海外旅行・観光情報の「地球の歩き方」TOP > 特派員ブログ > ヨーロッパ  > トゥルコアン特派員ブログ > No.459テーマは『愛』、ルーヴル・ランス美術館...

フランス/トゥルコアン特派員ブログ 冠ゆき

フランス・トゥルコアン特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2018年11月30日

No.459テーマは『愛』、ルーヴル・ランス美術館のエキスポ紹介


No.459テーマは『愛』、ルーヴル・ランス美術館のエキスポ紹介

第二のルーヴル誕生から6年


459-1.JPG

ルーヴル・ランス美術館


ルーヴルの名を冠する二つ目の美術館としてルーヴル・ランス美術館が誕生してから、この年末で6年になります。

古代から19世紀までの美術作品を時代軸に沿って鑑賞できる常設展「時のギャラリー」に加え、様々な視点から美術品を整頓して見せる特別展は、毎回話題を呼んで、多くの観客を国内外から呼び寄せています。

最新企画のテーマは「愛」

459-2.jpg

ルーヴル・ランス美術館アムール展ポスター


そのルーヴル・ランス美術館の今季の企画テーマは、ずばり、「愛」。


「愛」と一言でいっても、その形、また、社会的な位置づけは、時代とともに大きく変化してきました。この特別展では、主に西洋における「愛」の価値の変遷を、美術作品のみならず、文芸作品や音楽作品を通して明らかにします。


7部に分けられた時代ごとの題目は、誘惑・崇拝・情熱・恋愛関係・歓喜・融合・自由というものです。


男をたぶらかす存在としての女性


459-3.jpg

Giuseppe della Porta Salviati, "Adam et Ève" (1526-1550頃) Toulouse, Musée des Augustins, © STC - Mairie de Toulouse


例えば、聖書のイヴとアダムの話を見ても、ギリシア神話のパンドラの話を見ても、古来、女性は「男性を誘惑し、災いをもたらすもの」として捉えられてきました。
イヴがアダムをそそのかして禁断の果実を食べたがために二人は楽園を追われる羽目に陥るわけですし、パンドラの誘惑にエピメテウスが抗えなかったがために、その後パンドラによりこの世に厄災が広められてしまった、というわけです。


459-4.jpg

James Pradier, "Satyre et bacchante"(1834)Paris, Musée du Louvre (Paris, RF 3475) © Musée du Louvre, Dist. RMN-GP / Hervé Lewandowski


男にとって、女とは、男らしさを失う原因となりかねない存在で、ある意味苦悩の元として捉えられていたのです。そのねじれた欲望は、しばしば相手を屈しようという征服欲という形を取ります。ギリシア神話には、誘拐や拉致の話が多く、それらの場面は、多くの美術作品に取り上げられています。


崇拝の対象になった母性


キリスト教の広まりにより、女性性に、再び価値が認められるようになります。そのカギとなったのは、聖母マリアです。純潔性と母性を兼ね備える存在として、崇拝の対象となったのです。ただし、言いかえれば、認められた価値はその二点だけだったわけです。その証拠に、キリスト教において、肉欲は7つの大罪のひとつとみなされることになります。


アラブとアンダルシアの詩がもたらした情熱


459-5.jpg

Les Joueurs d'échecs(15世紀)ステンドグラス, Paris, musée de Cluny - musée national du Moyen-Âge © RMN-GP (musée de Cluny - musée national du Moyen-Âge) / Jean-Gilles Berizzi


そこに情熱という風を吹かせたのが、アラブとアンダルシアから来た吟遊詩人たちでした。騎士が貴婦人に尽くす宮廷愛の概念が広がり、騎士道の物語の中核を占めるほどになります。あくまで貴婦人に騎士が仕えるという形式をとる宮廷愛。
実は、その名残はいまもチェスに見ることができます。
西洋にチェスが到来したのは10世紀ごろ。その後早い時期に、宰相の駒はクイーンの駒にとって代わられ、15世紀にはこのクイーンが最強の駒となりました。この辺り、貴婦人が騎士に及ぼすことのできた絶大な影響を垣間見るような気がします。


459-6.jpg

Carolus-Duran, "Le Baiser" (1868), Lille, Palais des Beaux-Arts,© RMN-GP / Hervé Lewandowski


こんな風に、その後も社会の風潮・思想の変化とともに愛の形も変わっていく様子を、現代まで辿るユニークな『Amour(愛)』展。会期は2019年1月21日までです。


ルーヴル・ランス美術館(Musée du Louvre-Lens)
URL:www.louvrelens.fr/exhibition/amour
住所:99 rue Paul Bert, 62300 Lens
開館時間:10時~18時
休館日:火曜日
入館料:18歳未満無料、18~25歳:5ユーロ、大人10ユーロ


(冠ゆき)

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村

記事の商用利用を希望される際はコチラからお申し込みください。
カテゴリー 文化・芸術・美術 見所・観光・定番スポット
2018年11月30日
« 前の記事「No.458パリ、ポンピドゥ・センターの挑戦」へ
»次の記事「No.460明日12/1のパリ、シャンゼリゼを歩くのは諦めてください*CGTデモについても追記しました」 へ
おすすめ記事
    トゥルコアン特派員 新着記事
    No.463夜明けのパリ12/8から、閉館施設、閉鎖駅、不通区域などのお知らせ
    No.462明日12/8はできればパリを離れてほしい理由
    No.461第14回アニメーション祭は、今週末フランス北部で開催!
    No.460明日12/1のパリ、シャンゼリゼを歩くのは諦めてください*CGTデモについても追記しました
    No.459テーマは『愛』、ルーヴル・ランス美術館のエキスポ紹介
    No.458パリ、ポンピドゥ・センターの挑戦
    No.457デモがパリに集結する11/24、避けたほうがよい場所と注意事項
    No.456リアル脱出ゲームをパリのオペラ座で!
    1年前の同じ月に投稿された記事
    No.395ベルギー人の誇り、フライドポテトの番付はここ!
    No.394バルビゾン派画家ミレーの全貌を解く展覧会
    No.393フランスのピエールフォン城公開150周年!
    No.392旅好きな方!月1万ドルでカンクン観光大使はいかが?
    No.391冬のユーロスターとタリス、ディスカウント情報
    No.390フランス北部リルのマルシェ・ド・ノエル

    フランス ツアー最安値


    2018/12/10更新

    フランス 航空券情報


    フランス旅行 旅スケジュール

    旅行者の作る、新着!旅スケジュールをご紹介します。 ■フランスの旅行記・口コミ「旅スケ」へ

    ヨーロッパ特派員ブログ一覧

    アイスランド/レイキャヴィークアイルランド/ゴールウェイイギリス/イーリーイギリス/エディンバライギリス/カーディフイギリス/ギルフォードイギリス/グラスゴーイギリス/ケンダルイギリス/ケンブリッジイギリス/コッツウォルズイギリス/ヒースローイギリス/ブリストルイギリス/ベルファストイギリス/ヨークイギリス/ロンドンイギリス/ロンドン2イギリス/ロンドン3イギリス/ロンドン4イタリア/アンコーナイタリア/アンドリアイタリア/シチリア島イタリア/ジェノバイタリア/トリノイタリア/ナポリイタリア/ナポリ2イタリア/パルマイタリア/フィレンツェイタリア/ボローニャイタリア/ミラノイタリア/ミラノ2イタリア/ラ・スペツィアイタリア/ローマイタリア/ローマ2ウクライナ/オデッサエストニア/タリンオランダ/アイントホーフェンオランダ/アムステルダムオランダ/デンボスオランダ/ライデンオーストリア/ウィーンオーストリア/チロルオーストリア/リンツキプロス/ニコシアギリシア/パロス島ギリシャ/アテネクロアチア/コルチュラ島クロアチア/ザグレブクロアチア/ドゥブロヴニクジョージア/トビリシスイス/アッペンツェルスイス/チューリヒスイス/ベルンスウェーデン/ストックホルムスペイン/イビサ島スペイン/バルセロナスペイン/バルセロナ2スペイン/バレンシアスペイン/バレンシア2スペイン/ビトリアスペイン/ビルバオスペイン/マドリッドスペイン/マドリッド2スロヴェニア/リュブリャナセルビア/ベオグラードチェコ/ブルノチェコ/プラハチェコ/プラハ2デンマーク/コペンハーゲンドイツ/ケルンドイツ/ケルン2ドイツ/シュタインバッハドイツ/デュイスブルクドイツ/デュッセルドルフドイツ/ハノーファードイツ/ハンブルクドイツ/フライブルクドイツ/フランクフルトドイツ/ブレーメンドイツ/ベルリンドイツ/ボンドイツ/ミュンヘンドイツ/ミュンヘン2ドイツ/ミンデンドイツ/ライプツィヒドイツ/レーゲンスブルクドイツ/ワイマールノルウェー/オスロノルウェー/オスロ2ノルウェー/オスロ3ノルウェー/ベルゲンハンガリー/ブダペストフィンランド/サヴォンリンナフィンランド/トゥルクフィンランド/ヘルシンキフィンランド/レヴィ・サーリセルカフランス/アヌシーフランス/カンヌフランス/コートダジュールフランス/ストラスブールフランス/トゥルコアンフランス/トゥールーズフランス/ナルボンヌフランス/パリフランス/パリ2フランス/ボルドーフランス/マルセイユフランス/リヨンフランス/リヨン2ブルガリア/ソフィアブルガリア/プレヴェンベルギー/ゲントベルギー/ブリュッセルベルギー/ルーヴェンポルトガル/ポルトポルトガル/リスボンポーランド/カトビッツェマケドニア/スコピエマルタ/マルタ島モンテネグロ/ポドゴリツァヨーロッパ/バルカンラトヴィア/リーガルクセンブルク/ルクセンブルクルーマニア/ブカレストロシア/サンクトペテルブルグロシア/モスクワ

    ヨーロッパにもどる

    • 特派員プロフィール
    • トゥルコアン特派員

      トゥルコアン特派員
      冠ゆき
      山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド、イタリア、中国の生活を経た後、2013年フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40ヵ国。6ヵ国語を解する能力と多様な文化に身をおいてきた経験を活かし、柔軟かつ相対的視点から、フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介中。
      Twitter, Instagram, Facebook DISQUS ID @disqus_MpLAscSgGV

    • リーダーに登録

    地球の歩き方Web特派員募集