No.311大人も子供も楽しめるリールのZepオープンミュージアム

公開日 : 2016年05月19日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

No.309 でもちらりと紹介しましたが、フランス北部のリール美術館(Palais des Beaux-Arts de Lille)では、ただいま三回目のオープンミュージアムを開催中です。

オープンミュージアムというのは、有名な、けれども美術館では普通見ない意外なアーティストを招聘して、異なる視点から美術品と美術館と対話してもらおうというもの。

去年は、展示された美術品の中に、ドナルド版がこっそり混ざっているという内容でした。(詳しくは、No.162 をご覧ください)

今年は漫画家Zepの登場です。

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© Zep 2016

どんな風に美術館を塗り替えるのかなぁ、と思いましたが、今年は、ビデオや映像も駆使した展示となっていて、去年とはまた一味違う面白さでした。

パロディは今年も健在ながら、時代による画風の違いを、漫画で説明しているのは、なかなか説得力があり、Zepの漫画だけを追っていても、自然に美術史が頭の中に入ってくるようになっています。

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© Zep 2016

例えば上の絵の説明はこんな感じ。

スマホ発明の300年前、16世紀には、セルフィーが欲しければ画家に頼むしかなかった。

「以前これを描いてもらったんですけどね、ちょっとリタッチしてもらえるかね」

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上は、同じ像の一部に映像を写して、こんな風だったかもしれないね、と見せているもの。想像力の豊かさを感じますね。

うまく設置された機器がこれらの展示を助けます。

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下はパロディ画。

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© Zep 2016

Le concert dans l'oeuf vu par Zep (Zepによる「卵の中のコンサート」)

パロディの元となった絵は下のものです。去年もパロディ作品の対象となっていましたね。

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© Palais des Beaux‐Arts de Lille

D'après Jérôme Bosch, Le concert dans l'oeuf (ヒエロニムス・ボスによる「卵の中のコンサート」)

Zep自身は、子供の頃、美術館が嫌いだったそうです。「今はいない人が描いた、今はいない人の絵ばかり並んでいて、まるで墓場のように感じた」と語っています。きっと、感受性の強い子供だったのでしょう。

もしかして、彼の絵がどれも生き生きとして見えるのは、その頃見た美術館に並ぶ絵への反動なのかもしれませんね。

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© Zep 2016

Zepオープンミュージアムは、2016年10月31日まで。夏休みにフランス北部へいらっしゃる方は、ぜひ覗いてみてください。

リール美術館:Place de la République(レピュブリック広場), Lille

最寄駅:地下鉄République Beaux-Arts駅下車すぐ

定休日:火曜。

開館時間:月曜14時ー18時。それ以外は、10時ー18時。

入館料:大人7ユーロ。12-25歳は4ユーロ。12歳未満は無料。

なお、今週末5/21-22は、特別に入場無料です!

(冠ゆき)

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筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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