No.452フランス:11月11日11時、耳を澄ませてほしい理由

公開日 : 2018年11月06日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

以前も書いたことがありますが、フランス語では、大戦「グランド・ゲール」というと、今でも第一次世界大戦のことを指します。一説には970万人、フランスだけでも140万人を下らぬ未曽有の死者を出したこの大戦は、いまも人々の脳裏にくっきりと刻まれた記憶なのです。

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セルニー・アン・ラノワにある大戦の軍人墓地 ©冠ゆき

第一次世界大戦終息から100年

四年続いた「大戦」が終息を迎えたのは、1918年11月11日のことでした。フランスでは、1914年から大戦関連の記念行事が、全国の旧戦場などで多く開かれてきましたが、今週末11月11日の停戦協定の日は、その集大成の日となります。

思えば、私がトゥルコアン特派員として記事を書き始めたのが、ちょうど四年前のことで、大戦関連の行事についても、折に触れて書いてきました*。

*参考*第一次世界大戦関連記事(一部)

考えてみれば、100年前は、この最初の記事を書いたころから今日までの月日が、戦時下にあったということです。改めて、四年という時間の長さを思わずにはいられません。

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11月11日花輪の捧げられた記念碑 ©冠ゆき

パリでの記念式典

さて、フランスでは、例年同様11月11日にパリで終戦記念式典を行いますが、今年は100周年記念とあり、60か国以上から首脳が集まります。その中には、ドイツ連邦共和国首相アンゲラ・メルケル、ロシア連邦大統領ウラジミル・プーチン、また、アメリカ大統領ドナルド・トランプらが含まれます。パリ凱旋門でのエマニュエル・マクロンのスピーチは、11時を予定しています。

なお、追悼と平和の建設に焦点を当てるため、軍隊パレードは行いません。

この日に先立ち、フランス大統領エマニュエル・マクロンは、今月に入ってからすでにフランス各地の被害の大きかった旧戦場や記念碑などを訪れている最中です。

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激しい戦闘の繰り広げられた旧戦場 ©冠ゆき

全国の記念碑で祈り

激しい戦闘が繰り広げられた場所としては、やはり北部、東部が多く、ヴェルダン(Verdun)やソンム(Somme)、パドカレ(Pas de Calais)などが有名です。国境に近いロレーヌ(Lorraine)地方や北部にも、米軍人墓地やカナダ軍人墓地などが点在しています。

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11225人のカナダ軍人が亡くなったヴィミー戦場の記念碑 ©冠ゆき

フランスは、全国に大戦関連の記念碑を約3万数えますから、大抵の市町村には建っていると考えて間違いありません。それらの記念碑でも黙祷などが捧げられるでしょうから、フランスにいらっしゃる方は、お近くの記念碑に足を運んでみてください。

11時には、フランス全国の鐘が、空に鳴り響く予定です。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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