名誉挽回?カフェ・オバラーのリンツァートルテ

公開日 : 2013年02月16日
最終更新 :

先週、ウィーン市内のスイーツ店・カフェオバラーを訪れた時のこと。

用事ついでにザッハートルテ購入を思い立ったのですが、その横に陳列された「とあるトルテ」に目が釘付けに!!!

店員さんの勢い込んだ"Bitte schoen!"(ビッテシェーン/ご要望は?)の圧迫商法 掛け声に急かされ、考えを巡らせる間もなく決断を迫られたので、ザッハートルテと共に、件のトルテも思わず注文に入れてしまいました。

それがこちら。

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リンツァーシュニッテ by カフェオバラー。

リンツァートルテとは、オーストリアにおけるアッパーオーストリア地方州都、リンツ発祥の焼き菓子。

「世界一古いレシピの残るトルテ」とも称され、リンツの博物館にはそのレシピが堂々と展示されるとともに、リンツの人々が非常に誇りに思っているスイーツ。

トルテの詳しい説明と著者が初めて食べた際の所感とは以前の記事、「リンツの街を歩けば ~リンツァートルテを食べよう~」に記されているので、そちらをご参照いただければと思います。

ただ、お時間のない方のためにリンツァートルテの偉大さを一言で表現するならば、

「あのトルテを一口食べた時の目の前が暗転するさまは、落馬した時以来の衝撃だった」

とだけ伝えておきましょう。一口で人をノックアウトにするとは、凄いケーキもあったものです。

(※シュニッテとは四角いケーキ、トルテは丸いケーキのこと)

そのような曰くつきのトルテを、たとえオバラーの店員に急かされたからとはいえ、なぜオーダーしてしまったのか?

リンツといえば、オーストリア第三番目の都市であり、オーストリアで二番目に指定された欧州文化都市。とはいえ、やはりウィーンに比べるとまだまだのどかな田舎といった風情の街。

そのリンツで食べるオリジナルのリンツァートルテと、皇室御用達のスイーツ店が日々しのぎを削るウィーンの菓子店の洗練されたものとでは、味の質が違うだろうと(失礼ながらも)期待したわけです。

帰宅する道すがら、リンツで文字通り"味わった"悪夢のような思い出が幾度も胸に去来しましたが、カフェ・オバラーのリンツァートルテならば、都会の人々のために、さぞやうまいインタープリテーションが施されているはずだと、思わずトルテを否定しそうになる自分を戒め続けました。

そして夕食後のデザートに、遂に実験開始!

一口食べたところ、リンツで味わった岩に噛みつくようなごつい食感、砂漠の食べ物と間違いそうなぱさぱさとした乾燥感、そして既にもとのフルーツの味を留めていない、人間の感知しうるあらゆる味覚を超えた超絶的な甘さなどの危険要素は、いずれも感じられず!!!

ただこの時点で気付いたのが、著者はナツメグやらシナモンやらをアーモンドとクルミの生地に練り込んで、ジャムを挟んで焼き上げた、このリンツァートルテそのものが、好みでなかったということ。

極甘加減や極度の乾燥感以前の、嗜好の問題だったようです。

ということで、この度も一口食べた後に夫にすべて寄付してしまいましたが、夫も元来リンツァートルテを好いてはいなかったので、しぶしぶ処分するといった体で、食べ進めていました。

とはいえ、以前は完食のまるで叶わなかったリンツ発のリンツァートルテですが、オバラーのものは味が自分の好みでさえあれば、完食可能であるわけです。ナッツやアーモンド、シナモン等に目のない著者の母親などであれば、ひょっとして「美味しい」と言ってくれるかもしれません。

いやぁ、偉大なカフェ・オバラーのインタープリテーションのお陰で、遂に歴史的なリンツァートルテも日本人が食べることが可能なものとなりました!全くめでたいことです。

ご興味のある方は、ウィーン各地にあるカフェ・コンディトライ・オバラーにてぜひご試食下さいね!

Kurkonditorei OBERLAA Wien / クアコンディトライ・オバラー・ウィーン

・1区のケルントナー通りそば: 1010 Wien, Neuer Markt 16

・ナッシュマルクト内: Naschmarkt 175

筆者

オーストリア特派員

ライジンガー真樹

オーストリアっておもしろそうな国だな、ウィーンって見どころのある街だな、と読者の皆さまに思っていただけるような記事を配信していければと思います!

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