外出規制5週め。バレンシアでこんな軟禁生活を送っています

公開日 : 2020年04月13日
最終更新 :

スペインではさる3月13日にサンチェス首相が警戒事態宣言を出し、そこから始まった外出規制も5週めに入りました。スタート時点での感染者数は4209名で、死亡者は120名でしたが、昨日バルセロナの日本総領事館から届いたお知らせでは、感染者は169,496人(40倍に!!)、死亡者は17,489人(145倍に!!)に激増。ものすごい数字ではありますが、ともに増加率は以前より下がっているそうで、ピークは越えたのではないかと言われています。

私はこの4週間あまりの間に外に出たのは、週に1~2回近所に買い物に行ったときだけです。一度も出ていないという友人もいます。ロックダウン中のほかの国では、散歩や運動のための外出が許容されているところがありますが、スペインでは許されていません。外に出ていいのは、仕事(認められた職種のみ)、病院、生活必需品の買い物、薬局、タバコ屋、新聞スタンド、銀行、郵便局に行くとき、犬の散歩(近くで用を足させるのみ)くらいなのです。また、外出は原則1人でないといけません。町中には警官が常に巡回し外出目的を尋ねられるのですが、もし不要不急でない場合は、100~1000ユーロの罰金となります。今日のニュースでは、今までに527,000件以上の罰金が課されたとのこと(527,000件は全人口の1.12%!!)。

最初はちょこちょこ買い物に出て外の空気を吸おうと思っていましたが、すぐに外に行くのが怖くなりました。買い物に出る時はマスクをし、使い捨て手袋とアルコール消毒ジェルをバッグに入れていきます。12時前後は買い物でわりと人が出ているので、スーパーに行くのはみんながお昼を食べて空いている午後3時~4時。スーパーでは入場制限をしているため通りで並んで待たないといけないことがあり、私が行くところは社会的距離を守るように道路にはテープが貼られています。1人出ていくと1人入店できるようになっていて、入るとすぐに警備員さんが手にアルコール消毒ジェルをかけてくれ、その後使い捨て手袋を渡されます。レジに並ぶ時も、もちろん社会的距離を守らないといけません。レジ係の人は、誰もがマスクと手袋を着用。また、レジ係とお客さんの間には透明のプラスティックボードが設置されました。個人商店でも入場制限をして一度に2人くらいしか中に入れないので、多くのお店の前には列ができます。

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<レジに並ぶ人が社会的距離を守るよう、床にはテープが貼られている>

警戒事態宣言前からWCペーパーの買い占めがあり、その後食品にも波及したものの、今は落ち着いています。ただ、アルコール消毒ジェルやアルコール、マスクだけはなかなか入手できません。みんな家で過ごすようになったため、ビールやポテトチップスの売り上げがグンと伸びたそうです。家飲みですね。また、パンやピザ、お菓子を作る人も多いようで、強力粉や小麦粉、イーストなどが品薄になりがちです。私も時間を持て余すので、苦手なお料理にも挑戦しようとクックパッドのプレミアム会員になり、数日おきに焼き菓子を作っています。家でほとんど動かない生活なのに、摂取カロリーが高すぎるのは良くないですね・・・。意志の強い人は、軟禁生活中でも自宅でストレッチや筋トレ、オンラインでのダンスやヨガのレッスンなどで体を動かしているようです。

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<警戒事態宣言前日、多くのスーパーからWCペーパーが消えた>

外を歩く人の半分以上はマスクをしていますが、SNSで流れてくるような頭からビニールをかぶったりと大げさないでたちの人はまだ見かけません。

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<スーパーの順番待ちは、道路にある黄色と黒のテープによって社会的距離を保つルール>

会社員の夫は警戒事態宣言が出た翌週は在宅勤務になりましたが、その後は有休消化、ERTE(復職が補償された一時解雇)でずっと家にいます。薬局やコンビニ、タバコ屋、ゴミ捨てと頻繁に出るので、家にウイルスを持ち込まないか心配です。中学生の息子はオンライン授業はなく、本来の登校日には先生から送られてくる課題を2~3時間かけてやり(先週今週はイースター休暇で何も課題はありません)、あとはTVか携帯を見ているかプレステ4で遊ぶか(もっと勉強してほしい!!)。かわいそうに、この4週間あまりの間、外に出たのは一度ゴミ捨てに行ったときだけです。狭い家の中にこんな2人がゴロっといるので、多少の在宅の仕事がある私も集中できずにストレスを感じます。また、時間に縛られない毎日なので、家族そろって段々遅寝遅起きになってきていることが気になっています。今日は何日だっけ? 何曜日?と日付の感覚も鈍ってきました。

このような生活が始まってすぐに、主に医療従事者に感謝と敬意の気持ちを表そうと、毎日午後8時にベランダに出て拍手を送る習慣がはじまり、これはスペイン全土で今も続いています(初日は10時でしたが、子どもも参加できるように翌日から8時に)。ベランダ越しに会話をする人もいますが、私がここ数日悩まされてるのは、拍手タイム前後に約30分に渡りベランダで大音量でカラオケをする近所のおじさんです。音痴の私が言うのもなんですが、うまくないんです・・・。「やめてーーー!!」と叫びたくなります。なのに、近所の人たちはベランダに出てそれを聴き、拍手を送ったり「アンコール」と言ったり。優し過ぎます(笑) SNSで目にするような、プロ、もしくはプロ並みミュージシャンは、残念ながら私の通りには住んでいないことがわかりました(笑)

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<普段ならバルやカフェのテラスが並ぶ広場もガラーンと。空の青さがまぶしい>

と、こんな退屈な日々がもう4週間以上。現時点では"4月25日24時まで"の予定ではありますが、これはサンチェス首相も「また延びるだろう」と言っています。いったいいつまでこんな生活が続くのか。学校はもう新学期の9月までないという話も耳にします(そうなると半年間登校なしに!!)。早く元の生活に戻りたい!! そのためにも、私たちはこうして外に出ない生活を続けないといけないのです・・・

筆者

スペイン特派員

田川 敬子

東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。

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