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ギリシア/アテネ特派員ブログ 旧特派員 有馬 めぐむ

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2009年6月10日

空中散歩の村 マクリニッツァ


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空中散歩の村 マクリニッツァ

 美しい山あいの村マクリニッツァ。半島の山に位置し、美しい新緑とヴォロスの町、パガシティコス湾を一望できます。村にはアルホンディコ(邸宅、本来の意味でのマンション)と呼ばれる古い家々が崖に沿って立ち並んでいます。
 高低差が激しく、移動する際は、どこも平たい石を石垣状に積み上げてつくられた急な坂道を上ったり下りたり...。かなり息が切れますが、まるで空中散歩をしているような不思議な気持ちにとらわれます。
 その眺めの良さから、9期に渡ってギリシャの首相を務めた大政治家エレフテリオス・ヴェニゼロスは、マクリニッツァを「ピリオのバルコニー」と呼んだそうです。


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 友人のニコスさんは1852年に建てられた邸宅を1988年に買い取って、できるだけ当時のままに留めながら少し改装を施しました。前に書いたとおり、マクリニッツァは町並み保存の法律が厳しいので、外装は注意を払って修復しなければならなく、多大な費用がかかったそうです。石葺きの屋根や幾つもの小さな窓などは見た目はとてもメルヘンティックですが、住んでいる人々にとって、古い町並みを守ることは時には不便を強いられるもので、いろいろと大変なんでしょうね。


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 ギリシャは約400年間トルコの占領下にありましたし、独立戦争やその後も幾度の戦争があり、伝統的な建物というのは全土に渡りあまり残っていないので、このような村の姿は非常に貴重です。内部は広い居間やキッチンの他に4つのベッドルームがあります。8人は滞在できる大きな邸宅で、今回は5人で行ったのですが、それぞれ趣向の異なる伝統的な部屋は、いかにもヨーロッパらしく素敵でした。ベッドもアンティークで150年も前のものとか。
 多くの家の玄関先にブドウ棚のあるテラスがあり、そこからの景色も本当に見事です。村のホテルもたいていこのような邸宅を改装したもので、ヨーロッパ各地から観光客がけっこう来ています。


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 ニコスさんは、ゴールデンホール の内部のデザインをはじめ、コロナキのブランドショップやカフェなどを手がける有名な建築家で、イタリアのコモ湖やスイスのレマン湖畔などにも別荘を持っている人です。その彼が「マクリニッツァはギリシャで一番美しい村」だと断言します。「美しい山と海が両方見えて町並みが古い」と三拍子揃っているというわけです。確かにギリシャはいたるところに美しいビーチはありますが、緑が溢れんばかりに生い茂るところはめったにありません。しかしこのピリオ山は年中、豊富な雪解け水で潤っており、半島全体に緑滴る清々しい風景が広がっています。伝統的な家々から青く澄んだ海までまるで下界を見下ろすような景色を見渡すことができます。夜景もヴォロスの町の灯がとてもきれいです。


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 ピリオ山は古代にはぺーリオン山と呼ばれ、ギリシャ神話においてケンタウロス(半人半馬)が住んでいたとされます。中でも賢者ケイローンは薬草を育てて病気や怪我の人々を助けており、以前ご紹介した医学神アスクレピオスに医術を授けました。また英雄アキレウス(アキレス)の教育も彼が行ったとされています。爽やかな風に吹かれながら、深い緑を眺めているとそんな伝説も本当かもと思えてきます。


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 ピリオの村は冬は深い雪に覆われるので、広場にはたいてい清らかな雪解け水の溢れる水路や水飲み場があります。クリスマスシーズンもとても美しくてロマンティックなので、訪れるのにうってつけの時期です。
 下の写真は広場にあるタヴェルナ「ガリーニ」。ここも夢のある造りで、大きな木が店のテラス部分を突き抜けていて、まるで大木の上に家を建てたような雰囲気になっています。伝統的なギリシャ料理のタヴェルナで、チキンやラム料理などが美味しくいただけます。


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 広場で存在感を放っているのが、樹齢約1000年、直径約2mという見事なプラタナス。大きな葉が生い茂り爽やかな木蔭をつくっています。中は洞になっていて、初めて見た時、「まるでトトロの木だ!」と思いました。古い家並みを背景に崖の坂道の石畳から海へと広がるような風景がそこかしこにあり、いろいろな宮崎アニメを彷彿させます。右下の写真は「ハウルの動く城」のラストの1シーンみたいと思っているショットです。数年前に初めて来た際には勝手に「ジブリ村」と命名していました。


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 またこの地方を語るのに放浪の画家・セオフィロスも忘れてはならない存在です。レスボス島出身の彼は、ギリシャやトルコを旅し、ピリオ地方には約40年間放浪しました。変わった振る舞いが多くエヴゾネス兵 のような民族衣装やアレクサンドロス大王の扮装をしたりして、子供たちにもからかわれていたそうです。食事を恵んでもらう代わりに家の壁などに絵を残していきました。まるで山下清を彷彿させるエピソードですが、広場近くのカフェには素晴らしい壁画が残っています。このカフェは元々タヴェルナで、セオフィロスにいつも食事をふるまっていたそうです。広場までの坂道を登りきったすぐ左手にあるカフェです。
 セオフィロスのカフェの前の道を更に上に登ると私のお気に入りの「アートカフェ」(写真左下)があります。マスターがゲイでとても気の利く方だし、ここからの見晴らしは最高です。カフェの手前にはトルコとの戦争で女戦士として指揮をとったマルガリータ・バズデキの像があり、展望スポットになっています。


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 広場から上っていくこと10分くらいのところに教会があり、その内部にもセオフィロスが描いたイコンなどがあります。教会は閉まっていたのですが、入り口にいたおじさんに「日本から来たのです」と言ったらわざわざ開けてくれて、電気もつけてくれました。イコンもみることができました。外には1955年の大地震で倒れた教会の以前の大理石の柱が残されていました。
 
 村には他にも小さな民俗博物館をはじめ、いろいろと見所があります。全て歩いて回れますが、とにかく高低差が激しいので、山登りをしているかんじです^^;でもこの村の魅力を味わうのは散歩が一番。
 私にとっては訪ねる度に元気になれて、まだ戻ってきたいと強く感じる場所です。

 


 

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カテゴリー 旅行・ツアー・ホテル
2009年6月10日
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      有馬 めぐむ
      アテネ在住ライター。ギリシャ政治経済、社会事情、観光情報などを日本の新聞、雑誌、ウェブサイトに執筆。たまにラジオ出演も。共著に『お手本の国のウソ』(新潮社)、『世界が感嘆する日本人』、『世界で広がる脱原発』(共に宝島社・原稿提供)。こちらのサイトでは、主にギリシャ国内の旅行や、アテネのイベント、レストラン情報などをお伝えしています。

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