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イギリス/グラスゴー特派員ブログ ギブソンみやこ&ローランズ真弓

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2010年3月11日

スコットランドの海を見おろす古城ダノター城


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スコットランドの海を見おろす古城ダノター城

前回 に続いて、今回も、まずは本の話題から。今回の本は、イギリスエッセイ本の巨匠林望著「ホルムヘッドの謎」です。この本は、リンボウ先生のご専門である国文学についてのエッセイと、その国文学のお仕事のために滞在されていたイギリスでの出来事が混在している、文字通りちょっと謎めいた本なのです。ですが、その謎を解明したり、この本のご紹介をしようというのが今回お話の趣旨ではないのです。この本を読んだことが、そんなことなら、こんなことも書いておかねばと思ったきっかけになったのでした。


イギリス滞在中のリンボウ先生ご一家は、スコットランドのネス湖見物へと向かわれたわけなのです。「ホルムヘッドの謎」は、その途上、カンブリア州のカーライル近郊のグリーンヘッドの村からそう遠くない場所で、一夜の宿をとられることになったことから始まります。その一夜の宿となったゲストハウス名前がホルムヘッドだったのだそうです。リンボウ先生は、そこではじめて遭遇されたフォードハドリアヌスの長城 について述べられています。リンボウ先生も北イングランドのこの辺りを訪ねられたことがあるのだと思うと、本のページを繰りながら思わず心がうき立つわたしなのでした。


さて、リンボウ先生のご本のそのあとの国文学に関する部分はすっ飛ばして、最後の最後に、リンボウ先生ご一家がネス湖見物におもむかれたくだりが出てきます。以下、「ホルムヘッドの謎」からの引用です。


 ネス湖は、想像していたのとは全然様子が違い、明るくて広々として、まるで大きな海の入り江を見ているようだった。素晴らしい晴天だった。ネス湖というと、例のネッシーのことなどもあって、暗鬱に霧が立ち込め、両岸は険しく切り立って迫り、黒々とした水面が不吉に小波立っている、なんてのを想像していたのだけれど、大きく当てがはずれた。……私は、その芝生に寝そべると、この絵のような景色を横向きに眺めて、しばらく飽きなかった。


このくだりを読んだわたしは、思わずリンボウ先生に声をかけたくなりました。「リンボウ先生、それは先生ご一家が、ものすごくラッキーだったからです! 普段は、先生が当てにされていたネス湖の光景こそが、まさにそこにある風景なのです!」と。わたしたち一家が何度か訪れたネス湖は、ただの一度として寝っ転がることのできるほど湖岸の芝生が乾いていた試しがないのですから。(わたしたち一家が訪れたネス湖のもようは、こちら )


けれども、リンボウ先生の幸運は、どうやらネス湖岸の芝生の上で使い果たされてしまったのではないかと。以下のネス湖見物の帰りに立ち寄られたスコットランドの古城訪問のくだりを読んでそう感じました。


 アバディーンの市街から二十キロくらい南に行ったところにストーンヘヴンという海沿いの小さな田舎町がある。
 その外れ、海岸の断崖絶壁の上に、ダンノッター城という、これまた不吉極まりない姿の、無残に崩れた廃墟の城がある。
 ……
 道は一度海面すれすれまで下って、それから再び急勾配で城の口へ登っていく。城は海に突き出した巨大な岩山の岬に荒涼とたたずみ、ふり仰げば、壁という壁は見る影もなく崩れ落ち、絶壁の上にギザギザの黒いシルエットとなって不安定に天を画しているのであった。


このくだりを読んだわたしは、再び、リンボウ先生に声をかけたくなりました。「ところが、どっこい、リンボウ先生。お天気に恵まれさえすれば、そこでは、もうほんとうに見惚れてしまうほどの古城と海の絶景が望めるのですよ!」と。リンボウ先生ご自身にも、もちろん、そうお伝えすることができればと思うのですが、リンボウ先生のこのご本を読まれたみなさんにも、そして、このブログを読んでくださっているみなさんにも、お天気によっては、ほんとうに心と目にしみるような風景がスコットランド東岸の切り立つ絶壁の上に建つこの古城には出現するのですとお伝えしたいと思いました。


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以下、再び、「ホルムヘッドの謎」からの引用です。


この城は、もとスコットランドのマリシャル伯爵家の居城として十四世紀に完成したのであるが、後に、例のクロムウエルの内戦の時に、スコットランド王党派最後の拠点として、哀しい落城の歴史に遭遇したのだそうである。
 ……
この城は、スコットランドの歴史の中では、かなり重要な意味を持つ場所で、その後、一六八五年の王位争いを巡るモンマス公ジェームズ・スコットの反乱に際しては、この城の牢獄に百二十二人の男と四十五人の女が幽閉され、多くの人がここで獄死したという血腥い事件も起こった。


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ところが、それも、今は昔のお話。青空の広がる日には、きらめく海を臨む古城の姿は、まさに兵(つわもの)どもが夢の跡。血塗られた戦乱の歴史を横たえた地表では、つぶらな花をつける野の草が穏やかな海風になでられて揺れるばかり……。


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リンボウ先生は言及されていないのですが、クロムウエルが率いた内戦の際には、現在、エディンバラ城の展示物の目玉となっているスコットランド王家に伝わる王冠やシャク、刀剣が、密かにこの古城にもたらされ、クロムウエル軍の手に渡るのを免れたのだそうです。


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ネス湖のケースとは逆に、わたしたち一家がこの古城ダノター城(Dunnottar Castle リンボウ先生は、城の名前を「ダンノッター」と表記されているのですが、スコットランド人の夫によると、「ダノター」の方が近いらしいのです)を訪れた日は、幸い、お天気がよかったのだと思います。そして、その幸運に気がついていなかったわたしは、スコットランド観光局が、どうしてこの素晴らしい景観に恵まれたダノター城に3つ星の評価しか与えていないのか不思議で仕方がなかったのです。


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ですが、リンボウ先生の「ホルムヘッドの謎」を読んでみると、やっとその謎が解けました。リンボウ先生がおっしゃているように、お天気の悲惨な日のダノター城の姿は、まさに不吉極まりない姿の、無残に崩れた廃墟であるにちがいありません。ですが、先生、お天気のいい日のダノター城と辺りの風景は、5つ星の評価にお釣りがくるほどなのです。


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ところで、「Windows 7」のデスクトップの壁紙のイギリス版には、腕利きのプロの写真家の手になるイギリス国内の絶景6枚がおさめられています。その6枚というのは、ロンドンのタワーブリッジ、雪景色のストーンヘンジ、北アイルランドのジャイアンツコーズウェイ、イーストサセックスの白亜の断崖セブンシスターズクリフス、北ウェールズの湖と丘の風景と並んで、北海を背景にたたずむダノター城なのです。ここでご紹介している画像とは比べ物にならないくらい美しい画像です。ですが、機会があったら、みなさんご自身の足と目で、ぜひお天気のよい日のダノター城訪れてみてください。写真ではお目にかかれないプラスαの何かにも、きっとめぐり合えることと思います。(ダノター城へのアクセス、その他の詳細については、最後にご紹介するダノター城のサイトをご覧ください)


P1080797x.jpg これは、最後のおまけ。お城の散策を終えて帰ってくると、海岸沿いの駐車場の手前に建っている家が目にとまりました。石造りの家の構えも人目を引くのですが、1階部分の真ん中の窓辺にご注目!

P1080799x.jpg ねっ!


ダノター城(Dunnottar Castle)のサイト


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