No.504カンヌ国際映画祭レッド・カーペットの行方
ただいま南仏カンヌでは、カンヌ国際映画祭(Festival de Cannes)開催中。今年2019年の開催期間は5月14日~25日です。
公式URL(英語):https://www.festival-cannes.com/en/festival/
Hermann TraubによるPixabayからの画像
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カンヌ国際映画祭といえば、レッド・カーペット(フランス語ではタピ・ルージュ)を歩くスターの姿が一番に頭に浮かびます。いまやカンヌ映画祭の代名詞となったタピ・ルージュですが、1946年に始まった映画祭の歴史の中で、タピ・ルージュが登場するのは1984年になってからのことでした。
『No.370ただいま開催中第70回カンヌ映画祭にまつわるあれこれ』にも書いたように、発案者は、ジャーナリストのYves Mourousi(イヴ・ムルジ)氏。映画監督・評論家であるGilles Jacob(ジル・ジャコブ)氏の依頼を受け、スターと記者や見物人をスマートに区別するために敷いたそうで、そのアイディアが素晴らしいものだったことは、その後の展開が示す通りです。
このタピ・ルージュの長さは60メートル。24段ある階段と、そこへ至る道路を覆い、花道を演出します。2週続く映画祭の期間中、タピ・ルージュの上を歩くのは8万人以上。それもあり、一日約3回取り替えられます。そのため、トータルで使用されるタピは7000平方メートル、80トンになるそうです。
これらのタピは、ニースより内陸にあるキャロ(Carros)のリサイクルセンターで洗浄され、その後イタリアの工場で加工されて、ポリプロピレン顆粒へと姿を変えます。このポリプロピレンはプラスチック工場へと回され、自動車のバンパーやダッシュボードの原料として使われます。今のところ、約80%がこうしてリサイクルに回されているそうです。
ファンの心情としては、切れ端でいいから、スターの歩いたタピが欲しい...というところでしょうか。実際、主催者によれば、かなりな額でも払う準備があるから、というファンの声も少なくないそうです。しかしながら、タピ・ルージュを商品にする予定は一切ないということ。
とはいえ、今年ちょっとした話題になったのが、リヨンに住むブロガーのFadela Mecheri(ファデラ・メシェリ)さん。カンヌ映画祭に着てきた赤いドレスは、なんと、去年カンヌのゴミ箱から手に入れたタピ・ルージュをアップサイクリングしたものだったそうです!
アップサイクリングの概念が普及するには良いきっかけでしょうが、こんなニュースが流れてしまうと、今年は、カンヌのゴミ箱をあさる人が増えるのではないかと、つい余計な心配をしてしまいます。
映画以外にも話題の多いカンヌ国際映画祭。残すところあと4日です!
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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