ所ほどあり、六万人近くが眠る。これは、ほんの一部、ノルマンディーだけの数字である。

 現在のフランス、ひいては現在のヨーロッパは、彼らの礎の上に築かれているのだ。

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他のコラムは下からご覧になれます。

No.6【コラム】1914-1944-2014:その壱

No.13【コラム】或る一兵士の記録―100年目の命日に
No.20【コラム】ナチスドイツが夢のあと:「大西洋の壁」
No.29 【コラム】秋の日のヴィオロンの..:もう一つの物語
No.30【コラム】トゥルコアンがドイツだったころを体現する博物館

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カテゴリー 自然・風景 見所・観光・定番スポット
2014年9月12日
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    トゥルコアン特派員
    冠ゆき
    山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40ヵ国。6ヵ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介中。
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