No.68シャルリー・エブド銃撃事件:フランスは悲しみ憤っています【続報は1/9夜打ち切りました】

公開日 : 2015年01月09日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

 昨日1月7日起きたパリ・シャルリーエブド週刊紙社への銃撃事件は、フランスをショック状態に陥れ、一夜明けた今朝もそのショックは薄れる様子がありません。

 2011年にモハメッド風刺画を載せて以来、放火や脅しなどを受けてきたシャルリー・エブドですが、今回の銃撃事件は、これまでにない凄惨なもので、その衝撃は、フランスのみならず、周辺各国へも広がっています。

 昨日水曜は週に一度の編集会議が開かれる日で、編集者やイラストレーター執筆者がみな一堂に会する日でした。11時半にそこに押し入った三人組は、警戒に当たっていた警官を射殺し、迷いなくイラストレーターと編集長らに向けて引き金を引いたと聞きます。内部事情を良く調べての犯行だということがうかがえます。

 容疑者三人のうち最年少18歳の一人は、昨晩のうちにシャルルヴィル・メジエで出頭しました。SNSで自分の名前が挙がっているのを見て観念したということです。(その後の調べで、この若者は事件とは無関係と分かり、金曜夜釈放されました。実行犯の義弟ということで、SNSに名前が挙がったようで、非常なショックを受けています。)残る二人、32歳と34歳の兄弟は、今も警察と軍隊がその行方を追っています。

 被害は死者12人。うち4名がイラストレーター。2名が警官。11人が負傷し、うち4人が重傷です。

 昨日20時にはオランド大統領がテレビで演説を行い、このテロリスムを糾弾しました。また今日木曜日は国を挙げての服喪の日と定めました。今日正午には、1分間の黙祷を捧げることになっています。多くの学校、企業も、これに倣います。また、三日間半旗を掲げます。

 夕べは、このテロリスムに抗議し、言論の自由を訴える人々が、フランス国内多くの町で合計10万人以上集まりました。特にパリ、レンヌ、リヨンに多くの人が集まりましたが、ここリールでもレピュブリック広場に3000人、隣国ベルギーのブリュッセルでも1000人余りが集まりました。

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 武装した実行犯がいまだ逃走中ということで、フランス各地では警戒状態が続いています。ご旅行中の方はくれぐれもお気をつけください。

【続報】(現地時間1/8 正午すぎ)

容疑者と思われる二人組は、今朝エーヌ県のVillers-Cotterêts(ヴィレコトレ)という町で目撃されました。ヴィレコトレは、コンピエーニュ、ソワソン近くの町です。二人はパリの方向へ向かったという話で、現在パリのポルト・ド・ヴィレット周辺では、警戒態勢がとられています。旅行者は、その方面へ近づかないようにしてください。

【続報2】(現地時間1/8 夕方5時ごろ)

またこれを受け、木曜午後、エーヌ県の属するピカルディ地方も、パリを含むイル・ド・フランス州同様、テロ警戒レベルが、最高の「攻撃の警戒」(alerte attentat)に引き上げられました。

【続報3】(現地時間1月9日朝8時半)

実行犯二人は未だ見つかっていません。

服喪のフランス、昨日は、正午には各地で黙祷が捧げられました。

リールのイスラム教徒の高校でも、同じように追悼の祈りが捧げられました。生徒たちも一様にショックを受けており、「私たちは、"イスラム国"に同意できない」という発言を繰り返しています。

警戒は今朝も続いています。

ノール・パドカレー地方でも、昨日は警察官5000人、憲兵1500人、軍人40人が増員され、警戒に当たりました。特に厳戒態勢に置かれているのは、駅、報道社屋、ショッピングセンター、公的機関および交通機関です。

各所コントロールが増えていますので、旅行中の方は時間に余裕を見て行動してください。また、不用意に荷物を置き去りにしないように注意してください。憎しみは憎しみを生むようで、昨日はルマンのモスクに手榴弾が投げ込まれる事件も発生しています。礼拝所などにもできるだけ近づかないようにしましょう。

昨日はリールでも持ち主不明の荷物がいくつか見つかり、爆破処理されました。

諸外国からの追悼の言葉も届いています。例えば、在米フランス大使館を訪れたオバマ大統領は、追悼の言葉を「Vive la France!(フランス万歳)」という言葉で締め括ったことが報道されました。

追悼の意と言論の自由を訴える人々の集まりは、昨日も各地で見られました。

リールでは、明日1月10日土曜、ノールパドカレーの報道機関の呼びかけにより、追悼と抗議の行進をおこなうことが決まりました。午後2時にPorte de Paris (パリ門)を出発し、レピュブリック広場まで行進する予定です。

【続報4】(現地時間1/9 9:40)

今朝9時22分、パリ北東のセーヌ・エ・マルヌ県のDammartin-en-Goële(ダマルタン・アン・ゴエル)にて銃撃戦がありました。容疑者と思われる二人は、数分前から印刷会社に立てこもっています。何人かが人質に取られている模様です。

【続報5】(現地時間1/9 10:40)

犯人の立てこもる印刷会社のあるダマルタン・アン・ゴエルは、パリ・シャルルドゴール空港から直線距離で3キロメートルほど、パリからは20キロメートルほど離れています。人質は約10人と見られています。これ以上の犠牲者が出ないことを祈るばかりです。

【続報6】(現地時間1/9 11:00)

犯人立てこもりの場所に近いため、シャルルドゴール空港の滑走路四本のうち北側の二本は、閉鎖され、着陸はすべて南の二本で行われています。

今のところ、空の交通への大きな影響はないということです。

また人質は現在一人だけ取られているということです。

【続報7】

昨日(1/8)朝には、パリ南部のモンルージュにて銃撃戦があり、警官一人が亡くなりました。先ほど1/9 昼過ぎ、このモンルージュの銃撃実行犯と、シャルリー・エブド銃撃事件実行犯との関連が裏付けられたと報道がありました。

モンルージュの実行犯も未だ逃走中ですが、先ほど、午後1時すぎに、パリ東側のヴァンセンヌ門近くにて、武装した容疑者と思われる者が、食料品店に人質を取って立てこもったという情報が流れました。人質はおそらく5人。死者が2人出たという情報もあります。(1/9 13:40)

整頓すると、14時50分現在、パリ北東ダマルタン・アン・ゴエルとパリ東部ヴァンセンヌ門二箇所で人質をとった立てこもり事件が起きています。

この影響により、パリの地下鉄1番線をはじめ、トラム、バスとも、Porte de Vincennes近くの駅には停車しない、もしくは運行が休止されています。(1/9 16:30)

【続報8】

1/9 17時ごろGIGN(フランスの対テロ部隊)により実行された作戦によりダマルタン・アン・ゴエルの印刷会社に一人の人質を連れて立てこもっていたシャルリー・エブド襲撃事件の容疑者二人は死亡。人質は無傷。

ほぼ同じ頃、パリのポルト・ド・ヴァンセンヌのユダヤ食料品店に押し入った人質事件も、フランス国家警察組織の先鋭隊RAIDとBRIにより、終止符が打たれました。犯人(1/8朝モンルージュで発砲事件を起こした容疑者と思われる人物)と人質4人、合わせて5人の死者が出ています。

この稿について、続報はここまでとします。

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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