リンツの街を歩けば3 ~リンツ城博物館への途次~
さて、極甘のリンツァートルテの腹ごなしに著者は街見物に出掛けたのでした。
マロンのお菓子を横目に、新大聖堂を見物しつつ、著者が次に向かった先はSchlossmuseum(リンツ城博物館)!
これは新大聖堂からドナウ川の方まで20分程度歩く必要がありそうです。
道中のお店や建物、景色等を楽しみながらゆったり進んで行きましょう。
◆Bischofshof(ビショフスホフ/枢機卿の館)
人の身長の2倍以上はある、どっしりとした立派な木製の扉で、建物の名前は"Bishofshof"(枢機卿の屋敷・館)と言うのだそうです。
オーストリアの歴史的に重要な建造物には、2本から4本の赤白ストライプの旗が入口横に立っているのですが、この建物にも2本はためいているところをみると(写真、扉左手)、ちょっとした由緒があるようです。
旗下に説明が書いてあったので、読んでみると、
「この建造物はJakob Prandtauer(ヤコブ・プランドタウアー)の設計に依り、クレムス大聖堂に倣って1721~1726年に建立。今日では枢機卿の居住宅である」
のだそうです。
なるほど、それで安易に「枢機卿のお屋敷」なるネーミングになったのですね。
◆Linz City Express(リンツ・シティ・エクスプレス)
ほどなくすると、目の前を黄色い蒸気機関車風のバスが!
"リンツ・シティ・エスクスプレス"という観光バスだそうで、市内の見どころを6.5ユーロ(所要時間約25分)で回ってくれるのだとか。
そういえば、こういう文明の利器(園内移動・観光用の乗り物)を利用しなかったがために、ヴェルサイユ宮殿では真冬の庭園を5~6時間も独りで彷徨うはめになったという苦い経験が著者にはありました。
バスに乗っていれば、きっと半分以下の時間と労力で観光は終了したことでしょう。
(歩くのも情趣が味わえて良いのですけれどね)
でも今回はもうリンツ城の丘が眼前ですし、このまま引き続き目的地まで歩くことにします。
◆リンツ城への階段
リンツ城へと連なる道は、未来永劫続くとも思えるような階段に次ぐ階段の連続!
フライト後の重い足に加え、極甘リンツァートルテが漬物石のように著者の胃に重くのしかかっています。もうホテルのお部屋に帰ろうかと若干弱気になりましたが、念のため、もう一度「地球の歩き方」本誌でリンツ城博物館の項目を読んでみました。
「(前略)・・・かつての皇帝フリードリヒ3世の居城。フロアごとに時代を区切って、前肢時代から中世のオーバーエスターライヒ州の発掘品や武器、工芸品、また絵画のコレクションなどが展示されている。かつての城壁跡に位置するテラスからの眺望もすばらしい」
やはり、これは行かなければ!!!
◆石段を登りきると・・・
この写真はフリードリヒ3世によるSteinwappen(石の紋章)の門。
このレリーフは15世紀後半に掘られたもので、上段から、「クローネ(冠)を頂いた帝国の紋章」を中央に、左右は「古オーストリアの盾形の紋章」と「カイザー(皇帝)のモノグラム(組み合わせ文字)」、下段はシュタイヤマルク州の紋章とオーバーエステライヒ州の紋章、それに挟まれて"AEIOU"の碑文が刻印されています。この"AEIOU"が指し示す内容とはラテン語で"Arcem extruxit in oriente versam Fridericus Romanorum Imperator"、訳すと、「東に向かってローマの皇帝フリードリヒによって建てられた城」です。
参考までに、15世紀後半と言えば、日本では戦国時代の幕開け、イングランドではヘンリー7世によるテューダー朝が始まり、他方ではイタリア人のクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した時代。広い世界では実に多様な出来事が同時進行していたのですね。
◆城壁からの景色
リンツは歴史・文化・自然が上手い具合に融合しており、とても情緒ある街だと再認識しました。
さて次回はいよいよリンツ城博物館に入館し、中世リンツの歴史や文化との御対面です!
筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
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