戌の絵馬といえばやっぱり「丹生官省符神社」
今年は戌年ということで、犬にちなんだ神社へ初詣に行ってきました。
その場所は和歌山県の北東部、伊都郡九度山町に鎮座する「丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)」です。
弘法大師(空海)創建の神社で、高野山町石道(こうやさんちょういしみち)登山口に鎮座しています。
境内には拝殿の向こうに極彩色の神殿が建ち、干支のジャンボ絵馬がある有名な神社です。
弘法大師が創建した丹生官省符神社
九度山町の慈尊院(じそんいん)から続く119段の石段を登りきると、世界遺産の「丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)」の境内に到着します。
丹生官省符神社は、弘仁7年(816)に弘法大師により慈尊院と共に創建された神社です。
社号は丹生高野明神(にうこうやみょうじん)、丹生七社大明神(にうしちしゃだいみょうじん)、丹生神社(にうじんじゃ)、丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)と変遷されています。
石段登り口には「丹生官省符神社」と「丹生神社」の両方の石碑があります。
官省符ってお役所みたいな名前だなと思っていたのですが、当時の荘園制度を表し、橋本市、高野口町、かつらぎ町、九度山町の荘園とする村々の総社(総氏神)として栄えたそうです。
石段すぐの参道には朱塗の大鳥居が建っており、その下には2本の笹の間に茅の輪(ちのわ)が設けられていました。
この輪をくぐり越えるとお祓いになるとのことなので、私も茅の輪をくぐらせていただきました。
神社であるのにお寺のような拝殿です。
白・黒2頭の犬が弘法大師を高野山へ導いた伝説
拝殿内には狩場明神と弘法大師の出会いの場面が描かれた大絵馬が掲げられています。
社務所でいただいた御由緒より絵馬に沿って左から読み取ると
1・弘法大師(空海)が真言密教修法の道場を求めて京都の東寺を出発し各地を行脚しました。
2・途中、大和国(奈良県)宇智郡に入った時に1人の気高い猟師に出会い、高野という山上の霊地がある事を教えられました。
猟師は従えていた白・黒2頭の犬を放ち弘法大師を高野山へと導きました。
そこは天下無双の霊地であり、弘法大師はこの場所を教えて下さった猟師さまは姿を猟師にかえた神様(地主神)の化身で、狩場明神(かりばみょうじん)となって神託として高野山を与えてくださったものであると、想念の内に感得(心の目を開かれ感じとること)されたのでした。
3・その事を嵯峨天皇に上奏すると天皇は深く感銘され、高野山を弘法大師に下賜し、弘法大師は高野山金剛峯寺(こうやさんこんごうぶじ)を開山することができました。
4・弘法大師は政所(まんどころ:高野山の政務・庶務をつかさどる所)として慈尊院を開いた時に、参道中央上壇に丹生高野明神社(現在の丹生官省符神社)を創建しました。
この地を諸天善神への祈願所として天と神に通じる地「神通寺(じんつうじ)」の壇とし、慈氏寺(じしじ)の壇と併せて「萬年山 慈尊院」と称されました。
というような内容が御由緒と絵馬に描かれています。
紀伊名所図会(きいめいしょずえ:天保年間)では、数多くの社殿等が並び荘厳を極めていたとのことですが、明治維新後の神仏廃止令などによって多くの建物は取り除かれたそうです。
寺である慈尊院の境内から丹生官省符神社への石段が続いているのが不思議に思っていたのですが神仏習合の名残なのですね。
そして紀伊名所図会を見ると、丹生官省符神社が神通寺の壇、慈尊院のある場所が慈氏寺の壇の場所のようです。
それが神仏分離令で寺と神社に分かれたのですね。
世界遺産の本殿と御祭神
本殿の御祭神は、
第一殿
・丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ) [丹生明神] 天照大御神の妹
・高野御子大神(たかのみこのおおかみ) [高野明神] 真言密教の守護神 丹生都比売大神の子 導きの神
・天照大御神(あまてらすおおみかみ) [天照大神] 日の神
第二殿
・大食都比売大神(おおげつひめのおおかみ) [気比明神] 五穀酒造の神
・誉田別大神(ほんだわけのおおかみ) [八幡大神] 応神天皇に坐して武勇の神
・天児屋根大神(あめのこやねのおおかみ) [春日大神] 神事祭祀の神
第三殿
・市杵島比売大神(いちきしまひめのおおかみ) [嚴島明神] 福徳寿の神 合祀祭神
弘法大師を高野山へ導いた白・黒の2頭の犬の伝説は今も語られており、丹生官省符神社の神様の使いの2頭の犬は、安産(子授け)の祈願としてまた、導き(縁むすび)の神様として崇敬され、生きるものすべての導きをしてくださる霊験あらたかな大変ご利益のある神社です。
そして丹生官省符神社は、古来より忌明清祓社(いみあけきよはらいやしろ)として崇敬されています。
帰幽(きゆう)後(亡くなってより)51日、101日をもって親族家族が丹生官省符神社に参拝して御祈祷を受け御幣を賜る儀式です。
このお祓いを受けることにより喪中が解け、各神社、慶事等に参拝、参列することができると共に新しい生活を踏出す節目となるそうです。
本殿は室町時代の再建で、平成16年(2004)7月7日に世界遺産に登録されました。
本殿3棟は、木造一間造社春日造り、檜皮葺の極彩色の社殿です。
間近で見られないのが残念ですが、遠目でもきれいですね!
見逃せない穴場スポット!
社務所前あたりの地面に印があるのですが、その場所に立ちました。
以前来たことがあるにもかかわらず、最初場所が分からなかった夫ですが、社務所の方に親切に教えていただきました。
ここから
なんと!高野山が遥拝できるのです!!
楊柳山(高野山)は高野富士と言われ親しまれており、古来より丹生官省符神社から高野山を遥拝されていたそうです。
境内にいる間、何人も高野山を目指すであろうリックを背負ったハイカーさんたちが慈尊院から石段を登って歩いて来られていました。
私はあそこまで歩くのは到底無理なので、ここで拝ませていただきました。
丹生官省符神社の干支の大絵馬
こちらが拝殿そばに据えられた干支の大絵馬です。
縦約2m、横約3mの大きさで、弘法大師を高野山に導いた白・黒2頭の犬と根本大塔など高野山の風景が描かれています。
多くの参拝者が大絵馬の前で記念撮影をされていました。
今年年女の私なので、私も記念撮影ができて嬉しかったです♡
ワンちゃんも家族の方と記念撮影されており、あまりの可愛さにお願いして撮影させていただきました。
皆様にとっても今年1年ワンだふるな年でありますように
丹生官省符神社
・住所 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院835番地
・電話番号 0736-54-2754
・アクセス 南海高野線九度山駅下車 西へ徒歩約30分
・丹生官省符神社HP http://niujinja.sakura.ne.jp/index.html
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