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イタリア/ローマ特派員ブログ 阿部 美寿穂

イタリア・ローマ特派員が現地からヨーロッパ地域に至るまで、旅行・観光・食事などの現地最新情報をお伝えします。

2016年8月31日

【イタリア中部地震】M.6.2地震発生直後の現地の様子と現在のイタリアの状況について


【イタリア中部地震】M.6.2地震発生直後の現地の様子と現在のイタリアの状況について

皆様も既にニュースなどでご存知かと思いますが、イタリア中部で8月24日未明にマグニチュード6.2の大きな地震がありました。筆者も地震発生翌日より、日本の報道機関と共に現地入りしました。
今回は震源地付近での地震直後の様子と、一週間が経った現在のイタリアの状況などについてお伝えしたいと思います。(*地震発生時のローマでの揺れの様子などは前回のブログをご覧下さい。こちら



地震の震源地は「イタリアの緑の心臓」と呼ばれるウンブリア州のペルージャ県ノルチャ(Norcia)の東10キロで、今回の地震ではノルチャの南東方向にある3つの市(アックーモリ Accumoli 、アマトリーチェ Amatrice、アルクアータ・デル・トロント Arquata del Tronto)に特に被害が集中しています。ローマとこれらの地震の震源とされる地方には約150キロの距離があります。 一週間が経った現在ではイタリアでは大分情報も行き渡り、地震直後の混乱に比べると落ち着いている状況ではあります。ただ被災地周辺では道路やトンネルなどの崩壊などによる道路の封鎖が続いています。首都ローマでは地震の影響はありません。直近の報道では、死亡者295名、負傷者388名、行方不明者多数となっています。(速報:9月3日13時50分)

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↑ 震源地に近いアックーモリ(Accumoli)にて撮影。地震の震源の深さは4キロ。 壁が崩れ落ち、家の中のソファーや洗濯物の物干し台、テーブルなどが見えている。 


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↑ 地震発生時(8月24日午前3時36分)のイタリア半島の様子。
(引用:Istituto Nazionale di Geofisica e Vulcanologia/サイト




↑ 被害の大きかったアックーモリ、アマトリーチェ、アルクアータ・デル・トロントの3市です。
イタリアには州は全部で20州あります。地震が発生したこの辺りは丁度4つの州の州境となっています。州は右上から時計回りに、マルケ州(州都はアンコーナ)、アブルッツォ州(州都はラクイラ)、ラツィオ州(州都はローマ)、ウンブリア州(州都はペルージャ)です。行政単位としてそれぞれの州の中に県があります。例えば、首都ローマのあるラツィオ州には、ローマ県(正式にはMetropolitan City of Rome Capital)、ヴィテルボ県、フロシノーネ県、リエーティ県、ラティーナ県の5つの県があります。

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↑ 被災現場に向かう途中です。ラツィオ州リエーティ県シジッロ(Sigillo)付近。だんだんと山深くなって行きます。仮設トイレを運ぶ消防車の車の列に筆者達も続きます。多くの区間で、対向車線側は現場から戻って来る救急車、消防車、クレーン車などの列が途切れませんでした。



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↑ 最も被害が大きかった山間の町アマトリーチェ(Amatrice)に到着しました。有名なトマトソースのパスタ"アマトリチャーナ"はこの大変風光明媚な町アマトリーチェ生まれです。アマトリーチェはローマ県の隣の県のリエーティ県にあり、地理的にもローマに近いことから筆者の身近にも2人、この町の出身者がいます。2人とも若い頃にローマに出て来てローマで所帯を持って働いていますが、1人は夏休みで田舎アマトリーチェの両親の家に帰省中でした。 イタリア中部大地震後、日本でも「アマトリチャーナを食べて被災地を助けよう運動」が広がっています。イタリアンレストランでパスタのアマトリチャーナを注文すると、その売り上げ収益の一部が被災地に寄付されるようです。 
参考:パスタ食べて イタリア地震に寄付呼びかけ(日テレNews24)こちら



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↑ 町の病院です。



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↑ 同じ病院の別棟です。建物を撮影している最中も、余震でバサッ、バサッと壁が落ちて来ます。現在まで余震は3500回観測されていて、かなり大きいものも混じっているのでまだ非常に危険な状態です。


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↑ 続いてアックーモリ(Accumoli)に到着しました。家の入口の門が完全に崩れ落ちているのが見えます。地震でお亡くなりになられた方々を除く町の住民700人が避難しました。町の中にはもう誰もいません。山間部にある美しい街です。アックーモリのGoogle画像


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↑ 続いてアックーモリの近くの人口100人の町グリシャーノ(Grisciano)です。この町でも一部の家が崩壊しました。余震の危険もある為、住民の皆さんは全員避難テント(写真の水色のテント)に避難しています。ボランティアさんはこの避難所では牛乳、砂糖、トマトが足りないと話していました。



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↑ 州を越えてウンブリア州ペルージャ県ノルチャ(Norcia)の町に入りました。人口は約4950人です。震源地から最も近い町の一つでありながらこの町では死者0名、負傷者0名でした。この町ではほぼ18年ごとに地震が起こるというサイクルがあり(1979年、1997年、2016年)、1979年の大地震で被害を受けた直後に国などから補助金を受けて多くの家が耐震工事を施しました。今回の地震でも町のお土産屋さんなどでは店内の商品が崩れ落ちたり、ユースホステルでは壁に穴が開くなどの被害はありましたが、町全体としてみると壊滅的な被害は受けませんでした。国営放送Rai(イタリア放送協会)が中継中です。



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↑ 市庁舎の建物です。左側にツーリストインフォメーションがありましたので入ってみますと、地震の翌日だったのでまだ本棚から落ちた書類やフォルダーなどが生々しく床に散乱したままでしたが、壁などは倒壊もせずほぼ無傷の様でした。



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↑ 市庁舎の右隣のサン・ベネデット教会の右側の尖塔が地震でぐるりと回っています。教会内部は物が倒れるなどしているので、地震後は教会は閉められています。(お祈りや観光などの為に訪れることは出来ません)ですので、一見無傷に見える町でも大事を取り閉められる観光施設が出て来ると予想されます。再び一般公開されるのは専門家のチェックが入った後です。
【追記】この教会は、この後の10月30日に起きたマグニチュード6.5の大地震で全壊しました。
2016年11月4日号:【イタリア中部地震】10月30日の地震M.6.5に伴う被害と、現在のイタリアの状況について こちら



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↑ ノルチャは古くはラテン語でヌルシア(Nursia)と呼ばれ、ベネディクト修道会の創設者である聖ベネディクトゥス(イタリア語でサン・ベネデット)の出身地です。彼は529年にローマの南方にあるモンテ・カッシーノに修道院を設立しました。



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↑ この町ノルチャの特産品には黒トリュフ、豚や猪の肉を使ったプロシュット(生ハム)やソーセージ、サラミなどがあります。写真の「Norcineria ノルチネリーア」とは豚肉店の意味で、主にウンブリア州やトスカーナ州、ラツィオ州で見られます。田舎の小さな美しい町ノルチャは、イタリア中部では良く知られた観光地でもあります。



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↑ トリュフやおいしいオリーブオイルなどが売られています。



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↑ ローマへの帰り道です。



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↑ トウモロコシ畑が広がります。


本日のブログは、いつもより写真についての説明が短くなりました。いつもなら写真を見ただけで表現したいフレーズが頭の中で流れ出し、それを書き留めると言った感じなのですが、今回はその様な気持ちになれませんでした。ごめんなさい。


リエーティ地方からの帰り道に大環状線の外側から自宅までタクシーを使ったのですが、乗車すると運転手さん(45歳位)に「どこから来たの?」と質問されたので「アマトリーチェです。」と答えました。すると運転手さんは少し黙って、「あの町ではいっぱい子供が亡くなったのだろう?」と言いました。「はい、とてもたくさん。」と答えると、「僕にも7歳の女の子がいるんだ。」「テレビで見たよ。ひどいね、辛いね。」と言いながらポロリポロリと泣き始め、筆者を家に送り届ける頃には号泣になってしまいました。一般的にイタリアの方はとても感情が豊かな人達ですが、最後に家の前でお別れする時にあまりにも辛そうだったので、「大丈夫ですか?私で良ければ、他に何かお話があれば聞きます。」と一言言うと、若い頃に長い間お付き合いをしていた女の子がアマトリーチェの出身で、地震後、携帯電話に電話をしたのだが出ない。あの町では何百人と亡くなっているので恐らく駄目かもしれない。奥さんには昔の恋人の話を一切していないので誰にも言えず今まで胸が潰れそうだったと話してくれました。それを聞いてこちらまで胸が潰れそうです。 このブログを読んで下さっている皆様、今日もどうぞ良い一日をお過ごし下さい。


追記:本日30日、イタリア大使館(東京・港区)は、イタリア中部地震被災者のための義援金を受け付ける当座預金口座を開設しました。詳細はイタリア大使館ホームページ こちら


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    ローマ特派員
    阿部 美寿穂
    神奈川県出身。イタリア政府公認観光通訳、ツアーコンダクター(伊⇔英、日)。ローマ大学卒(文学哲学部文化遺産学専攻)、国立ペルージャ外国人大学修了。日本の公的機関で企画及び広報業務に6年間携わった後、渡伊。ご質問・ご相談などの各種お問い合わせはどなた様もお気軽にこちらまでどうぞ。また下記のSNSでは、イタリアの日常生活や旅行ヒントなどを毎日お送りしています!
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