No.470仏レースのふるさとで見る20世紀前半のモード変遷

公開日 : 2019年01月15日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

フランス北部の特産品のひとつにレースがあります。特に、商品登録されているカレーとコードリのリバーレースは、いまだにオートクチュールや高級プレタポルテに引っ張りだこのクオリティを持つレースとして知られています。

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1920-30年代のリバーレース、E. Beauvillainコレクション、Collection du Musee © P. Auvé

そのうちカレーのレース・モードセンターが開くエキスポについては、これまで何度か紹介してきましたので、今回は、コードリのレースと刺繍博物館を紹介したいと思います。

 *参考:これまでに書いた関連記事*

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Esprit de Mode展ポスター

おりしも、同博物館では、現在1915年から45年のモードを振り返るEsprit de Mode (エスプリ・ド・モード)1915-1945展を開催中です。

下に、その流れを大まかにまとめてみましょう。

【1910年代】

フランスでは、20世紀初頭、女性のファッションが大きく変化しました。それまで使うのが当然であったコルセットをなくすことで、自然なラインが生まれたのです。当時のパイオニア的デザイナーの一人であったポール・ポワレ(Paul Poiret)は、ハイウエストなパステルカラーのドレスを多く製作しています。

【1920年代】

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1920-30年代のリバーレース、E. Beauvillainコレクション、Collection du Musee © P. Auvé

アールデコの流行と相まって、1920年代のモードは、直線的で飾りの少ないものへとなっています。ローウエストの膝丈で胸の開きも大きいドレスが生まれます。

レースのモチーフも同様で、アールデコの影響を受けたものが多く作られました。

また、それまで喪服に限定されていた「黒」も、ココ・シャネルにより、シックでエレガントな色と見られるようになります。

【1930年代】

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1930年代のソワレ© P. Auvé

1929年の世界恐慌の影響により、モードにも、伝統性に一目置く風潮が戻ります。女性のドレスも、自然なシルエットを生かすものに変わります。

【1940年代】

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1940年代のカクテルドレス© P. Auvé

第二次世界大戦の影響を濃く受けたこの時代、材料が限られていたため、リサイクルも多くなされました。自己を肯定するような確固としたシルエットが生まれ、肩を強調し、ウエストをしっかり締めたドレスが主流となります。

僅か三十年の間に、これらの変遷を遂げた女性のファッション。こうしてざっと見るだけでも、時代の影響の大きさに驚く思いがします。

エスプリ・ド・モード展は、2019年9月15日まで開催。4月には展示品の入れ替えがありますので、二回楽しめるエクスポです。

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コードリの博物館前、レースを持つ彫像

なお、同博物館には、リバーレースを製造するために必要な機械類が展示してあり、職人のデモンストレーションも見ることができます。巨大なマシンから繊細なレースが生まれ出るところは、なかなかの見物。見学の際は是非デモの時間もチェックしてください。

住所:Place des Mantilles, 59540 Caudry

フランス国鉄Caudry駅より徒歩20分

平日:9時-12時、14時-17時

土日祝:14時半―18時

休館日:火曜

入館料:3ユーロ

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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