ウェールズの美しい田舎風景と大自然を満喫!フットパス・ウオーキング

公開日 : 2021年04月30日
最終更新 :
筆者 : June

Sut Mae!(シュマイ!こんにちは!)

イギリスには「3月の風と4月のにわか雨が5月の花を運んでくる(March winds and April showers bring forth May flowers)」ということわざがあります。

3月の冷たい風が花粉を運び、4月の雨で植物が育ち、5月にようやく美しい花を咲かせるといったイギリスの春を象徴する表現ですが、「何事も努力や苦労があってこそ花開く」を意味します。

2021年4月も最終日を迎え、わが家の庭でもりんごと梨の花が咲き始めました。

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▲ かわいいピンクの花が咲き始めたりんごの木

さて、2021年は5月3日が「アーリー・メイ・バンク・ホリデー(Early May Bank Holiday)」という祝日のため、今週末はバンク・ホリデー・ウィークエンドの3連休です。

ウェールズもロックダウンの緩和にともない、ようやく自由に外出できるようになったので、イングランド在住の友人家族と久しぶりにウオーキングを予定しています。

■ ウオーキング天国のウェールズ

イギリスの人たちは本当に歩くのが大好きで、少しでも時間ができると新鮮な空気を求めて緑や自然のある場所へ散歩に出かけます。

もちろん散歩の目的は歩くこと。新鮮な空気を吸いながら、ただただ歩く。それがイギリス流で多少の雨や寒さも気にせず、一年中季節を問わずウオーキングを楽しみます。

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▲ ウェールズ北西部バーマス(Barmouth)にて。元旦ウオーキング

とりわけ大自然の宝庫といわれるウェールズには休日ともなれば、友人同士や家族連れ、カップルなど多くの人たちが訪れ、雄大な自然の中を歩きます。

ウェールズ最高峰があるスノードニアや牧歌的な景色が広がるブレコン・ビーコンズ、イギリス唯一の海岸国立公園ペンブロークシャー・コーストなどトレイルが整備された国立公園は断然人気のウオーキングスポットですが、ウェールズは小さな町や田舎の村にもフットパス(Foot Paths)と呼ばれる公共の散策道が網羅しているので、穴場も多く、誰でも気軽に森や田舎風景、古い町並みなどの景観を楽しみながら歩くことができます。

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▲ カーディガン湾沿いの小さな町ボース(Borth)に設置された案内板。赤い点線がフットパス

ウオーキングのルートマップは駅や町の案内所などで手に入れたり、案内板で確認することができますが、フットパス周辺には行き先や方角を示す道路標識も設置されているので、見つけたらとりあえず歩いてみる......そんなユルい感じでみんなシンプルに歩くことを楽しんでます。

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▲ ボース~アベリストウィス(Aberystwyth)間に設置されたフットパス「カーディガン・コースト・パス(Ceredigion Coast Path)」の案内板

イギリスのフットパスは昔からあった小路を誰もが自由に歩けるようにした権利通路が多く、フットパスが整備されている地域の景観は地元の人たちによって、長年にわたり維持されてます。

丘陵地や海岸沿いを歩くこともあれば、牧場や個人の私有地がフットパスになっていることもあり、手作りの標識に従って歩くと放牧されている牛や羊、すてきな家や手入れの行き届いたイングリッシュ・ガーデンを眺めながら通過したりします。

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▲ フットパスを歩く途中、私有地で見つけた手作り感満載の標識

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▲ 標識に従い、フットパスを進むと牧場を通り抜けることも......

酪農が盛んなウェールズはフットパスも放牧場にのびていることが多く、家畜が逃げださないよう工夫されたフットパス用のゲートがいくつも設けられています。

「キッシング・ゲート(Kissing Gate)」と名づけられたゲートは開き扉の横に人ひとりが入ることのできるスペースがあり、扉を開けてスペースに入ったあとその扉を反対側に開けて、外に出るといった仕組みになっています。

名前の由来は開き扉が入口側と出口側にスイングしてゲートに当たる様子がキスしているように見えたとか、カップルがこのゲートを通過する際、男の子が先に通って、女の子に「キスしてくれたら、通すよ」と言ったからなど、諸説あります。

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▲ 日本ではあまり見かけないイギリス名物「キッシング・ゲート」

ほかにも「スタイル(Stile)」と呼ばれる柵に板や石の踏み台を置いた素朴なものや、犬などのペットだけが通り抜けられるよう引き戸がつけられたものなど、ゲートだけでもいろいろと楽しめます。

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▲ 踏み台に足をかけて柵を越える「スタイル」に併設されたペット用ゲート

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▲ 石塀を乗り越えるはしごタイプの「スタイル」

人気のフットパスにはピクニックエリアや休憩所が設置されていることがありますが、基本的には歩いている人たちの邪魔にならない安全な場所であれば、どこでも自由に休憩をとったり、食事をしながら景色を楽しんだりすることもできます。

ただし、ゴミの放置はもちろん、コースを外れての散策や植物の採取などの行為は絶対に行わないようにしてください。

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▲ ブレコン・ビーコン国立公園にてフットパス・ウオーキング。ビューポイントは最高の休憩場所

ウオーキングの楽しみは時間に追われ、日常では見逃している些細なことを見つけて感動したり、自然の中で新鮮な空気を吸いながら、季節の変化や美しさを感じて、ゆっくり自分のペースで過ごすこと。

シンプルなようで実はとても贅沢な時間の過ごし方をウェールズの人たちはいつも楽しんでします。

日本はもちろん、イギリスでもあまり知られていないようなマイナーな場所にも魅力的なフットパスがたくさんあるのもカントリーサイドのウェールズならでは??

今後は実際に歩いて見つけたおすすめのフットパスを紹介していきたいと思います。

いまだ新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっていますが、事態が収束したら、ぜひ美しい田舎風景と大自然あふれるウェールズでフットパス・ウオーキングをお楽しみください。

筆者

イギリス特派員

June

60カ国以上の渡航歴あり。2016年、結婚を機に英ウェールズへ移住。

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