小児性多臓器系炎症性疾患の症例と新型コロナウイルス関連情報(2020年5月13日)

公開日 : 2020年05月13日
最終更新 :

5月13日付のニューヨーク・タイムズにも記事が掲載されていましたが、アメリカ国内では新型コロナウイルスに感染した子供たちが、川崎病に似た多臓器系炎症性疾患(Pediatric Multi-System Inflammatory Syndrome)を発症するケースが増加しており、これまでにニューヨーク州をはじめ、カリフォルニア州、 コネチカット州、デラウェア州、ジョージア州、ニュージャージー州、ペンシルべニア州など14の州とワシントンDCでの症例の増加が報告されているということです。

以下、本日在ニューヨーク日本国総領事館から届いた「新型コロナウィルス関連情報(5月13日)」にも詳しい情報が掲載されています。本文を引用掲載します。

***

【州政府等による措置等のポイント】

(注)各州政府の措置等についても,できる限り正確な情報を記載するよう努めておりますが,ご自身に関係する事項については,米側当局が提供する情報に依拠してください。

◎クオモ知事のメッセージ(5月13日)

- 昨5月12日の総入院者数は6946人と3月26日以来初めて7000人を下回り(30日連続減少),一日の入院者数(直近3日間平均)も416人と3日連続500人を下回った。また,同日の死者数は166人と3日連続200人を下回った。

- 最前線で働く州の警察官2750人に抗体検査を実施したところ,陽性率は3.1%となり,一般州民の陽性率12.3%を下回った。また,州矯正・コミュニティ監視局(DOCCS)の3000人以上の職員の抗体検査の結果,陽性率は7.5%で,これも一般州民の陽性率より低かった。最前線で働く者の陽性率が低いのは良いことである。

- これまで行った最前線で働く者に対する抗体検査の結果,どの業務でも市民や州民の平均より低いことが判明した(注)。これは,手洗い,マスク等の予防措置が重要であることも示している。

(注)最前線で働く者とNY州民・市民全体の陽性率の比較結果

            陽性率 

NY市民平均       19.9%  

州南部交通機関従事者  14.2% 

州南部医療従事者    12.2% 

NY市警察官      10.5%  

NY市消防士・救命士  17.1%

            陽性率

NY州民平均      12.3%

DOCCS職員        7.5%  

NY州警察官       3.1%

- これまで,コロナウイルス感染数の大幅な増大が見込まれない35郡の病院において,選択的外来治療(手術)を認めていたが,本5月13日,新たに12郡を加えて州内62郡のうち47郡が手術可能となる。

*新たに手術が可能となった12郡

Albany, Cayuga, Chemung, Columbia, Clinton, Cortland, Montgomery, Orange, Otsego, Rensselaer, Schenectady, Warren

*既に手術が可能な35郡

Allegany, Broome, Cattaraugus, Chautauqua, Chenango, Delaware, Dutchess, Essex, Franklin, Fulton, Genesee, Herkimer, Jefferson, Lewis, Livingston, Madison, Monroe, Niagara, Oneida, Onondaga, Ontario, Orleans, Oswego, Putnam, Saratoga, Schoharie, Schuyler, St. Lawrence, Steuben, Sullivan, Tompkins, Ulster, Wayne, Wyoming, Yates

- NY州の経済社会活動の再開は,州内10の地域ごとに,感染率(実効再生産数)を「1.1」以内を維持することを前提に,7つの基準を全て満たせば地域の主導により段階的に進む。現時点での各地域の「7つの基準」達成状況は以下のとおり。

*全て満たしている地域(4):フィンガーレイクス,モホークバレー,サザンティア,ノースカントリー

*6つ満たしている地域(1):セントラルNY

*5つ満たしている地域(4):ロングアイランド,ミッド・ハドソン,ウエスタンNY,キャピタルリージョン

*4つ満たしている地域(1):NY市

- 川崎病に似た多臓器系炎症性疾患(Pediatric Multi-System Inflammatory Syndrome)の発症は州内で102件となった(注)。州内で3人(5歳と7歳の男児,18歳の少女)が亡くなっている。新型コロナウイルスに感染した子供が多く,102件中,60%の子供はウイルス検査で陽性,40%の子供は抗体検査で陽性となり,14%の子供が両方の検査で陽性となった。また,71%は集中治療室で治療を受け,19%は人工呼吸器を挿管し,43%は未だ入院中である。この症例は,米国では14の州(CA, CT, DE, GA, IL, KT, LA, MA, MS, NJ, OH, PA, UT, WA)とワシントンDC,米国外でも欧州5カ国(スペイン,フランス,英国,イタリア,スイス)で報告されている。

(注)症状が出た年齢別,人種別割合

*年齢別割合

1歳未満:5%

1-4歳:18%

5-9歳:29%

10-14歳:28%

15-19歳:16%

20-21歳:4%

*人種別割合

アジア人:3%

黒人:22%

ヒスパニック:19%

白人:25%

不明:11%

その他:19%

- 本病気に対して,NY州は,NYゲノム・センター及びロックフェラー大学と連携して,本件シンドローム及び遺伝的基盤解明のためのゲノム・RNA配列研究を実施するとともに,州内の全ての病院に対し,これらの症状のある子供に優先的にウイルス検査を行うよう勧告している。子供に以下の症状(注)が出た場合,即座に医師の診断を受けることを推奨する。

(注)病気の症状

*主な症状

5日間以上長引く高熱,腹痛・下痢・嘔吐,目の充血,肌の発疹

*その他の症状

顔色が悪い,母乳を飲まない・水分を取らない,息切れ・過呼吸,動悸・胸痛,倦怠感・過敏症等

◎(NY市)デブラシオ市長のメッセージ(5月13日)

- 川崎病に似た症状の小児性多臓器系炎症性疾患(Pediatric Multi-System Inflammatory Syndrome)の発症は市内で82名となった。発症者のうち53名はウイルス検査で陽性か,又は抗体を持っていた。主な症状は継続的な熱,発疹,腹痛,嘔吐であり,このような症状が出た場合には直ちに医師又は311に連絡をして欲しい。現時点で判明していることは早期の処置が有効ということで,(1)何が発症に影響するのか,(2)どの程度の時間で発症するのか,(3)発症する可能性,といったことについてはまだ判明していない。今後は親への周知徹底を進めていく。

- 現在実施している市内道路の車両通行禁止・市民への開放について,明日14日から更に12マイルの道路を開放するとともに,5月中に9.2マイルの自転車専用レーンを開設する。他者と一定の距離を取りつつ利用してもらいたい。

- Pre-Kの内定結果について,61790人の応募者の77%が第一志望,90%が第三希望までのスクールに内定した。まだ空きがあるので,2016年に生まれた子供がいる家庭で関心がある場合には以下のサイトにアクセスするか,718-935-2009に連絡してほしい。

- NY市で開放されている道路

・開放が始まっている公園及び付近の道路(原則として午前8時から午後8時)は以下のサイトでご確認になれます。

◎(NJ州)マーフィー知事のメッセージ(5月13日)

- 本13日,5月18日(月)午前6時より,以下の事業の再開を認める行政命令を発出する。

・必要不可欠でない建設業

※ただし,鼻と口を覆うものを身につけること,人が密集することは避けること(ソーシャル・ディスタンシングの維持),不要不急の訪問者を受け入れることは禁止,適切に消毒を行い衛生環境を保つこと。

・必要不可欠でない店舗

※ただし,事前に電話やオンライン等で商品を注文し,車でのピックアップでのみ許可。顧客が店内に入ることは禁止される。

・ドライブインまたはドライブスルーのイベント・事業(ドライブインシアターや教会でのイベントなど)

※ドライブインシアター等において,車内にとどまっていれば,集まることは認められる。車と車の間隔を6フィート以上保てない場合は,窓,サンルーフ等は,閉めること。

詳細は,下記サイトをご参照ください。

- 4月6日に,最悪のシナリオとして,入院者数は36000人,ICUの患者数は9000人,人工呼吸器を使用する患者数は7500人と予想したが,州民の取組のおかげで,これまで最悪のシナリオの状態に近くなる事態は発生していない。昨日時点のデータについて,ピーク時に比べ,新規入院者数は2/3減,総入院者数は約1/2減,新規感染者数は約70%減,1日の死者数は1/3以上減少しているため,徐々に経済活動再開のステップを取ることができた。しかし,10万人あたりの新規感染者数,入院者数,1日の死者数について,NJ州は,NY,CT,PA,CA,TX州に比べて高い。また,コロナウイルスは州北部から南部へと,感染が拡大している地域が南下していると先日述べたが,昨日1日で州北部では168人が新たに入院しており,州南部の81人より多く,危機状態を脱していない。経済活動再開に向けた更なるステップが取れるよう,引き続き,ソーシャル・ディスタンシングをお願いする。

- 4月のNJ州の歳入は昨年の4月に比べ60%減(35億ドル減)であり,5月の歳入も同じ水準,もしくは更なる減少が見込まれる可能性がある。新型コロナウイルスは州民の健康だけでなく,州の財政も痛めつけている。連邦政府からの直接支援が必要不可欠であり,昨日はカドロー米国家経済会議(NEC)委員長,今朝はペロシー下院議長と電話で話す機会があった。

- パーセケリー州保健局長より,川崎病に似た症状の小児性多臓器系炎症性疾患が本13日朝,新たに7件報告され,合計18件確認されている旨発表。18件中,死者は報告されていない。

◎(PA州)レヴィンPA州保健省長官のメッセージ(5月13日)

- 昨5月12日,緊急使用が認められるようになった抗ウイルス薬レムデシビルの第一便(1,200回分)が連邦政府から到着し,医療機関ごとの患者数や患者の重症度を踏まえて51の医療機関に配布した。レムデシビルの供給は連邦政府の保健福祉省(HHS)が管理しており,今後も毎週到着する予定。

- NY州において川崎病等に似た症状で新型コロナウイルスとの関連が疑われる症例がみられることに関し,州内の医療機関にはそのような症例に接した場合に報告するよう求めているが,今のところ報告は届いていない。また現在, 6つの小児病院に対して該当例がないか個別に確認している。

◎(フィラデルフィア市)ケニー市長のメッセージ(5月13日)

- 今月はMental Health Awareness Monthである。市としてメンタルヘルス関係の様々な支援プログラムを提供しており,必要があればぜひ利用してほしい。例えば「MindPHL Together」(https://mindphltogether.com/ )というキャンペーンを実施し,サポートが受けられる体制を作っている。

- また,子供のいる家庭向けに電話・テキスト等でメンタルヘルス支援を提供する「Philly HopeLine」を新たに開始した。相談がある場合は 1-833-PHL-HOPE (1-833-745-4673) まで連絡してほしい。

◎(WV州)ジャスティス知事のメッセージ(5月13日)

- 5月21日(木)から,条件付きで日焼けサロンの再開を許可する予定。

- 現在コロナウイルスに感染している患者数は,回復した患者数よりも少なく,数の開きも大きくなっている。WV州の検査率(人口比)は3.66%で全米平均の2.83%よりも高く,症状がある州民や介護施設の入居者など感染リスクの高い州民を中心に検査を実施してきているが,累計陽性率は2.1%であり,良い傾向が続いている。

- 国勢調査への協力をお願いする。特に州南部の郡の回答率が低い。州民一人一人がカウントされないと,連邦政府からWV州へもらえる支援ももらえなくなり,新型コロナウイルスのダメージから十分に回復できない。

◎ビジネス関連情報

・各州等のビジネス関連情報は以下をご覧ください。

【感染者数等に関する情報】

  5月13日現在,当館管轄内における新型コロナウイルスの感染者数及び死者数は以下のとおりです。(カッコ内は前日の数)

○ニューヨーク州:

 感染者数     

 340,661名(338,485名),

 死者数  22,013名(21,845名)

・感染者数内訳(主なエリア) 

  ニューヨーク市:

 感染者数187,250名(186,123名),

 死者数14,380名(14,299名)

   NY市の内訳

    クイーンズ区:         57,748名( 57,391名)

    ブルックリン区:        50,667名( 50,331名)

    ブロンクス区:         41,677名( 41,441名)

    マンハッタン区:        24,348名( 24,191名)

    スタテン島区:         12,810名( 12,769名)

  ナッソー郡:

  38,587名( 38,434名),死者数2,468名(2,453名)

  サフォーク郡:

 37,305名( 37,062名),死者数 1,729名(1,704名)

  ウエストチェスター郡:

 31,611名( 31,472名),死者数 1,368名(1,360名)

  ロックランド郡:

 12,543名( 12,504名),死者数 427名(  429名)

○ニュージャージー州:

 感染者数 141,560名(140,743名),死者数9,702名(9,508名)

○ペンシルベニア州:

 感染者数 58,698名( 57,991名),死者数 3,943名(3,806名)

○デラウェア州:

 感染者数  6,952名(  6,737名),死者数 247名(  235名)

○ウエストバージニア州:

 感染者数1,404名(  1,371名),死者数 59名(   57名)

○コネチカット州フェアフィールド郡:

 感染者数13,636名(13,488名),死者数 1,068名(1,046名)

○プエルトリコ:

 感染者数 2,329名(  2,299名),死者数  115名( 114名)

○バージン諸島:

 感染者数    69名( 69名),死者数  6名(   6名)

【在米団体等によるビジネス関連ウェビナー】

・ジャパン・ソサエティ主催「COVID-19: Practical Guidance for Employers」

 - 日時:2020年5月15日(金)正午~午後1:00 (米国東部時間)

 - パネリスト: (1) Devjani H. Mishra, Shareholder, Littler Mendelson, P.C.,(2) Melissa K. Peters, Special Counsel, Littler Mendelson, P.C.,(3) 塚本宏達弁護士(長島・大野・常松法律事務所ニューヨーク・オフィス共同代表)(モデレータ:Philip M. Berkowitz, U.S. Practice Co-Chair, International Employment Law Practice Group & Co-Chair, Financial Services Industry Group, Littler Mendelson, P.C.)

 - 講演言語:英語

 - 参加費:無料

 - 申込み方法:右記よりお申し込みください。 https://www.japansociety.org/event/covid-19-practical-guidance-for-employers

・Crain's New York Business主催「Local small business relief」

 - 日時:2020年5月21日(木)午後4:00~5:00 (米国東部時間)

 - パネリスト:(1) Gregg Bishop, Commissioner, NYC Department of Small Business Services (SBS),(2) Beth L. Goldberg, New York District Director, U.S. Small Business Administration's (SBA),(3) Randy Peers, President, Brooklyn Chamber of Commerce(モデレータ:Christine Haughney Dare-Bryan, AME Special Projects, Crain's New York Business)

 - 講演言語:英語

 - 参加費:無料

- 申込み方法:右記よりお申し込みください。 https://register.gotowebinar.com/register/3778918516995388687

【医療関係情報】

◎CDCはホームページ上で新型コロナウイルスの典型的症状として「熱,咳,息切れ」を挙げています。これらの症状があり,感染が疑われる場合は医療機関に電話で相談をした上で,医療機関の指示に従って受診してください(特定の医療機関がない場合には地元保健当局等(NY市の場合は311)に電話してください)。

・新型コロナウイルスに関する予防措置については以下のサイトをご覧ください。

・ニューヨーク市作成の新型コロナウイルスに関するファクトシート(発症した場合等の対応が日本語で記載されています)。

◎当地の病院やクリニックは,完全予約制を導入し,付き添い人数を制限(一人のみ)するなど予防措置をしながら外来を受け付けているところが多い模様です。また,一部の病院では電話診察,オンライン診療(有料)を導入しているところもあるようです。ただし,当地の医療事情については,日々状況が変化しますので,皆様ご自身で病院やクリニックのHPや直接電話するなどして,ご確認くださるようお願いします。

【領事窓口業務日及び受付時間,検温,マスク等の着用について】

◎在ニューヨーク日本国総領事館では,現在,領事窓口の業務日を月・水・金(除,休館日)の週3日とし,受付時間を10時30分-13時に短縮しています(査証(ビザ)の申請受付については12時-13時)。なお,電話でのお問い合わせは月曜-金曜まで受け付けております。また,ご来館の際にはマスク着用をお願いするとともに,ご来館時に当館ビル1階受付にて検温(摂氏37.5度以上の場合は入館をお断りしています。)を実施しております。

詳細は以下リンク先をご参照ください。

◎当館ホームページ上に新型コロナウイルス関連情報のページを作成しております。

 御不明な点がありましたら当館まで御連絡をいただけますようお願いします。(電話:212-371-8222)

▪   ▪   ▪

【在ニューヨーク日本国総領事館】

・住所: 299 Park Avenue, 18th Floor, New York, NY 10171

・TEL: 212-371-8222

・FAX: 212-319-6357

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日夜、多くの人々の命を守るために尽力してくださっている医療関係者の皆さま、ありがとうございます。どうか体調を崩されませんようくれぐれもご自愛ください。

【データ】

New Inflammatory Condition in Children Probably Linked to Coronavirus, Study Finds:

https://www.nytimes.com/2020/05/13/health/coronavirus-children-kawasaki-pmis.html?smid=tw-share

筆者

アメリカ・ワシントンDC特派員

舞林鳥 恵

【地球の歩き方】では、2013年から、ワシントンDC周辺はじめアメリカ各地の観光名所や魅力的な穴場スポットの情報をお届けしています。

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