No.518ユネスコ文化遺産:仏北部ドゥエの伝統16世紀から続くガイヤン祭!!
フランス北部からベルギーにかけての伝統のひとつに、巨人(ジェアン)の行列を含むお祭りがあります。ユネスコの無形文化遺産にも登録されているものも多く、ドゥエのガイヤン祭もそのひとつです。
ガイヤン祭に繰り出したガイヤン夫妻© Ville de Douai/ADL
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【ガイヤンとは?】
ドゥエのガイヤン祭については、最近ドキュメンタリー映画もハリウッドで賞を取りました。それについてはこちらの記事をお読みください。ガイヤン以外の巨人の見られるお祭りについての過去記事リンクもまとめてあります。
数多ある巨人の中でも、ガイヤンは最も古いもののひとつで、16世紀に遡る歴史をもちます。
ドゥエの町を守る巨人、ガイヤンは、一種のヒーローで、町の守護聖人である聖モラン(St.Maurand)の日(5月5日)を祝う祭りに登場したのが最初です。ガイヤン(Gayant)とは、ドゥエの方言であるピカール語で「巨人(Géant)」を意味する言葉です。
ドゥエ市のアーカイブ資料に残るガイヤン夫妻© Ville de Douai/ADL
【ガイヤン一家と担い手の長い関係】
そののち、ガイヤン夫人であるマリー・カジュノン(Marie Cagenon)、続いて、三人の子どもたちが順に増え、ガイヤンファミリーは5人家族となりました。
18世紀後半からは、ガイヤンファミリーの行列は、7月5日のあとの最初の日曜と決まり、現代までこの伝統が続いています。
ガイヤンファミリーと、担い手たち© Ville de Douai/ADL
ムッシゥ・ガイヤンの背の高さは8.25メートル。体重は370キロ。
マダム・ガイヤンは6.25メートル、250キロ。
三人の子どもたちは、2.4メートルから3.4メートルの背の高さで、それぞれ45キロ、70キロ、80キロの重さです。
ガイヤンファミリーの担い手は、代々決まった家のものが受け持ちます。現在メンバーは53人。ガイヤン夫妻はそれぞれ6人で運び、子どもたちはひとりが一体を動かします。年長の息子ジャコ(Jacquot)などは、80キロもありますから、これを動かし行列に参加するのには、相当な体力が必要だというのがわかるでしょう。
【最大の盛り上がりは、日曜の行列】
ガイヤンファミリー行列の地図© Ville de Douai/ADL
このガイヤン祭の一番の目玉は、もちろんガイヤンファミリーの行列です。
今年は7月7日15時から予定されています。行列のコースは上の図の通り。「Départ no.1」と書いてるところを15時に出発。やじるしのように進み、続いて16時半ごろには、「Départ no.2」と書いてある場所を出発し、最終的には「FINAL」と書いてある場所へ着く予定です。道中の星マークの場所では、行列が来るまでの間、さまざまなパフォーマンスが見られます。
さまざまなパフォーマンス© Ville de Douai/ADL
また、この日は朝から市庁舎でカリヨンのコンサート(10時~)や、投げられたキャンディをキャッチするイベント(10時45分~)も催されます。
そのほかにも、町の散策を提供する馬車が現れたり、ブラスバンドが音楽を奏でたり、ペタンクのコンクールが催されたりと、町中は、前後二週間、ちょっとしたパーティ会場の様相を呈します。
数日間ドゥエの町を歩き回ったガイヤンファミリーが、帰宅するのは、7月9日夜のこと。こちらで、今年のガイヤンは見納めとなりますが、町の祭り気分はまだ続き、7月14日革命記念日には、コンサートと花火が催される予定です。
ガイヤン祭© Ville de Douai/ADL
ドゥエ市による公式サイトはこちらから。
またプログラムはこちらでもご覧になれます。
フランス北部の「巨人」の伝統を知るのに最適なイベントであるガイヤン祭。お祭り好きな方、必見ですよ!
(冠ゆき)
筆者
フランス特派員
冠 ゆき
1994年より海外生活。これでに訪れた国は約40ヵ国。フランスと世界のあれこれを切り取り日本に紹介しています。
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