ブリューゲルのオモシロ絵画とバベルの塔

公開日 : 2010年11月24日
最終更新 :
美術史博物館正面階段-a.jpg

今回は華麗な内装に加え、その中でも際立った絵画コレクションを、ヨーロッパ最大数を誇るブリューゲルの作品を中心に紹介していきたいと思います!

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まずはオランダ出身、16世紀のフランドル画家、ペーテル・ブリューゲルの作品から。

◆バベルの塔(1563年)

バベルの塔-b.jpg

このテーマは旧約聖書・第11章から採られたもので、

「バビロニアの人々は天まで届く塔の建設を試みたものの、その傲慢さが神の怒りに触れ、神は人々の言葉を混乱させて意思疎通を不可能にした。そして塔建設は破綻した」というのがそのあらすじです。

2重のアーケードや2重の螺旋構造といった塔の特徴は、1553年にブリューゲルがローマ滞在した際にコロセウムから影響を受けたとされます。また螺旋状という不安定な構造や、崩れかけた外壁等が"破綻の予兆"として描きこまれているのにも注目!

余談ですが、タロットカードで最も悪いこと示す「塔」のカードは、このバベルの塔が由来との説も。

◆Der Kinderspiele/子供の遊戯(1560年)

Der Kinderspiele子供の遊び-b.jpg

木片や骨、タイヤ、樽などで思い思いに遊ぶ様はとても興味深いもの。

あれ?でもよく見るとみんな大人???

ブリューゲルは単に民俗的な生活様式を記録したかったのではなく、「生活を子供の遊びと間違えないように」と大人に対する注意喚起を込めたとの説もあります。(Rose-Marie und Rainer Hagen著、"Bruegel"より)

Lulu-a.jpg

よく見ると、用を足している人も!?----------------->

梟(知恵の象徴)を捕まえようとする子供がいたり、青いマントを頭から被ったキリスト教の洗礼の儀式参列者が「嘘、自己欺瞞」を示している等、細部観察がとても楽しい絵です!

◆ブリュッセルにおけるレオポルト・ウィルヘルム大公のギャラリー(1651年ごろ)

レオポルド大公のギャラリー-a.jpg

「絵画の中の絵画」という技法は、後にシュールレアリズム画家のルネ・マグリットも踏襲していますが、当時としては斬新なアイディアだったことでしょう。数えてみると、50枚の絵画と5体の頭部彫刻が描かれています。

ハリー・ポッターに出てくるホグワーツに飾られている絵画のように、今にも中の人物が動きだしそうな、臨場感あふれる作品!

◆ラファエロの「草原の聖母」(1505/1506年)

著者と聖母子2-a.jpg

(驚いたことに、ラファエロの名はオーストリア人には殆ど知られていませんが!)

ミーハーな著者も彼の作品と一緒に、一枚パチリ(笑)

◆クリムトのエジプトチックな壁画

階段とクリムト-a.jpg
美術史博物館クリムト壁画-a.jpg

向かって右が「エジプト」、左が「古代ギリシャ」で、芸術の発展するさまを表現しているのだとか。

天井壁画や大理石の柱など、豪華な室内装飾にも注目!

今日ご紹介したものはほんの一部に過ぎず、まだまだ見どころいっぱいの美術史博物館。

人生で一度は見ておきたい傑作ぞろいですので、皆さんも一度は足を運んでみて下さいね!

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デコバナー美術史博物館-a.gif

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美術史博物館、詳細はこちら!

Kunsthistorisches Museum (KHM) /美術史博物館

行き方:路面電車(トラム)1、2、D番のBurgring(ブルクリンク)駅下車。もしくは王宮をコールマルクト通りとは反対側に、Heldenplatz(ヘルデンプラッツ/英雄広場)を抜け、リンクを越すと目の前、左手。

電話: (0)1 5252 44025

URL: http://www.khm.at/nocache/en/kunsthistorisches-museum/ (英語)

開館: 火~日曜(月曜休館)、10時~18時(木曜のみ絵画部門は21時まで)

料金: 一般10ユーロ、学生・シニア7.5ユーロ、車椅子でも見学可。

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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