コーヒーの国ノルウェーで作られた、奇想天外なお茶の映画

公開日 : 2015年03月21日
最終更新 :
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ノルウェー的なわび・さびと、「質素」の価値観!

コーヒーの国、ノルウェーで山に住む男が茶室を作る

FOTO: Erlend Haarr Eriksson, Eurodok / NFI

 現在オスロで開催中のドキュメンタリー映画祭「アウロドック」(Eurodok)。プログラムに目を通していたところ、とても気になる作品名があった。その名も『一杯のお茶』(仮題)。本題『En kopp te』(エン・コップ・テ)。

コーヒーの国で作られた、お茶の映画

 あらすじは、茶室を作りたいと言い出した一人の男性グンナルと、その仲間たちが繰り広げる日常生活。ここでなにが突っ込みどころかというと、ノルウェーは「コーヒーの国」で、お茶は女性的な飲み物と捉えている人が多いからだ。「ノルウェー人男性がお茶を飲む、しかも山奥に茶室を作りたい」ということ自体が、まず笑いを誘う。

 「グンナルはここでお茶を飲んでいる。なぜなら、これはお茶についての映画だからだ」。冒頭でそのナレーションが入ったとき、ノルウェー人で溢れた会場が笑いに包まれた。それだけ、ノルウェーの文化やライフスタイルを知っている人にとっては、奇妙な設定なのだ。

ノルウェーの森で作られる、茶室

 この映画、真面目に「わび・さび」、「禅」、「茶室」を理解して作られているわけではない(と思う)。男性たちの日常会話の風景では、飲まれているのはコーヒーばかりだし、茶室のイメージもインターネットの動画からインスピレーションを受けたもの。

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 「わび・さび」=「古いものを大事にする」&「悪い素材にこだわる」と理解したグンナル・ハル・イェンセン(Gunnar Hall Jensen)監督は、茶道具はヴィンテージショップで見つけた壊れかけのコップ(ノルウェー製)だったり、茶室の木材もわざと腐れて痛んだものを選んで購入する。とりあえず、日本人がみても、ノルウェー人がみても、突っ込みどころ満載の作品だ。はちゃめちゃすぎて、もう笑ってしまう。

Photo:Asaki Abumi

毎日、葛藤する生活。男の友情

 作品に出演している監督本人や出演者の友人の男性たちは、皆なにかしらの障がいを抱えている。ノンフィクションなので、偽りのない彼らの生活が見えてくる。監督も含めて、身体的・精神的な悩みを抱える男たちは、気持ちが落ち込んでいる日も多い。

 ストーリーで見えてくる、男同士の友情ややり取りにも注目だ。

わび・さびでいいじゃないか、人間なら誰だって欠陥があるんだ

 でも、「わび・さびのように完璧じゃなくていい、だれだって欠陥があっていいんだよ、質素でいいじゃないか」、という内容だ。「だから、映画も完璧じゃないんだよ。この映画があまり良くないってことも、ぼく達はよくわかっているよ」と、鑑賞後のインタビューに答えてくれた。

 映画の作製には4~5年かかったらしい。すでにデンマークやフィンランドの北欧の映画祭でも上映されており、誰も作品を気に留めないだろうと思っていたという監督は、予想以上の好評価には驚いたという。

日本で上映されるか?

 「ぼくは日本が大好きなんだ!実は、この作品で日本のとある映画祭にも応募はしている。いつか日本に行けたらいいな」と語ってくれた。

Text:Asaki Abumi

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