【東京】世界一の産地ハエンのオリーブオイルがテーマのドキュメンタリー映画上映中
ただいま恵比寿ガーデンシネマでは、スペインのドキュメンタリー映画『エキストラ・バージン~世界一のオリーブオイル~』(原題『Jáen, Virgen & Extra』)が公開されています。
さてさて、スペインは世界最大のオリーブオイル産地。世界の生産量の約半分はスペインでつくられています。その中でもダントツに生産が盛んなのが、アンダルシア地方のハエンです。このハエン一県で世界生産量の3割以上を産み出し、その量はイタリアとギリシャの生産量を合わせたものより多いそうです。
ハエンで栽培されているのは、土着品種のピクアル種。抗酸化作用が高いので日持ちがよく、ポリフェノール成分によるピリっと心地よい辛みや苦味が特徴です。高品質のオリーブオイルが搾れることや比較的育てやすいことから今では世界でもっとも栽培されている品種となりました。
主要な国際コンテストで入賞するハエン産ピクアル種のエキストラバージンオリーブオイルは数多あり、今や高品質でおいしいと世界中で注目を浴びています。
そんなハエンのオリーブ栽培ですが、実は昔は"質よりも量"だったため、食材としての評価は高くありませんでした。発酵臭のある低品質のハエン産オリーブオイルにいたっては、イタリアで猫のオシッコと呼ばれていたほど。が、汚名を返上し、量、質ともに世界一を目指そうとする若手のオリーブオイル生産者たちが次々と現れ、めざましい変革を遂げるようになったのです。スペインのスターシェフたちもこぞって高品質なエキストラバージンオリーブオイルを使うようになりました。
<写真提供:(株)ピクチャーズデプト>
<写真提供:(株)ピクチャーズデプト>
そんなハエンのオリーブ生産者やオリーブオイルの今を追ったドキュメンタリー映画が『エキストラ・バージン~世界一のオリーブオイル~』(原題『Jáen, Virgen & Extra』)です。ゴヤ賞(スペイン版アカデミー賞)受賞経験もあるベテランドキュメンタリー作家のホセ・ルイス・ロペス・リナレス監督がメガホンをとり、昨年サンセバスティアン国際映画祭の食をテーマにした部門にて公開されました。
<写真提供:(株)ピクチャーズデプト>
"オリーブの海"と呼ばれる壮観な見渡す限りオリーブ畑の風景や生産者たちの挑戦する姿などを目にし、長い歴史を知ると、今までただの植物油としか見ていなかったエキストラバージンオリーブオイルが、何かもっと違った輝いたものに見えてきます。スペインには、オリーブオイルをあらわすOro líquido(液状の黄金の意味)という表現もあるのですよ。映像の美しさもすばらしく、スクリーンに吸い込まれてしまいそうな気になります。
実は、この映画はスペインではまだ劇場公開されていません。本国より前に日本で公開されるってすごいことですよね!!
『エキストラ・バージン~世界一のオリーブオイル~』は、12月19日(木)まで恵比寿のガーデンシネマで上映中です。あと1週間ですね。スペインが好きな方、スペイン料理が好きな方、オリーブオイルが好きな方には特におすすめしたい映画です。ぜひぜひ劇場に足をお運びくださいね。これを見た後は、おいしいエキストラバージンオリーブオイルが買いたくなるはず。そしてハエンの"オリーブの海"を見に行きたくなること間違いありません。
予告編は映画の公式サイトからご覧になれます。
筆者
スペイン特派員
田川 敬子
東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。
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