No.360この春パリ、ギメ美術館でアジアの美を愛でる

公開日 : 2017年03月15日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

パリのルーヴル美術館へ行ったことがある人は、ああ、なんといってもここでは、世界の中心がヨーロッパなんだなぁ、と思ったのではないでしょうか。

実際、ルーヴル美術館で「オリエンタル」といえば、メソポタミア。アジアや東洋の美術は皆無です。

では、フランス人は東洋美術に興味がないかというと、そんなことはありません。実はパリには、ルーヴルの東洋部の役割を果たす美術館が、別に存在するのです。

360-1.JPG

ルーヴル美術館の東洋支部「ギメ美術館」

その名前は、ギメ東洋美術館。パリ凱旋門から、イエナ(Iéna)通りをセーヌの方に降りてきたところ、地下鉄で言えば、メトロ9番線のイエナ駅を降りてすぐの場所に位置します。6番線の通るトロカデロ(Trocadéro)駅から歩いても大した距離ではありません。

ギメ東洋美術館には、ガンダーラ美術やクメール美術、インド美術などが並び、日本、韓国、中国も混ぜられることなく、きちんと区分けして展示されていて、非常に見ごたえのある内容となっています。

このギメ東洋美術館で、現在2つの展覧会が行われています。ひとつは常設展示室内で行われているアレクサンドラ・ダヴィッド=ネール展。もうひとつは地下の特別会場で行われている着物展です。

強い意志を貫いた一生、アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール

360-2.jpg

Râhula(19世紀末、チベット)

Crédit photo : RMN-Grand Palais (musée Guimet, Paris) © Michel Urtado

アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール(Alexandra David-Néel)は、19世紀に生まれ、オペラ歌手のキャリアを経て、探検家、東洋学者となった稀有な人物です。

外国人の入境が難しい時期、非常な困難を乗り越えて、チベットのラサに到達した最初の外国人女性でもありました。

一言では述べられない波乱に満ちた一生を送った彼女が、東洋から持ち帰った貴重な資料が展示されています。アレクサンドラについてはこちらの記事「100歳まで絶えなかった知的探求心。女性探検家アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール」に最近紹介しましたので、興味のある方はぜひお読みください。現代の私たちにも多くの勇気を与えてくれる桁外れのエネルギーを持った女性です。

360-3.JPG

ギメ美術館内アレクサンドラ・ダヴィッド=ネール展会場

日本の美を再発見するキモノ展

もうひとつの着物展は、貴重な松坂屋コレクションの協力を得たもので、題して「Kimono, Au Bonheur des Dames(着物、オ・ボヌール・デ・ダム)展」。

360-4.jpg

滝と扇模様の小袖(18世紀後半)

Crédits : J. Front Retailing Archives Foundation Inc./Nagoya City Museum

江戸時代という歴史的背景の説明から、町人や武家、公家などの身分の違いも、簡潔にまとめてあり、着物の文様の移り変わりを説明しています。

残念ながら、帯との組み合わせや、京風、江戸風の違いなどの説明はありませんが、着物を見たことがない人にも、その魅力が分かるように展示されていると思いました。

詳しくは、「いまふたたびパリで高まる熱。極東へのあこがれ「キモノ展」」に、書きましたので、よろしければ、そちらもご覧ください。

360-5.jpg

紅葉を愛でる会を描いた友禅

Crédits : J. Front Retailing Archives Foundation Inc./Nagoya City Museum

上の記事に書きませんでしたが、着物展の展示の説明はすべて日本語訳(というか、原文の日本語?)もついています。なかなか詳しい説明で、日本人が読んでも、勉強になること間違いなし!もちろん、英語フランス語の説明もありますから、日本語が分からない友人と行っても大丈夫です。

どちらの展覧会も5月22日までの予定となっています。着物展の方は、傷みやすいアンティークなものですから、長く展示ができず、会期中、ローテーションが組まれる予定です。

値段は着物展込みで一人9.5ユーロ。着物展を見て、もう疲れちゃった、という方。チケットは常設展なら購入日より14日間有効ですから、もう一度出直すことも可能です。

常設展だけなら、7.5ユーロ。その場合は、チケットの有効期限は一日限りとなります。

休館は火曜日。それ以外は10時―18時開館。

これから夏にかけてですと、5月1日も休館ですので、ご注意ください。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。