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オーストリア/ウィーン特派員ブログ ライジンガー真樹

オーストリア・ウィーン特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2010年10月19日

ザッハトルテ戦争、どちらに軍配?


ザッハトルテ戦争、どちらに軍配?

ザッハーのトラック.jpg

少しヨーロッパやスウィーツに詳しい方なら既にご存知かと思いますが、ウィーンには"ザッハトルテ"という、オーストリアを代表する、最高に美味しくてあま~いチョコレートケーキが存在します!

ウィーンだけに限らず、日本国内・世界各地でも最近頻繁に目にするザッハトルテ。
実はこのケーキには長い伝統と、"Hotel Sacher"(ホテル・ザッハー)と"Hofzuckerbaecker Demel"(王室御用達菓子店・デーメル)が「オリジナル・ザッハトルテ」の販売権を巡って法廷で争った、俗に言う「ザッハトルテ戦争」という曰くつきの歴史があります。


◆ザッハトルテの歴史

ザッハトルテの原型となるものがレシピに最初に登場したのは18世紀で、一説によると1718年のConrad Haggers Kochbuch (コンラッド・ハッガーのお料理本)、別説では1749年のGartler-Hickmanns „Wienerischem bewährtem Kochbuch"(ガートラー・ヒックマンの「ウィーンの実証料理本」)が始まりだそうです。
これが正式に「ザッハトルテ」として誕生したのは、1832年のこと。
時の宰相クレメンス・メッテルニヒがゲストの貴族・高官たちを持て成す為に、お抱えシェフに新しいデザートの創作を命じました。ところがシェフが病に倒れたため、当時若干16歳にして、見習い研修期間僅か2年目であったフランツ・ザッハーがシェフの任務を引き継ぎ、後のザッハトルテの基礎モデルとなるケーキを考案します。


※Klemens Metternich(クレメンス・メッテルニヒ): 
オーストリア外相時代に「ウィーン会議」を主催、後にはオーストリア宰相としてその後のウィーン体制を支えた人物。


◆ザッハトルテ戦争の発端

このようにして創作されたザッハトルテが、どのような経緯を経て、"ホテルザッハーV.S.デーメル"の争いになったのかもまた諸説あるようですが、要約すると以下が代表的なもの。


フランツ・ザッハーの二男、エドゥアルド・ザッハーが、デーメルでケーキ職人としての修業期間中に、父親の考案したザッハトルテを今日の形にまで完成させた。当初彼のオリジナル・レシピに依るザッハトルテはデーメルにて販売。エドゥアルドが「ホテル・ザッハー」を創業した後は、そこでホテルにてザッハトルテの提供を開始する。エドゥアルドと彼の妻の死後、ホテルビジネスは行き詰まり1934年に倒産。その際に資金援助を申し出たデーメルに、エドゥアルドの息子がオリジナル・レシピとザッハトルテの販売権を譲渡したことが、後にオリジナル商標を巡った議論、「トルテ戦争」勃発の切っ掛けとなる。


間に第2次世界大戦を挟み、事態は一時期沈着しますが、1954年にホテル・ザッハーの支配人がデーメル側に対し訴訟を起こしたことにより、その後7年にも渡る裁判が繰り広げられます。

ホテル・ザッハー「ザッハトルテはホテル・ザッハーのトレードマークだ!!!」

デーメル「ザッハトルテはうちのキッチンで開発された!それに商標と販売権は買い上げた!!!」

ホテル・ザッハー、デーメル「オリジナル・ザッハトルテはうちの商品だ!!!」


といった具合です。
1963年に遂に示談で、ホテル・ザッハーのトルテが"The Original Sacher-Torte"(オリジナルのザッハトルテ)の権利を死守、デーメル側が"Eduard Sacher-Torte"(エドゥアルドのザッハトルテ)と名乗ることで議論は終結しました。


そんな謂れを持つザッハトルテですが、実際のお味はどうちがうのでしょうか?
詳しく見て行きましょう!


◆ホテル・ザッハー~オリジナル・ザッハトルテ~

ざっはトルテ-a.jpg

こちらがホテル・ザッハーや空港のCafe Sacher Eck(カフェ・ザッハー・コーナー)をはじめ、近年では通信販売でも世界中で手に入る、"オリジナル・ザッハトルテ"!!!
しっとりとしたスポンジに甘酸っぱいアンズジャムの2層レイヤー、表面は分厚いチョコレートのフォンダン(糖衣)で贅沢に覆われています。甘くないホイップクリームが、必ず横に添えられてくるのが特徴。
このホイップクリームは、アイスクリームのクープにおけるワッフルの様な存在で、ザッハトルテの甘味を上手く調整し、よりしっとりとした食感に導く絶妙な役割を果たしています。
強いて欠点を挙げるならば、上のチョコレートのエンブレムに99.5%誰かさんの指紋がついていることと、最近2回りくらいボリュームダウンしたことくらいで、
お味は文句なしに美味しさ五つ星☆☆☆☆☆!
お値段は、ホイップクリームが漏れなく付いて、一切れ4.90ユーロ。


DSCN8792-b.jpgこちらのちょっと小振りなザッハキューブは3.50ユーロ。「甘いものは苦手だけど、折角ウィーンに来たのだから試してみたい!」と言う方にピッタリ。


◆デーメル~エドゥアルドのザッハトルテ~

demelザッハトルテ-a.jpgこちらが対するデーメルの「エドゥアルドのザッハトルテ」!
スポンジはホテル・ザッハーのトルテよりも乾燥している上、ホイップクリームも別途注文する必要があります。一方アンズジャムのレイヤーはチョコレートフォンダン直下の一層のみ。
オリジナル・ザッハトルテ同様、大きさもここ数年で2回りほど小さくなりました。

demelのホイップクリーム-a.jpgお値段は一切れ3.70ユーロ + ホイップクリーム(0.70ユーロ)で合計4.40ユーロ。


味だけで吟味すると、著者の軍配は文句なしにホテル・ザッハーに上がりますが、デーメルにはこ~んな底力が!

demel店内2-a.jpgdemel内装これに決定-a.jpg

内装がアンティーク調で、とっても可愛いんです!!!


demelキッチン-b.jpg
お菓子を作る工房もガラス越しに一般公開☆
時には、食べるのが勿体ないくらいキュートにデコレートされた、芸術品のようなケーキが沢山並べられていることも!


demelアイスコーナー-a.jpg夏季にはエントランス横で、デーメル特製のアイスクリーム販売も行っています。


demelケーキ売り場-b.jpgこの他にも併設ショップで、シシィ(皇后エリザベート)の好物だったスミレの砂糖漬けや、年末の時期には"オーストリア版タイ焼き"のような、珍しくて可愛らしいお菓子が沢山売られています!


フルフール-a.jpgそれにケーキ類は、デーメルの方が断然充実!!!
伊達に王室御用達菓子専門店をやってはいなかったということです(笑)


ということで、著者独断の総合評価としては4つ星半☆☆☆☆といったところでしょうか。
ザッハトルテのみに主眼を当てると、デーメルは3つ星なので、ザッハトルテ戦争の帰着は、かなりの接戦ではあったものの、ホテル・ザッハーに軍配を上げたいと思います!


でもケーキの美味しさなど、所詮主観的なものなので、実際どちらが美味なのかは皆さん自身の味覚で確かめてみて下さいね☆


(以前のカフェ・ザッハー・エックの記事はこちら です)


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カテゴリー レストラン・料理・食材
2010年10月19日
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      ウィーン特派員
      ライジンガー真樹
      スペイン語と異文化研究のため高校時代に南米チリへ留学、国際基督教大学(ICU)卒業。外資系広告代理店のメディアプランナー、欧州系エアライン2社の客室乗務員を経て現在はモード業界 に。仕事の傍ら子育てと執筆に勤しみ、ウィーンで話題のスポットや伝統的なカフェとスイーツ、日本とはかなり異なるオーストリア事情など、バラエティに富んだ情報をお届けすべく活動中!連絡先Facebookページ DISQUS ID @disqus_zl3jc0QKNG

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