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クロアチア/ザグレブ特派員ブログ 小坂井 真美

クロアチア・ザグレブ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2015年9月19日

旅行は安全?押し寄せる難民に揺れるクロアチア


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旅行は安全?押し寄せる難民に揺れるクロアチア

ここ数日、日本でもニュースになっているシリアなどからの難民がヨーロッパに押し寄せている問題。
ハンガリーがセルビアとの国境を封鎖したため、クロアチア経由でドイツやスウェーデンなどの西欧諸国に向かおうとする難民が押し寄せており、クロアチア国内でも連日ニュースになっています。
日本からも「難民がクロアチアに流れ込んで来ているようですが、大丈夫ですか?住民と難民の間で緊張が高まっていると聞きましたが・・・気を付けてくださいね」「クロアチアに近々旅行に行く予定なのですが、大丈夫ですかね・・・?」といったご心配のお声を頂戴します。


特にザグレブの町中を歩いていて変化を感じることはありませんし、その他クロアチアの主要観光都市にも、今のところは特に大きな影響はないようなので、クロアチア観光を予定されている方はどうぞご安心ください。(確かにザグレブ中央駅のバスターミナル付近で、「ひょっとして難民の方かな・・・?」と思われる方を数人みかけましたが、特に難民による影響は今のところ見受けられません)


ですが「もし個人旅行でクロアチアに来ようとお考えであれば、鉄道、特にハンガリーなど周辺諸国とつながっている国際鉄道の利用は気を付けた方が良い(控えた方がいい)」という現地人のアドバイスも耳にしました。先日もハンガリー=スロベニア間の鉄道などが、押し寄せる難民の数に対応しきれず臨時列車などを運航させたため、列車の運航に数時間の遅れが生じるなど、ダイヤに乱れが生じたそうです。


一方、個人旅行者がクロアチア国内での移動方法としてよく利用される長距離バスですが、今のところクロアチア国内の観光地を結ぶ長距離バスの国内路線には大きな影響はでていません。ですが、バスもドイツ=クロアチア間など国際長距離バスの一部路線には5時間以上の遅れが出るなど、今回の出来事の影響がでているようです。

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(画像の出典:Net.hr / ISKORISTILI SITUACIJU: Mađari zapisali 36 policajaca koji su sa izbjeglicama prešli granicu


わずか数日で17100人近くの難民が殺到したクロアチア・・・
「これ以上難民を受け入れることはできない」と思わず悲鳴をあげるクロアチアや国境を封鎖したハンガリーに対して他国から非難する声もあるようですが、私のような者が語るのもなんですが、なかなか難しい問題だと思います。。。


難民が押し寄せる国境付近では人手不足などから持ち物チェックはおろか、身分確認をしっかりとすることもままならい状態なのだとか。国境を封鎖することに非難する声もありますが、現地の人からすると「町の人口の10倍近くの難民が押し寄せる」「国境を封鎖しないと、どこの誰だかわからない人たちがノーチェック状態で大量の人が自国に流入してしまう」という恐ろしい事態になってしまいます。


もちろん難民のなかには実際にシリアから命からがら逃げてきた人もたくさんいるでしょう。ですが、なかには今回の混乱に紛れて豊かなドイツを目指してインドやアフリカなどから来た、厳密には"難民"とは呼べない方が混ざっているのだとか・・・。あるジャーナリストの調査によると、シリア難民を装いドイツに入国するために、シリア国籍の偽パスポートを850ユーロで売買する人々もたくさんいるとのこと・・・。


そんな"難民"たちをノーチェック状態で国境を通過させてしまうことはヨーロッパにとって非常にリスクが高いこと。特に人々が一番心配しているのは、中東方面からやってくるISISメンバーやテロリストたちの存在。「押し寄せる難民を待たせるわけにはいかない・・・」と言って、ノーチェックで国境を通過させてしまうことは、そこに住む人々やヨーロッパの国々にとってとてもリスクの高いことなのです。


クロアチアに押し寄せる難民のニュースに興味津々のうちの家族たち・・・。
旧ユーゴスラビア内戦で難民となり、ドイツを目指した20数年前の自分たち を、シリアの難民に重ねているようです。命からがらボスニアの故郷を逃げ出し、着ぐるみひとつとわずか数千円程の所持金でドイツを目指した彼ら。「ドイツに着いた時は着替える服はおろか、履き替えるパンツや靴下さえもなく本当に心細かった。でも何もなかった自分たちに食べ物や住処を与え人生を立て直すチャンスを与えたドイツには感謝してもしきれない。戦争が終わってボスニアには帰られなかったけれど、今こうしてザグレブで幸せに暮らせるのはドイツの人々のおかげ」と、事ある毎に口にしていますが、今回もこのニュースを見て同じようなことをみんなで話していました。

(ハンガリーからの支援物資を投げ捨てる"難民"たち・・・)


「この"難民"たちも、クロアチアはただの通過点で、ドイツを目指しているのだろうけど・・・。20年数年前に自分たちが難民として助けられたように、今度は自分たちができることを、困っている難民の人にしてあげたいね・・・。クロアチアみたいな小さな国にできることは限られているんだろうけど」と言う反面、やはりクロアチアに押し寄せる一部の"難民"に対しては複雑な気持ちのよう。


なぜなら一部の暴徒化した"難民"がせっかく無料で用意された支援物資である食料や水を「こんなもの食えない」と道に投げ捨てたり「毎日スパゲッティーばっかりで嫌になってしまう。他のものを食べさせろ」と文句を言ったり、「クロアチアは貧しくてろくな支援もない。メシもまずい。はやくドイツに行かせろ」「早くドイツに行かせろ。なんでクロアチアはもっと電車やバスを用意しないんだ?!」と吐き捨てる人が一部いるそう・・・。また、ザグレブ近郊で難民の一時受け入れ先として用意したホテルでは「早くドイツに行かせろ!」「こんなところに閉じ込めやがって!」と"難民"が、ホテルの部屋からトイレットペーパーや物を投げ捨てたり、クロアチアの報道陣に苛立った難民がカメラマンに向かって「お前ら全員、ぶっ殺してやる・・・!」と石を投げつけたり・・・。


("Freedom(自由を!)"と叫ぶ難民たち。ドイツに向けて旅立てるように、一刻も早くクロアチアのホテルから"解放"してほしいようです・・・。写真の出典:Vecernji list / 'Sve ću da vas pobijem!' viknuo je dugogodišnji azilant i kamenom pogodio snimatelja Mreže


そんな"難民"たちの態度に、クロアチア人たちもひどく困惑しているようです。


「難民としてドイツに逃げたあの時は本当に辛かった。でも、どんなわずかな食料でも心から嬉しかった。安全で温かい寝床を与えられた時は涙が出るほど嬉しかった。なのに与えられたものを粗末にしたり、文句を言うなんて理解できない・・・」


「クロアチアだって、決して豊かな国じゃない。そして、小さな国だ。クロアチアはドイツに向かうための通過点で、難民たちがこの国に滞在するのはわずか数週間かもしれない。でも、わずか数週間とはいえ難民の受け入れには莫大なコストがかかる。クロアチアにだって、毎日の生活に困る貧しい人がたくさんいるのに・・・」


「本当に"難民"として命からがら逃げてきた人たちなら、あんなことできる?本当に支援物資を必要としている、真の"難民"に充分な援助は届いているのだろうか・・・」


(難民が押し寄せたハンガリーとの国境近くのクロアチアの小さな村Beli Manastirでの様子。小さな町が大混乱しています・・・)


現在、お隣のスロベニアは難民に対して国境を封鎖しているそう。
一方クロアチアは入国検査をしっかり行う必要があるため難民を受け入れるスピードは決して速くはありませんが、難民に向かって催涙ガスを投げつけたりする手荒なことはせず、首相も「クロアチアは国境付近に柵や壁などを作らない」と宣言しているそうです。また、国境沿いには今でも旧ユーゴスラビア内戦時代に残された地雷が埋まっている地域があるクロアチア。国境検問所のない国境をまたいで不正にクロアチアに入国しようとする難民が、誤ってその危険な地雷地域を渡って命を落とすことのないよう、未然に防ぐ手立てはないかと頭を悩ませているようです。


一時的だとはいえクロアチアにとって難民の受け入れは大きなリスク。観光産業が国の経済にとって大きな礎であるクロアチア。先にお伝えしたように、難民の流入によるバスや鉄道網のダイヤに混乱が起き観光客の足に影響が出ているため(特にドイツからの旅行者)、この状態が長引くとクロアチア旅行をキャンセルする旅行者が出て、大きな経済的ダメージを受けかねないと懸念されています。


また、今日話したタクシーの運転手さんは「クロアチアは観光産業で食べている小さな国だからねぇ・・・難民に紛れて入り込んだテロリストなんかが、クロアチアでテロでも起こしたりしたら、こんなちっちゃな国は一発でおしまいさ。みんな"クロアチアは危ない国だ"って旅行に来なくなっちまう。そうしたら、旅行に来てくれる人たちのおかげで生活している俺たちみたいなやつは、みんなおしまいさ。まあ、こんな小さな国がテロの標的なんかにならないか。杞憂なのだろうけど・・・」と少し顔を曇らせていました。


周りのクロアチア人のいろんな意見を聞き、つい、つらつらと書いてしまいました・・・。
今週の土曜日からシルバーウィークに入り、このブログをお読みくださっている方のなかには近々クロアチアにお越しの予定の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こんな風にいろんな感情が胸の中で渦巻いているクロアチアの人々ですが、冒頭にも書きましたが、クロアチア国内旅行には大きな影響はなく、今まで通り安心して旅行を楽しんでいただそうなので、安心していらしてくださいね^^




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      ザグレブ特派員
      小坂井 真美
      学生時代にクロアチアに魅せられ、4年間で10回以上の渡航・短期滞在を繰り返す。2012年秋にザグレブに移住、現地より様々な情報を発信中。 クロアチア旅行に参考になる情報からザグレブでの生活模様まで、「アドリア海の真珠」 と呼ばれる美しいこの国を少しでも身近に感じていただけるようなお話をお伝えしてゆければと思います。個人ブログでもザグレブより色々発信中。
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