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フランス/トゥルコアン特派員ブログ 冠ゆき

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2015年4月23日

No.142【コラム】ベルギー・イープル100年前の悲劇:毒ガスを用いた最初の戦闘


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No.142【コラム】ベルギー・イープル100年前の悲劇:毒ガスを用いた最初の戦闘

 日本はもう日付が変わってしまいましたが、ヨーロッパはまだ4月22日。二週目に入った快晴の空は今日も続いていて、濃いピンクの桜も、そこここで満開を過ぎようとしています。

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 今日は、今から丁度100年前、1915年4月22日の話をしたいと思います。

~~~~~~~~~

 ベルギーのイーペール(フランス語名:イープル)は、フランス国境に近いフランドルの町である。古くは、14世紀のチョーサー著『カンタベリー物語』にもその名が見られる。No.136 で紹介したイギリス・ライに現存する一番古い建物の名前も、「イープル塔」だった。


 このイープルも、毛織物で栄えたフランドルの町の例外ではなく、今のゲントやブリュージュと並ぶ規模を誇っていた。


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 町の真ん中に建つ繊維会館の前身は13世紀に建てられたものである。一度廃墟となった後再建された現在の繊維会館は、美しいゴシック様式の建物で、城壁で囲まれたイープルの町の真ん中に、堂々と、しかしどこかメルヘンチックな様相で建つ。


 フランス北部からは、気軽に行ける距離とあり、週末訪れるフランス人も多い。幅の広い城壁の上は、緑豊かな遊歩道となっていて、のんびり天気の良い今日のような日に、歩いていると、ここであった悲劇がうそのように思えてくる。


 そう、イープルは、二度の大戦で、大きな被害を受けた町なのだ。

 特に第一次世界大戦では、四度に亘って「イープルの戦い」と呼ばれる会戦を経て、第一次世界大戦の終わりには、ほぼ廃墟と化した。

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 上記の繊維会館の二階は、現在この「イープルの戦い」を含むフランドル戦場に関する博物館となっている。(この博物館のサイトはこちら )。

  • 開館時間:4月1日から11月15日は、10時から18時。冬季は10時から17時。
  • 閉館日:月曜
  • 入館料:大人9ユーロ


 丁度100年前の今日、4月22日は、二度目の「イープルの戦い」が始まって三日目。ドイツ軍が最初に毒ガスを使って大規模な攻撃を仕掛けた日でもある。使われたのは塩素ガス。ガスの使用とその後に続いた戦闘により、5200人が亡くなったという。


 その2年後の1917年7月、三度目の「イープルの戦い」で、ドイツは悪名高い「マスタード・ガス」を戦場で使用する。イープルのすぐ北東に位置するパッセンダレという町でのことだった。このことから「マスタード・ガス」は、Ypérite(イペリット)という名で呼ばれるようになった。


 現在のイープルには悲劇の影はみじんも見当たらない。それでも、この美しい街を訪れるたび、そこここにある慰霊碑の前で、いつも立ち止まらずにはいられない。

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これまでのコラムは下からご覧いただけます。
No.6【コラム】1914-1944-2014:その壱
No.9【コラム】1914-1944-2014:その弐
No.13【コラム】或る一兵士の記録―100年目の命日に
No.20【コラム】ナチスドイツが夢のあと:「大西洋の壁」
No.29 【コラム】秋の日のヴィオロンの..:もう一つの物語
No.30【コラム】トゥルコアンがドイツだったころを体現する博物館
No.38【コラム】昨日の奸賊、今日の英雄:レジスタンス活動家
No.39【コラム】昨日のエリート、今日の戦犯:レジスタンス弾圧事件「覚えておくことの義務」
No.56【コラム】フランス地方紙La Voix du Nord(北の声):非合法新聞の躍進
No.71【コラム】越えられない国境はない:フランス、マジノ線
No.84【コラム】フランスの善意を呼び起こした人:ピエール神父とエマウス協会
No.104【コラム】使命感と闘志に燃えた生涯:文武両道に優れた仏軍人とは......

(冠ゆき)

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    • 特派員プロフィール
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      トゥルコアン特派員
      冠ゆき
      山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40ヵ国。6ヵ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介中。
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