復活祭とイースター兎の不思議な関係
(移動祝日のため、今年は4月4日の日曜)
主イエズス・キリストが磔刑にされた後、3日後に蘇ったことを記念する聖なる日であるため、教会ではクリスマスを凌ぐ、至高の祝日とされています。
また、スペイン語でも"パスクワ(Pascua)"と称されるように、英語とドイツ語以外のヨーロッパ諸言語では「復活祭」の語源がヘブライ語の「ペサハ」(Pesach)、つまりユダヤ教における「過越しの祭り」に由来すると考えられています。
※過越しの祭り=エジプトで虐げられていたユダヤ人が、モーゼを指導者として約束の地への移動を試みる中、ファラオ(ラムセス2世とされる)の妨害に遭う。そこで神がエジプトに対し10番目の災いとして、「戸口に印のない家全てのういごを屠る」こととなったが、ユダヤの民だけは神のお告げを受け、生贄とした子羊の血で戸に印を付けたため、災厄を"過ぎ越した"ことを祝う祭。
また復活祭は英語でイースター(Easter)、ドイツ語でオスターン(Ostern)と、他のヨーロッパ言語とは名称を異にしますが、これは春の到来を祝うため、ゲルマン神話における春の女神の呼称「エオストレ」(Eostre)に因んでいるとされています。冬が終わり、木々が芽生え、花の咲き誇る春の象徴として、多産・躍動を表す「ウサギ」や卵を産む「ヒヨコ」が祝いに頻繁に用いられました。
復活祭の時期に見られるウサギ・ヒヨコグッズや、家の中に卵を隠して子供に探させるファミリー・イベントは、このゲルマン神話の伝統が根底にあると同時に、「墓から蘇ったキリスト」と「卵から孵るヒナ」、「多産の(=生命力に溢れる)ウサギ」という概念を結びつけたものです。
そう云えば私も昔、留学先の南米チリ(敬虔なキリスト教国、スペイン語圏)で、やはり家族全員で家や庭に隠されたウサギの卵を探索した経験があるので、言語に拘わらず、キリスト教国では「復活祭=バニー・エッグ」という図式が成り立っているようです。
そんな復活祭の時期、オーストリアでは何が見られるのでしょう?
◆シェーンブルン宮殿のイースター・マーケット
テレジアン・イエローと称されるマスタード色の宮殿をバックに、緑色の屋台が所狭しと並んでいます!綺麗にペイントされたガラス製、木製の卵や、ウサギ・ヒヨコをはじめとする木製の動物グッズ(お庭の飾りに最適)、各地のハチミツ、ハンドメイド・ソープ他、カイザーシュマレン(オーストリア製パンケーキ)やシュペッツレ(チロル地方のパスタ)等、オーストリアのスナック類が屋台で売られているので、それらを頬張りながらお店を見て回ったり、ライブの生演奏に耳を傾けるのが楽しい過ごし方!
自分の誕生月に合わせた卵型の誕生石も10〜14ユーロで販売されています。
ローズクォーツは恋愛に効くとされているなど、パワーストーンは種類によって様々な幸運をもたらすと評判。コロコロしていて飾っているだけでも可愛いので、是非お土産にどうぞ!
それ以外にも「キンダー・プログラム」として、マジパンでイースターバニーを作ったり、マジパン・エッグをチョコレートの噴水に浸す(チョコレート・フォンデュ)ワークショップ(4.8ユーロ)や、イースター・エッグを探すツアー等、キンダーイベントも盛りだくさんなので、家族旅行者も楽しめること間違いなしです!
◆ケーキ屋さんやスーパーマーケットで買えるウサギ・ヒヨコグッズ
左写真は、私が姑から贈られたウサギのチョコレートの山。(食べきれません!)真ん中のウサギさんの胴体部分は、後でエッグ・スタンド(茹で卵のスタンド)として使用できます。
左の靴にピエロの顔まで描かれてあるという凝りよう!
こういった風に街中の至る所で愛らしく、時には芸術的とさえ感じさせるイースター・グッズが売られており、見ていて全く飽きません!
クリスマス同様イースターも、「復活祭」というキリスト教本来の目的からは若干外れ、商業化されている感が否めませんが、それでも春の訪れを皆で祝うゲルマン文化の目的には十分適っています。
クリスマスやバレンタイン、教会での結婚式等、各国の文化が輸入されている日本ですが、イースターは比較的まだ普及していないと思われます。もしこの時期にウィーンを訪れる方がいらっしゃれば、イースターのお祭りを存分に愉しまれると同時に、これを機会に歴史背景やキリスト教文化、ゲルマン神話にも少し触れられると、より興味深く、奥深いご旅行になるのではないでしょうか。
来年のご参考にどうぞ
シェーンブルン宮殿・イースターマーケット
場所: Scholoss Schoenbrunn, Ehrenhof/シェーンブルン宮殿 栄誉の中庭(正門入ってすぐ)
行き方: 地下鉄4番線 シェーンブルン駅下車、徒歩5分
時間: イースターの期間中毎日 10:00-18:30
URL: http://www.eastermarket.at/
筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
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