ハプスブルク家に伝わる下唇

公開日 : 2010年12月05日
最終更新 :
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またそれとは反比例するように、クリスマスのイルミネーションは一層煌びやかに、街中やショッピング・センターに彩りを添え、とても綺麗です。

さて、本日はハプスブルク家特有と評される独特の顔立ちについてお話したいと思います。

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先日著者がウィーン・リンク沿いにある美術史博物館を訪れたことは「ブリューゲルのオモシロ絵画とバベルの塔」にて記しましたが、

その際にハプスブルク家に代々伝わる興味深い顔の特徴を絵画や彫刻を通して、目の当たりにすることができました。

ハプスブルク下顎1-a.jpg
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これらはほんの一例なのですが、男女を問わず下を向いた鼻と、下顎の形が非常に特徴的。オーストリアではこれを"Habsburger Unterlippe"(ハプスブルク家の人の下唇)と呼ぶそうです。

マリアン2-b.jpg

パリに小旅行した際に「マリー・アントワネットの鼻と口にハプスブルガーの典型的特徴がある」と著者の夫が述べたことは以前の記事で既に記しました。(王妃マリー・アントワネットはフランス国王ルイ16世に嫁いだオーストリアのハプスブルク家の人間。左写真参照)

その時著者は意味があまり良く理解できず「???」という状態だったのですが、ここにきてやっとその訳がわかりました!なるほど、控えめに描写されているものの、鼻と唇に僅かながらハプスブルガーの特徴が見て取れます。

百聞は一見に如かず、ですね(笑)

このハプスブルガーの外見的特徴が最も顕著に表れているとされるのが神聖ローマ皇帝・カール5世であると言われています。生来、顎の筋力が丈夫でなかったため口を閉じることもままならず、肖像画では常に髭を蓄えた姿で、外見的特徴を隠して描かれたのだとか。

「汝、結婚せよ」の言葉に代表されるように、ハプスブルク家の人間は何代にも渡り近親結婚を繰り返したため、疾患・障害を持ちながら帝位に就く皇帝や、病弱で夭折してしまう皇子・皇女が後を絶たなかったと言われます。

かの女帝、マリア・テレジアも16人もの子供を産みながら、成人したのは13人。宮廷と言う恵まれた環境にありながら、成人後も病弱、もしくは夭逝した皇子・皇女が幾人もいました。近代以前は医学があまり発達していなかったことや、当時の恒常的な栄養不足等も勿論一因であったとは思われますが、「領土拡大・保守」という至上命令のため、数多くかさねられた血族結婚による遺伝的原因もどうやら無視できなさそうです。

こういったエピソードを事前に知っておくと、美術館めぐりや絵画鑑賞も益々面白くなりますよね。

美術史博物館をご訪問予定の方は、ぜひハプスブルガーの絵画や彫刻を探して歩いてみて下さい!

デコバナー下唇-a.gif

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筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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