ワシントンDC特派員夏休み番外ブログ カリフォルニア州サンノゼ空港で「真夜中に置いてけぼりを喰った」編

公開日 : 2016年08月21日
最終更新 :

 前回に続き、今日もまた夏休みの番外編のお届けです。インターネットで仲介会社を通して空港のシャトルバスのご予約を入れる旅行客の方が同じ目に遭わないためにも、ぜひ読んでいただきたい私の失敗エピソードです。お恥ずかしい限りですが、ご一読くださいね。

 ボルチモア・ワシントン国際空港( BWI:Baltimore Washington International Airport)でチェックインしていたスーツケースを手荷物引き渡し所に受け取りに行く途中、ふと壁面に目を遣ると、ある不動産関係の広告が目に留まりました。横目でその物件の画像を追いながら、スムーズに出てきたスーツケースを受け取り、このままサンノゼ辺りの住人になっても良いな、というノリのまま空港の出口付近で翌日に訪れる予定になっていた場所のパンフレット類やエリアマップを見つけてかばんに押し込むと、私は迎えに出ているはずのシャトルの運転手を探し始めました。ところが、何分待っても運転手を見つけることはできませんでした。

 仕方なく空港の外のタクシー乗り場や大型バスの停留所付近へ出て、シャトル乗り場を探し始めました。ところが、路上でもインターネットで確認した色のシャトルを見つけることはできません。右往左往した挙句、外のベンチに腰掛けて、シャトルの管理会社に問い合わせの電話をかけてみましたが、何度その会社のトールフリー番号にかけてみても繋がっては切れてまた繋がっては切れて、という繰り返しです。

San Jose airport.png

 再度建物の中に戻ってみましたが、遅い時間帯の到着だったので、空港内のインフォメーションデスクも閉まっています。トイレ付近を掃除していた掃除係の男性に訊いてやっと見つけたシャトル乗り場で、ようやく見つけたサンフランシスコのダウンタウン行きの車両に乗り込もうとすると、運転手の男性に「バウチャー(予約のクーポン券のEチケット)を持っていなければ乗せませんよ。」と、にべもなく断られてしまいました。自分が控えていた予約番号を見せるため、コンピューターを開けてその運転手に提示したのですが、彼は「他の乗客でいっぱいであなたを乗せる席はありません。」とぴしゃりと言って、私の前を横切ると、後ろを振り返りもせずにシャトルを発進させて行ってしまいました。

 携帯電話などで予約番号が確認できさえすれば、手元にチケットがなくても乗ることが出来ることも多いものですが、何十分か仲介会社の係の女性とやりとりをした結果、実は、私の手元にあった予約番号は、シャトルの管理会社と私の間に入っていたその仲介会社が控えていた番号で、管理会社のほうで利用者の確認のために控えている番号とは異なっていたため、すぐには予約内容ばかりか私の名前すら確認できなかったということが判明しました。今度は管理会社に電話して交渉してみると、担当者の女性が「すぐに運転手に連絡してみます。」と言ってくださいましたが、残念ながらあの運転手は戻って来ませんでした。

 その後しばらく、管理会社、仲介会社、宿泊予定先の管理人や家族との電話やテキストメッセージでのやり取りを続けて、気が付いてみると、到着から1時間半以上経ってしまっています。その間に、シャトルやタクシー乗り場に停まっていた別のシャトルの運転手に事情を訊かれ、「125ドルでサンフランシスコまで乗せて行ってあげる。」と言われましたが、「あのブルーのシャトルに乗ることさえ出来れば17ドル以下で済んだのに。」と思うと残念で、一瞬サンノゼ空港周辺のホテルに一泊しようかという気にも駆られたのですが、気を取り直してタクシー乗り場へ行き、サンノゼ空港からサンフランシスコのダウンタウンまでのタクシー代がいくらかかるのか、その場にいた数人のタクシー運転手達に尋ねてみました。一人は130ドル、別の運転手は100ドルと言っていました。

 携帯電話でやり取りしていた娘は、彼女がいつも利用している「リフト(Lyft)だったらたぶん80ドル程度で済むからリフトを使った方が良い。」と言い、宿泊先のWさんは「ウーバー(UBER)を使えばその方が安いだろう。」とテキストメッセージを入れてくれたのですが、私の携帯電話にはどちらのアプリケーションも入れておらず、宿泊先に約束していた11時までのチェックインの時間をかなり過ぎてしまっていたので、今回は、100ドルと言っていたキャブ・ドライバーの車でサンフランシスコへ向かうことにしました。

 ダウンタウンのミッション・ストリートに着いてそのキャブを降りるまでに、メーターが100ドルを大幅に回ってしまっていることに気づきました。車が停車した後、一旦はドライバーの方に約束通り現金で100ドル渡しましたが、中東のお国の出身というそのドライバーに道中聞いた在米外国人としての苦労話、奥様の重病体験や大きな手術を乗り越えた後の奥様の介護、娘さんのことなどが気になって、メーターに表示された方の代金にチップをつけて手渡すと、そのドライバーは申し訳なさそうに後部座席を振り返ると大きくうなずいてくれました。そもそも自分のミスでシャトルバスのバウチャーを印刷しなかったせいで置いてけぼりを喰ったわけですし、タクシー代も高くついたわけですから、何の非もないイエローキャブの運転手に犠牲になってもらう理由はないのです。

 運転手の男性は、トランクに積んであった私の荷物を下ろすために外に出ると、全ての荷物を受け取った私がキャブを降りた後も、真夜中のサンフランシスコのダウンタウンの大通りに車を横付けしたまま、宿泊先のWさんが私を迎えに来るまでずっと私を見守ってくれました。

 東部の猛暑とは異なるサンフランシスコのひんやりと冷たい秋風のような空気を肌に感じながら、私は、人情深そうなその運転手が住んでいると言っていたサンノゼ近郊の小さな安アパートなら、私にも手に入れることが出来るかもしれないな、とふと思うのでした。

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 普段は、ワシントンDC近郊からブログ記事をお届けしていますが、今回も、夏の間に訪れたサンフランシスコへの珍道中のブログ記事をお届けしました。旅先では思わぬハプニングがつきものですが、サンフランシスコ滞在中、その後もハプニングは続出で、学びの多い旅となりました。その様子は次回お届けしますので、どうぞお楽しみに!

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筆者

アメリカ・ワシントンDC特派員

舞林鳥 恵

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