No.609ジブリの名作がフランスでタピスリーに!

公開日 : 2021年02月07日
最終更新 :
筆者 : 冠 ゆき

フランス地図のまん真ん中より少しだけ南に下りた場所にオービュッソンという人口3300人ほどの小さな町があります。ミシュランで有名なクレルモン・フェラン(Clermont-Ferrand)と、磁器で有名なリモージュ(Limoges)のちょうど真ん中あたりに位置します。

実はこの町は15世紀からタピスリー(英語のタペストリー)という織物で知られています。タピスリーは美しい模様を織り込んだ大きな布で壁掛けとして使われます。お城などの壁に絵画のように掛けられたものがそれです。

もともとフランスでは、北部のフランドルがタピスリーで栄えましたが、その技法が各地に伝わり、フランドル以外でもタピスリー製造が発達した場所がいくつかあります。オービュッソンもそのひとつで、2009年には、ユネスコの無形文化遺産指定を受けています。

さて、このオービュッソンで、なんと、宮崎駿監督作品がタピスリー化されることになりました!

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タピスリーになる予定の『ハウルの動く城』一場面 ©Studio Ghibli

最初に取り掛かる作品は『もののけ姫』(1997)の一場面。森の中、水のほとりでアシタカが傷の痛みを鎮めようとしているシーンです。緑あふれる背景に光と影の対比が決め手となり選ばれました。(この場面の映像はこちらのフランスアンフォサイトでご覧になれます)4.6m×5mのサイズで織られるというタピスリー。壁に掛けられたら、森の中に迷い込んでいくような気分になることでしょう。糸や色の選定、カートンと呼ばれる織り機のプログラム作りなど多くの作業を経て、2021年3月から制作がはじまります。

『もののけ姫』のあとは、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『天空の城ラピュタ』からも場面が選ばれタピスリー化することが決まっています。合計4つの映画の中から5場面がオービュッソンでタピスリーとして描かれます。5枚すべてが織り上がるのは2023年末の予定ですが、1枚ずつ完成する都度、オービュッソン国際タピスリーセンター(la Cité internationale de la tapisserie d'Aubusson)で展示されることになっています。←このタピスリーセンターのリンクには、日本語サブタイトルつきビデオもありますので、ぜひご覧ください。オービュッソンで織り手として頑張っていらっしゃる許斐愛子(このみあいこ)さんも出演していらっしゃいます。

2023年、すべてのタピスリーが揃うころには、自由にフランスと行き来できるようになっていることを願いつつ。

(冠ゆき)

筆者

フランス特派員

冠 ゆき

1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。

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