オーストリアのモナリザ、「黄金のアデーレ」にまつわる秘話を描いた映画が日本上陸

公開日 : 2015年11月10日
最終更新 :

10年程前まで、ウィーンのベルヴェデーレ宮殿で「接吻」とともに、クリムト作品の双璧として展示されていた「アデーレ・ブロッホ=バウアー」夫人の肖像画。

いずれも金箔がふんだんに使用された豪華極まりない作品で、ベルヴェデーレ宮殿の薄暗い展示室内で燦然と輝きを放っていたものです。

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この「黄金のアデーレ」(通称)は、"オーストリアのモナリザ"とも称されるほどの傑作で、観光客からも長らく絶大な人気を誇っていたのですが、2000年、ナチスから逃れてアメリカに移住していたアデーレの姪が、叔母の肖像画の所有権を主張しはじめたことから状況が変化します。この絵画の所有者であった亡きアデーレの夫がスイスに亡命した際、絵画がナチスに没収され、その後オーストリア政府の手にわたったとして、オーストリアに「アデーレ」返還要求の訴訟を起こしたのです。ベルヴェデーレ宮殿内にあるオーストリア・ギャラリーへの寄付を望んだアデーレ自身の遺言と、甥・姪たちに遺産を残すとしたアデーレの夫の遺言が食い違ったため、事態は泥沼化しました。そして、実に6年にも及ぶ裁判の末、オーストリア政府は敗訴し、かの傑作絵画はオーストリアを去ることとなったのです。

その顛末を描いた映画、「黄金のアデーレ~名画の帰還~」(独題 Die Frau in Gold、原題 Woman in gold)が今年オーストリアで公開されたのですが、日本でも11月27日に封切られることになりました!

映画のトレーラーはこちら↓

まだ見ていない方が多数かと存じますので、詳細には触れずにおきます。

ただしレビューとしては、予備知識なしに鑑賞した人(主としてオーストリア人以外)には、「涙を誘う感動的ストーリー」として総じて高評価であるものの、オーストリアの評論家やレビューワーたちからは、「観客の共感を呼ぶため、事実関係がはっきり示されていない部分があり、ドキュメンタリー性に欠ける」、「真実の歴史を歪曲したものであり、非常に偏った語られ方をしている」等、批判的な意見も寄せられています。

いずれにせよ、オーストリアの芸術や歴史を垣間見るには手ごろですし、主演はなんとオスカー女優のヘレン・ミレン!!!また、彼女のパートナーとして活躍する弁護士役には、過去に「世界一セクシーな男性」にも選ばれたライアン・レイノルズが配されるなど、否が応でも期待の高まる作品です。

オーストリアに以前来られた方でも、これからお越しの方でも、オーストリアに興味があるならぜひお勧めしたい"黄金のアデーレ 名画の帰還"。良かったら一度鑑賞してみて下さいね!

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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