No.149フランス北の港ダンケルクから目が離せない5日間

公開日 : 2015年05月03日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

 フランスでは、自転車競技のロードレースが、盛んです。実際、世界で最初の自転車ロードレースが行われたのは、フランスのサン・クルー公園。自転車協会が出来たのと同じ年、1868年のことでした。

 No.133でご案内した「北の地獄:パリ~ルーベ」は1896年から行われていますし、いまや世界的に有名になったトゥール・ド・フランスは、1903年から開催されています。

 「ダンケルクの4日間」も自転車ロードレースの一つ。名前の通り、フランス・ノール県のダンケルクで始まった競技です。1955年に始まったこの「ダンケルクの四日間」。今年は61回目の開催となり、5月6日-10日を予定しています。

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 このレース開催の案が生まれたのは、同年1955年2月10日ダンケルクの或るカフェの一隅であったといわれています。

 1955年といえば、まだドイツによる占領期の記憶も新しい頃。カフェに集まったグループたちは、これからどうやってこの町を盛り立てていけばいいか、話し込みました。その中には、自転車競技にかかわっていたルネ・キリオや、当時の町長ポール・アスマン、ラ・ヴォワ・デュ・ノール新聞社(No.56参照)の記者モーリス・ド・ミュエらも数えられました。

 必然、全国規模、いや、国際規模の自転車ロードレースを開こうではないか、という方向に話は流れ、ビリヤードをしながら、日程まですべてその場で決まったといいます。

 当初のコースは、1日1区間、4日で4区間、全部合わせると四つ葉のクローバを描くように構想されていました。

 みなに幸福をもたらしたいという発案者の意志が感じられますね。

 当初は「ダンケルクの自転車競技グランプリ」と呼んでいましたが、1957年から、「ダンケルクの四日間」という名に落ち着きました。1961年からは、交通統制が取りやすいようにと、四つ葉のクローバの形は取られなくなりました。

 また、「ダンケルクの四日間」とはいいますが、開催年によっては、5日もしくは6日かかることもあります。今年も上述のように5日=5区間を予定しています。

 今年のコースは、こちらのページに詳しい区間が地図入りで説明されています。ダンケルクに始まって、ダンケルクに終わる行程で、平均一日175キロメートルを走ります。

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 さて、そのダンケルク。No.135イギリスへの道でも触れましたが、ノール県の港町です。ダンケルクは、ノール県のほかの町より1年遅れて、1945年に解放されました。ですから、今年が「Libération(リベラシオン)=ドイツ軍からの解放」70周年となります。

 ノール県の海辺にも、ナチス・ドイツの置き土産のブンケル(=ブロコス)(No.20参照)が、多く残っています。

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 このブロコスの一つを舞台に、5月9日(土)19時から、ダンケルクのリベラシオン70年を祝うロックコンサートが開かれます。場所は、ダンケルクのDe Maloビーチ。参加は無料です。

 FBのサイトを見てもらえば分かりますが、ブロコスには、一面に鏡が貼られ、まるで別物。ライティングにより、更にエキセントリックな雰囲気になることが期待されます。

 参加の方は、ピクニック持参でどうぞ。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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