海外にいる私たちにできること

公開日 : 2011年03月25日
最終更新 :
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3月11日の東日本大震災からもうすぐ2週間が経とうとしています。

ちょうど2週間前の今頃は日本に帰国していて、午前中に人間ドッグを終え、自転車でみなとみらいから赤レンガ倉庫の方までお散歩をしていました。ちょうど馬車道にある日本郵船歴史博物館の前の小道に、ぽかぽかと陽のあたる場所があり、まだちょっと桜のシーズンには早かったのに、そこの数本だけがきれいに桜のお花をつけていました。

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その後のことは『東日本大震災、日本の状況、グアムの様子』という記事で3月15日に書いたとおりなのですが、大震災のわずか2時間前に偶然撮影することのできたこの桜は、一生忘れることのできないものになりそうです...

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震災以降、夫も私も半ば取り憑かれたかのように、何か私たちにできることはないかと考え始めました。

大きな被害を受けた被災地に行くことができなくても、そして1週間後にはグアムに戻らなければいけなくなってしまったとしても、いったい私たちに何ができるだろうと。

幸い私にはこの『地球の歩き方』ブログや『Excite bit コネタ』、また『Twitter』という情報発信のツールがあったので、少しでも多くの方にできるだけ正確な情報と、心温まるみんなの想いを伝えられたらと、夫とふたり、真夜中までさまざまな情報源を調べ、いろいろな方に取材させていただいたりしていました。

残念なことに3月20日はどうしてもグアムに戻らなければいけなかったため、後ろ髪をひかれる思いでグアムに戻ってきましたが、10年近くなる海外生活で、これほど強く日本を離れたくないと思ったことは初めてでした。

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大きな被害を受け、ご家族や親しい方を亡くされたり、今も行方を探していらっしゃる方、避難所での生活を余儀なくされていらっしゃる方々は、失われた命の分も"生きる"ということが使命と感じていらっしゃるのではないかと思います。

また余震や計画停電の影響を受け、放射能による危険があるのかもしれないと不安になる(実際、多くの専門家の方がおっしゃり、また私たちも国内外のさまざまな情報を照らし合わせた結果、現在の日本政府の対応は適切で、避難勧告の出ているエリア外での空気、雨、食、水などによる心配はないと思っています)地域に住んでいらっしゃる方のミッションは何かと思うと、私はやはりできるだけいつもどおりの生活をすること...働くこと、適切な消費をすること、笑顔でいること...。そのことによって日本経済が滞らないようにすることではないかと思います。

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では、被災地に赴くことはもちろん、消費することで日本経済を応援することもできず、さまざまなボランティア活動に参加することも容易でない海外に住んでいる私たちにできることはなんなのでしょうか?

多くの方に「たまの帰国で震災に遭うなんて、不運だったね」と言われるのですが、アメリカ本土にいる日本人の友人に「震災の時に日本にいられたなんて、羨ましかった」と言われました。もちろん震災によって大きな犠牲と被害が出ていることは言葉にならないほど悲しいことなのですが、夫も私も、震災の時に家族や友人の近くにいて、共に不安や生きていることの喜びを共有できたこと、日本の流れがこれから変わるかもしれないその大きな最初のうねりを肌身で体感することができたことを心から幸運だったと思っています。

だからこそ、生まれ育った東京を、日本を、今、離れるのが辛くて辛くて仕方ありませんでした。

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海外にいる私たちにできること...。もっともやるべきことは何なのか。

考え抜いた結果私たちが思うのは、海外にいるからこそ、国内外の報道の両方をある程度客観的な立場から判断すること。今回のように国内外の報道に乖離があるような場合、どちらか一方に寄ってしまうことなく、客観的判断のもとに正しい情報を正しく伝えていくことではないかと思いました。

夫はグアムに戻ってきた翌々日に『Rotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)』でプレゼンテーションをさせていただき、震災を実際に体験して見聞した日本の状況と、現在の放射能漏れによる影響の度合い、海外メディアで報道されている懸念点は今のところ真実ではないことなどを、グアム在住日本人の方々とローカルの皆さまにご説明させていただきました。

東京の義姉にも今現在の日本での報道内容と人々の受け止め方を聞いてみたのですが、お水や野菜などいろいろ言われているけれど、専門家の方たちは現時点で避難地域以外での人体への問題を必要以上に懸念することはないとおっしゃっています。それでも心配して東京から避難したり、買い控えをしたりする人もいれば、日本のトップクラスの専門家が大丈夫というのだから大丈夫と捉える人もいて、情報は同じでも、受け手の受け取り方がだいぶ違っていると言っていました。だからこそ、海外在住の日本人が「日本は危ない」とか、「海外のニュースではこれほど危ないと言われているのに日本の報道はおかしい」などと、日本にいる人々を不必要に不安にさせるようなことを海外から言わないでほしいという意見はもっともだと思います。

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海外にいる私たちにできるのは、正しい日本の状況を海外の方たちに伝え、応援や協力をお願いすること。

そして心を痛めるだけでなく、何か行動を起こしてみること。行動を起こすところまで行かなくても、何かできるのではないかと一生懸命考え続けてみることなのではないかと思います。

確かに無力な私たちかもしれないけれど、もしかしたら自分にできることは意外と大きいかも知れないんです!だからあきらめないで、被災地の方々が本当の意味で復興できるまで、気持ちと力を合わせることができたらいいなと、心から思っています。

写真1: Rotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)の会長から、日本人会員の方々に全員で日本国家を斉唱してもらおうというご提案がありました。

写真2: 2011年3月11日12:50に撮影した、横浜馬車道にある日本郵船歴史博物館前の桜の花。

写真3: Rotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)の会員の皆さまで黙祷を捧げてくださいました。

写真4: グアム日本人会の笹山園美さんがRotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)でスピーチをされました。

写真5: Rotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)でも多くの寄付金を集めてくださいました。ローカルの個人の方からも大きな金額のご寄付をいただきました。

写真6: 夫がRotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)でプレゼンテーションをさせていただきました。通常のゲスト・スピーカーの方が別にいらっしゃいましたが、震災関連のことにお時間を譲っていただき、とても感謝です。

写真7: Rotary Club of Tumon Bay(ロータリ・クラブ・オブ・タモン・ベイ)からグアム日本人会へ、3月22日の時点で7,650ドルの義捐金をお渡し下さいました。

震災後にExcite bit コネタで掲載していただいた記事

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