ヨーロッパ最大の地底湖 ゼーグロッテ
以前からずっと気になっていたウィーン近郊観光地のひとつ、Seegrotte(ゼーグロッテ)を訪れて来ました。
このゼーグロッテはウィーンから南方に車で30分ほどのHinterbrühl(ヒンターブリュール)にあります。
元々石膏のとれる鉱脈で、1912年に爆破処理を施した際に、
岩壁の後ろから地下水が溢れ出してきたことからできた人口の地底湖です。
その広さは 6200 m²とヨーロッパ最大!
地下水の流入以降はしばらく廃坑となっていたものの、
第二次世界大戦中にはナチス・ドイツ軍が
世界初のジェット戦闘機を製造すべく、秘密製造工場として使用。
そして戦後には一般解放され、現在では採掘跡と基地跡を巡る人気の観光スポットへと変身しました。
それでは詳しく見ていきましょう。
まずはチケット売り場で入場券を求め、入り口に並びます。
20分毎に英語とドイツ語の同時進行ツアーが開催されるので、さほど待つ必要はありません。
中は年間を通じて気温が9度と低めなので、
夏場でも薄手のダウンジャケット等を持参すると便利ですが、
忘れてしまった場合には入り口で有料の毛布を借りることもできます。
ツアーの開始時刻が来たら、ガイドに付いて中に入っていきます。
狭い洞窟のようになっており、足場があまり良くないのでスニーカーや登山靴の着用がお勧めです。
当時の鉱山では馬が使役していました。
暗闇での作業になるため、盲目の馬が好んで使用されたようです。
こちらは馬の厩舎。
1993年公開の映画「三銃士」の撮影では、牢獄のシーンに用いられたのだそう。
採鉱時代に使用されていた工具類とトロッコ。
戦闘機の部品も展示されています。
ナチス時代には約2000人もの労働者が従事していたとされます。
こちらは労働者用として坑内に設置されたチャペル。
聖母マリアや採鉱マークのほかに、"G A"という文字が見て取れますが、
これは"Glück auf"の頭文字で、当時鉱夫たちが互いに交わしていた挨拶のこと。
ドイツ語でGlückは「幸運」、aufは「上に」という意味ですが、
いつ何時、不慮の事故に見舞われるかもしれない厳しい労働環境で、
「無事に地上に帰れますように」との希望を込めた挨拶であったようです。
ここから階段を降りると、遂に地底湖のある第2層に着きます。
階段は滑りやすいので、気を付けながら進みます。
下層に到着するとすぐにボート乗り場になっており、目の前はもう湖!
撮影に使用されたと思しき装飾性の高いゴンドラ(写真上)も飾られていました。
坑内は水の排出口が皆無であるため、
水位を一定に保てるよう毎晩50~60立法メートルもの水が組みだされているのだとか。
水位は意外に低く1.2mですが、
2004年には設計ミスによる左右非対称のボートに定員を超える乗客が乗り込んだため、
転覆死亡事故も起こっています。
出発前にガイドがボートのバランスを取るため乗客の配置換えをすることがあるので、
その指示には従い、航行中にはくれぐれも立ちあがらないようにお気を付けくださいね。
幻想的な音楽とライトアップの施された洞窟内。
ガイドの解説を聞きつつ、地底湖をゆったりと一周するとツアーは解散です。
あとは自由行動となり、元来た坑道を各々戻ります。
ツアーでは入らなかった途中の祭典用の大広間。
地下25メートルにつくられたもので、採鉱時代には毎年12月4日にお祝いをしたそうです。
チャペルに大広間など、意外な部屋が多くつくられいて、少々驚きました。
こちらのゼーグロッテはウィーンの街中から車で30分程と、若干離れていますが、
電車とバスを乗り継いだり、ツアーに参加して訪れることができます。
ウィーンの観光は一通り済まされた方、人とはちっと違う場所に行ってみたい方にぜひお勧めですよ!
Seegrotte/ゼーグロッテ
所在地:Grutschgasse 2a, 2371 Hinterbrühl
営業時間:4月~10月 毎日9;00-17;00、11月~3月の月~金 9:00~15;00 土日祝 9:00~15:30
入場料:2018年の時点で大人11ユーロ、4~14歳未満8ユーロ
アクセス:ウィーン中央駅もしくはマイドリンク駅から列車でメードリンク駅まで行き、バスの364番もしくは365番に乗り換え、Hinterbrühl Seegrotte駅で下車
筆者
オーストリア特派員
ライジンガー真樹
オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!
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