イギリス王室ご用達の高級スーパー「ウエイトローズ 」

公開日 : 2020年05月07日
最終更新 :

イギリスでロックダウン(関連記事)が始まって以来、週に一度買い出しに出かけるスーパーは現在、私の唯一の運動と楽しみになってしまいました。

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新型コロナウイルスの発生以来、おもに自主隔離をしている人などを中心にネットスーパーがかつてない盛況を極めていますが、今回はイギリスのネットスーパーの現状と、高級スーパーである「ウエイトローズ(Waitrose)」の実店舗についてご紹介します。

イギリスのネットスーパーの状況

共働き家庭が多いイギリスではロックダウンに関係なく、世界と比べても早くからネットスーパーが広まりました。今回新型コロナウイルスの影響で各社とも配達などに支障が出ましたが、イギリス大手スーパーのテスコ(関連記事)は、ロックダウン以来毎週10万件単位で増え続けるこれらオンラインの注文に対応するため、1万2000人の従業員と4000人の配達ドライバーを新たに採用しました。

これにより、現在では週ベースで約120万件ものオンライン注文を受け付けることができるようになったそうです。これは「世界でも最大級の規模」だと、テスコのCEOである Dave Lewis 氏は言っています(参照:'This week's update from Tesco CEO Dave Lewis' 29 April 2020)。

これとは別にロックダウン以前より、普段の買い物のほとんどをネットスーパーで済ませる人もいるようです。一方で私は、オンライン注文ならではの「写真と実物の違い」や品切れにガッカリすることも多いので、店舗を実際に見るのが好きです。幸い私は実店舗に向かえる状況にあるので、毎週店を変えて各社の違いを楽しんでいます。

王室お墨付きの「ウエイトローズ」

ウエイトローズは日本のスーパー、紀伊国屋やクイーンズ伊勢丹といったレベルに匹敵するイギリスの高級スーパーです。アズダ(関連記事)やリドル(関連記事)といった格安スーパーに慣れてしまうと、正直割高感は否めませんが、他社とは絶対的に違うブランド力で差別化が図られています。

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そのひとつに、ウエイトローズは「女王からの王室認定状を授与された唯一のスーパー」ということが挙げられます。(出展:Waitrose & Partners)チャールズ皇太子が1992年に設立したオーガニック食品、ダッチー(Duchy)ブランドも他店では手に入らない、ウエイトローズ独自の商品です。

センスが光るPB商品

ガーデニングを愛するイギリス人にとって欠かせない花は、どこのスーパーでも店舗に入ってすぐのところに売られています。それぞれのスーパーの格、グレードといったものは、その花束や鉢植えのデザインによってある程度判断できる、と私は常々考えているのですが、ウエイトローズのそれはやはりほかとは明らかに違い、格段に華やかです。

スーパー独自のブランド「PB商品」というと、通常ほかの品よりパッケージが簡素で寒々しい印象がありますが、ウエイトローズは違います。素朴なタッチのラインがお洒落で、むしろあえてPB商品を買いたくなります。

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ショートブレッドは紅茶と並ぶイギリス土産の定番ですが、こちらのPBシリーズにはラベンダーやコーヒー、ジャスミン茶といった味があり、間違いなく他社にはないものです。ハート型というのも珍しく、こだわりを感じます。

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現在ではすっかり手土産を買う用事もなくなってしまいましたが、新型コロナウイルス以前は日本へのお土産や訪問先への手土産としてよく利用していました。去年頃から上記のシンプルなデザインとは別に、黄緑色が爽やかで愛らしいタッチのイラストが描かれた新ブランドを見かけるようになりました。こちらはパッケージも紙だけでなく缶や陶器などの物もあり、よりグレードアップした高級感があふれるデザインになっています。

味と品質にこだわった製品

ウエイトローズで買い物をしていると、「値段と質は比例する」という言葉をよく思い出します。その際たる物が、牛肉ではないでしょうか。豚や鶏肉の場合はどこも同じような味で遜色がないのですが、こと牛肉に関しては店によって大きな違いがあると感じます。こちらにはもともと薄切り肉が売っておらず、部位もステーキ肉以外はすべて赤身です。私が料理下手なせいもありますが、他店で購入した牛肉はとことん硬く、ゴムのようになってしまいました。

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ウエイトローズの製品でも、調理法を誤ると同様になってしまい難しい食材ですが、そうでなければ味、食感において他社より優れている気がします。値段も角切りの場合は案外高くなく、いつも3パックで£10(約1500円)のセットを買っています。バーベキューやローストビーフ用に、塊肉を買うのも楽しみです。

ちなみに、卵も他店では見かけない薄紫色の殻の物があったり、何やらこだわった製品を仕入れているようでやけに高いです。こちらに関しては正直味の違いがわからないのですが、ウエイトローズは他社同様、特に生産者の立場も大事にしています。よって、この価格の高さは生産者による適切な生産管理や、ていねいな生産工程へ対する正当な報酬によるものでは、と考えます。

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今年に入って、ホウズ(Hoads)というブランドのフリーレンジ(放し飼い)卵が、実際は放し飼いとはほど遠い劣悪な環境で飼育されていることが判明し、消費者に衝撃を与えました。販売していたスーパー各店は、問題が完全に解決するまで販売を見合わせるなど対応に四苦八苦していましたが(参照:BBC News)さすがはウエイトローズ、知ってか知らずかはわかりませんが、大手各社が揃って仕入れていたなか、ウエイトローズでは最初から取り扱っていませんでした。

最後に、「他店で売っていないおいしいもの」として Jackson's の雑穀パン、seeded bloomer をご紹介します。「ヨーロッパはパンがおいしいに違いない」と思い込んで住み始めたイギリス。単に日本人好みではないだけなのかもしれませんが、あまりおいしいとは思えませんでした。

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それが、初めてこちらの製品を目にしたとき、フワフワそうなのにひかれて買ってみるとこれが大当たりでした。生地が茶色いものや、super seeded などいくつか種類がありますが、あくまでも「白の seeded」タイプが一番おいしかったです。値段も、むしろ super seeded より安い£1.45 (約218円)で2斤分とタップリ入ってお買い得でもあります。

階級社会のイギリスでは、「上流階級の人はウエイトローズでしか買い物をしない」なんて噂も聞きますが、上質でなおかつリーズナブルな商品もけっこうあるので、ごくごく普通の一般庶民でも楽しめます。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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