2010年7月1日より、BC州とオンタリオ州で新消費税制度 HST スタート

公開日 : 2010年07月17日
最終更新 :

2010年7月1日より、ついに ブリティッシュ・コロンビア州(以下 BC州)とオンタリオ州で新消費税制度 HST(Harmonized Sales Tax)が実施された。

BC 州では今まで GST(国の税金 5%) + PST(州の税金 7%) の 2つの税金が、物品・サービスなどに課税されていたが、その区別が無くなり、HST(12%) として合算されるというわけだ。ちなみに、トロントがある オンタリオ州では BC州よりも 1%高い 13% となる。

一見、消費税が 2倍以上になってしまったようにも見えるが、実際に影響するのは今まで PST が課税されていなかった、レストランの食事や、美容室、マッサージ、タクシーなどの物品・サービスなど全体の 20% 程度。それ以外については GST(5%) + PST(7%) を支払っていたものが多いため、トータル的には変わらないというわけだ。

ちなみに、今まで GST が課税されていなかった商品については、HST に変わっても課税される事は無い。

今まで PST が免除されていたもので、今回 HST として課税される物品やサービス。要するに税金が上がるものは下記の通り。

[物品]

• Residential fuels and heating (住宅用燃料・暖房など)

• Basic cable TV and residential phones (ケーブルテレビや家庭用電話代)

• All food products (加工食品)

• Non-prescription medication (処方箋以外の薬品)

• Vitamins and dietary supplements (ビタミン剤やサプリメントなど)

• Bicycles (自転車)

• School supplies (本など以外の学校用品)

• Magazines and newspapers (雑誌や新聞)

• Work-related safety equipment (労働用の安全器具)

• Safety helmets, life jackets, first-aid kits (ヘルメット、ライフジャケット、救急用品)

• Smoke detectors and fire extinguishers (火災報知器、消火器)

• Energy conservation equipment (エネルギー設備やソーラー設備など)

[サービス]

• Personal services such as hair care (美容院など)

• Dry cleaning (クリーニング)

• Repair services for household appliance (家庭用器具の修理など)

• Household maintenance such as renovations and painting (家の改装、ペンキ塗りなど)

• Real estate fees (不動産の手数料)

• Membership fees for health clubs (スポーツクラブなどの入会費)

• Movie and theatre tickets (映画館、劇場への入場料)

• Funeral services (葬儀)

• Professional services such as accounting and home care (会計や建築士など専門家のサービス)

• Airline fares within Canada (国内の航空券)

そして、HST が免除されるもの。

要するに税金がかからないものとしては下記などが挙げられる。

・basic groceries (日常食品)

・prescription drugs (処方箋薬品)

・residential rent (住居の家賃)

また、下記については HST の 12% は課税されないが、今までと同様、5% が課税される事になる。

・Fuel to power your vehicle (車のガソリン、ディーゼルなど)

・Books (書籍類)

・Child-sized clothing and footwear (子供用の衣料や靴)

・Children's car seats and car booster seats (チャイルドシートなど)

・Children's diapers (子供用オムツ)

・Feminine hygiene products (女性用生理用品)

その他、留学生やワーホリなどに関連するものとして、市バスの運賃(定期券・回数券など)、学校の授業料などについては、今まで通り税金はかからない。

とまぁ、課税されるもの、されないものを紹介したが、今までそれほど贅沢な生活をしていなかった人でも、今後の生活費が確実に上がるのは間違いない。その中でも意外と大きく影響するのは、レストランでの食事かもしれない。

例えば、合計額が $30 だった場合、今までであれば $1.5(GST 5%) + $4(チップ 10-15%) が加算され合計 $35.5 だったが、これからは、$3.6(HST 12%) + $4(チップ 10-15%) が加算され合計 $37.6 となってしまう。

ただレストランについては通常、税金よりもチップの方が高い場合が多いため、takeout/to-go(持ち帰り) などにし、税金を払う代わりにチップを避けると言う手もある。ほとんどのレストランで持ち帰りは可能なので、夏ならビーチや公園で食べるのも選択肢の 1つ。

ただどちらにしても、今後は外食を控え自炊をする人が増えることが予想されるため、飲食業側にとってはキツイ状況になるのは間違いない。

ということで結論として、この HST を導入する事で一体どんな効果が期待できるのだろうか・・・?

実はこの HST 導入に関して、一番効果が発揮されるのは、基本的には 企業側(主に製造業)に対してで、今までは、物が製造され消費者に届くまでのステップ(製造、移動、販売、マーケティングなど) 全てにおいて、PST(州税)が課税されており(下図参照)、最終的にその何重にも課税された売値額を消費者が負担していたわけだが、HST では、企業が製造のために機械や材料を購入する際には課税されないため、最終的に消費者の手元に届いた時にのみ HST が課税されることになり、結果的に消費者にとっても、企業側にとってもハッピーになるという事だそうだが・・・果たして・・・。

PSTvsHST_resizedChart.jpg

ちなみに、BC州の HST 12% は、カナダ国内の他の HST の州と比べると一番安い。

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