No.482これが最後になるかも?夏時間への切り替え
ヨーロッパの国のほとんどは、1998年から3月最後の日曜と10月最後の日曜のグリニッジ標準時1時AMに冬時間と夏時間の切り替えを行っています。
フランスも例外ではなく、来月3月30日(土)と31日(日)の間の2時=3時になります。つまり、睡眠時間がいつもより1時間短くなるわけです。
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ここまで読んで、
あれ?まだ2月なのに、まだ一ヶ月も先の話を、なぜ今頃書いているの?と思った方、
それには理由があります。実は、現在フランスでは国民議会が「夏時間冬時間切り替え」についての国民意識調査の真っ最中(3月3日まで)。そうして、もしかしたら夏時間冬時間の切り替えは、この3月が最後となるかもしれないのです。
というのも、スケジュール通りに進めば、欧州連合(UE)に属する国々は、2019年4月中に、それぞれの国の時間をどうするかを決めることになっているからです。
EU28か国のタイムゾーン
ちょっとおさらいすると、
今現在ヨーロッパ28か国は、3つのタイムゾーンを使っています。
グリニッジ標準時(UTC)との差で並べると、冬時間使用時には、次の通り。
UTC+0:アイルランド、ポルトガル、イギリス。
UTC+1:スペイン、フランス、イタリア、ベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、デンマーク、ドイツ、ポーランド、オーストリア、スロヴェニア、クロアチア、スロヴァキア、チェコ、ハンガリー、スウェーデン、マルタ。
UTC+2:ブルガリア、キプロス、エストニア、フィンランド、ギリシア、リトアニア、ラトビア、ルーマニア。
フランスは、現在冬時間ではUTC+1時間。夏時間になるとUTC+2時間となるわけです。
フランスとイギリスは同じタイムゾーンだった
ところで、フランスがこの時間を使うようになったのは、1940年からのこと。それ以前は、UTC+0であるイギリスと同じ時間を使っていました。
では、1940年には何があったのか?
実は、フランス北半分を占領したドイツが、ドイツ時間(UTC+1)を導入したというのが真相です(参照:No.22)
そのため当時は、フランス国内の占領地域と自由地域に1時間の時差がありました。
1944年パリが解放され、ドイツのフランス占領はなくなりますが、なぜか、時間はドイツ時間の方に合わせ、今に至っています。
切り替え廃止後は?
時間変更が廃止になった場合、現在の冬時間(UTC+1)を選ぶか、夏時間(UTC+2)を選ぶかは、それぞれの国の判断にかかっています。
フランスの場合、もし冬時間を一年中使うことになると、夏の夜、フランス北部では夜9時には日没を迎えることになります(夏時間なら夜10時過ぎ)。逆に夏時間を一年中使うことになると、冬の朝は10時近くまで暗いままという計算になります。
もともと夏時間は、経済的効果を期待して導入されたものですが、最近の研究では、それほど大きな効果はないという報告もされています。また、毎年2回の時間切り替えで身体の調子を崩す人も多く、統計でも心臓発作や交通事故数の増加が明らかになっています。
ここは是非とも1年を通しての影響を鑑み、賢い選択で、フランスの時間を定めてほしいところです。
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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